ラブライブ! School idol project 2期

【監督】
京極尚彦
【キャスト】
新田恵海
南條愛乃
内田彩
三森すずこ
飯田里穂
Pile
楠田亜衣奈
久保ユリカ
徳井青空

*感想

私の住んでる地域でもようやく地上波放送された「ラブライブ!」の第2期。
劇場版の公開前にテレビシリーズを復習とはいかなかったが、劇場版が毎週毎週大人気公開中なのでこの波に後から乗った私でも充分に間に合った。
劇場版は、この2期から地続きの物語となっているので、直前に2期を見れたのはむしろ良かったと思う。





*以下、ネタバレになりますので、未見の方は閲覧注意。






テレビアニメ1期のストーリーは、廃校の危機にある音ノ木坂学院に通う9人の生徒が学校を盛り上げるためにスクールアイドルグループ「μ's(ミューズ)」を結成、スクールアイドルの全国大会「ラブライブ!」への出場を目指して奮闘するというものだった。
「仲間」「友達」というテーマを描きながら、限られた時間の中で青春を謳歌する少女たちの姿が描かれた。

では、2期で描かれたのはなんだったか…。
それはやはり1期と同じ「仲間」「友達」そして「青春」だった。
しかし、「卒業」というタイムリミットが迫ってくるという点では、1期よりも深刻な問題に穂乃果たちは立ち向かうことになる。

1期では叶わなかった夢、ラブライブ!への出場を目指し、再び活動を始めるμ's。
地区予選での最大のライバルとして浮上するA-RISE(アライズ)の存在。
日々を過ごしながら巻き起こる、にこ・凛・花陽・希ら、1期でクローズアップされなかったメンバーのエピソードも、ますますμ'sが好きになるような良いエピソードばかりだった。


そして終盤では、彼女たちがある覚悟を決める物語が展開する。
季節は秋から冬へと移り変わり、3年生の卒業という逃れられない事実が迫ってくる。
さらに穂乃果や絵里の妹たちが音ノ木坂への進学を決め、入学後スクールアイドルをやりたいと言ったことで、μ'sは3年生が卒業した後の身の振り方について考えさせられることになる。

この9人でないとμ'sとは呼べないという思いと、メンバーが交代しても名前は変えずに続けていくのがアイドルだという意見の間で揺れるμ's。
しかし、それは上辺の問題にすぎない。一番の悩みは「μ'sを終わらせなければならない」という現実とどう折り合いをつけるかということだ。
黙っていても3年生の3人は春が来れば卒業してしまう。そうなればこの9人で過ごした夢のような時間は二度と繰り返すことはできない。それをどうやって受け入れるか…。

「青春はいずれ終わる」という問題は、1期の終盤でも語られたテーマである。
しかし、1期で穂乃果は悩み抜いた後、「今は青春を全力で謳歌しよう」という結論にたどり着いた。
その時はまだ時間が残されていたのだが、2期では結論を先延ばしにすることは許されない。μ'sの面々は全員で、ある結論を出さなければならなかった。


結局、彼女たちは「ラブライブ!が終わったらμ'sをおしまいにする」という結論を涙ながらに宣言する。
それは、この最高の仲間たちとの幸福な日々に自らピリオドを打つということであると同時に、ラブライブ!本大会を最高の結果で終わらせるということでもあった。
μ'sのキャッチフレーズを「みんなで叶える物語」とした穂乃果たちだったが、夢を叶えるということは物語の終わりを意味してもいる。
そして、最後の3話は最高の物語を叶え有終の美を飾るためにあったように思う。

この「卒業」というテーマは、誰もが経験してきたことであり、非常に感情移入しやすいテーマだった。
もちろんフィクション作品のような輝かしい青春を味わう人間なんて一部で、人によっては最悪の学校生活を送った人や、特に良い思い出のない人も大勢いるだろう。そういう人たちの方が多数派だと思う。

ただ、一人でも友人を持ったことがある人ならば、卒業による友人との別れは寂しいものだったと思う。
その寂しさは画面の中の彼女たちも持っていた。だから感情移入ができる。
最終話、思い出を噛みしめるように学校内をめぐる9人。
彼女たちの胸にあるのは、ラブライブ!で優勝を果たした達成感と、μ'sを終わりにする寂しさと、そして幸せな青春の思い出だっただろう。


しかし、面白いのは、そこまでしっかりと感動させておきながら、その最終話をうっちゃって「物語は終わらない」としたことである。
花陽の「大変ですー!」で再び走りだすμ's。卒業式直後の重大案件発生に驚くメンバーたちだが、彼女たちの顔は新展開の期待に満ちあふれていた。
1期でもことりの海外留学という現実を持ちだしておきながらそれを見事にうっちゃって強引に解決したのだが、2期はそれ以上である(笑)

しかもこれは単純に「何かを期待させる結末」としたかっただけではないようなのだ。
結果論ではあるが、劇場版ラブライブはこの2期ラストの直後から始まる。
物語を終わらせるために少女たちに辛い決断をさせ、最高のフィナーレを用意した2期。
しかし、劇場版のためにそれすらステップにしていくのだ。

そこまでして描いた劇場版ではいったいどんな結末が用意されていたのか…。
それはまた次の機会に語りたいと思う。