2015-07-07-07-52-30

海街diary
(2015年/日本)

【監督】
是枝裕和
【キャスト】
綾瀬はるか
長澤まさみ
夏帆
広瀬すず
加瀬亮
鈴木亮平
池田貴史
坂口健太郎
前田旺志郎
キムラ緑子
樹木希林
リリー・フランキー
風吹ジュン
堤真一
大竹しのぶ

*感想

吉田秋生(よしだ あきみ)原作漫画を是枝裕和が実写映画化。
鎌倉の街を舞台に、父親に捨てられた三姉妹と、その腹違いの妹の物語が紡がれる。


是枝作品といえば最近「そして父になる」の地上波放送を見たけれど、役者の自然体の演技を引き出し、「どこにでもいる人・どこにでもある話」のように撮るのが上手い監督…というイメージを個人的に抱いている。
「歩いても 歩いても」なんて、まさにどこにでもあるような普通の家族の普通の不和を描き出していたし、「空気人形」では逆にありえないファンタジーな設定をしっかり人間ドラマに落としこむことに成功している。
(その他の是枝作品はまだ見てません…すいません…)

この「海街diary」でも、その自然体の空気感はあって、…というか、これまでで最もそれが上手く捉えられているんじゃないだろうか。
ストーリー展開や裏に隠された意味を追う必要すらないほど、すべてが「ありのまま」に描かれており、観客は物語と役者の一体感が生み出す幸福な時間にただ身を委ねていればよいだけだった。

それは例えば、名工が作った工芸品が初めて持った瞬間から既に手に馴染んでいるような、そんな感覚に似ている。
あるいは、最高の料理人が作った白飯と味噌汁と焼き魚の何気ない食事のようであると言えるかもしれない。
ある意味で昭和の邦画の名作と似た雰囲気もあるように感じたし、もはや是枝監督は名匠の域に達しているのかもしれない。

…いろいろと語りたいこと、好きなシーンや演技はあるのだが、それを語ってしまうとこの作品の素晴らしさを正確に伝えられない気がする。
とにかく、心地良い時間を過ごせた映画だった。