ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース
エジプト編

【監督】
津田尚克
【キャスト】
小野大輔
石塚運昇
三宅健太
平川大輔
小松史法
福圓美里
子安武人
大川透

*感想

「ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース」の後半。
荒木飛呂彦原作では第3部にあたる本作は、第1部・第2部をアニメ化したテレビアニメ第1シリーズに続いての第2シリーズ。
全48話4クールの物語を前半と後半に分け、前半が2014年の春夏、後半のエジプト編が2015年の1月から6月まで放送された。




■新しい土地、新しい仲間、立ちはだかる新たなスタンド使いたち

母・ホリィを救うために打倒DIOの旅を続ける承太郎と仲間たちは、前半ラスト(第24話)でついにDIOが潜伏するエジプトに上陸する。
エジプト編ではその名の通り、エジプトを舞台に新たな強敵たちとの闘いが描かれた。

個人的に印象に残っている敵のスタンド使いは、オインゴ・ボインゴ・ブラザーズ、ダービー兄弟、ヴァニラ・アイス。
オインゴボインゴはコミカルだったし、ダービー兄弟もそれぞれカードとテレビゲームを使っての勝負が面白かった。
ヴァニラ・アイスは能力も執念深さもトップレベルで、彼とアヴドゥル・ポルナレフ・イギーらの闘いは最終戦直前の最後のヤマ場として相応しかったと思う。
さらに、ホル・ホースが復帰してボインゴと組むエピソードも楽しかったし、ハヤブサのスタンド使いペット・ショップのターミネーター的な執拗な追撃もすごかった。

新しい旅の仲間イギー、最初は素直に「犬に見えねえ…」と思ったけど、途中からだんだん「仲間」に見えてきたので良かった。
結局最後まで犬には見えなかったけど、彼の活躍、存在感は他の5人の主人公と変わらなかった。
それが犬だろうが視聴者を惹きつける熱い闘いがそこにはあった。



■DIOという悪役

旅の目的であり、最後にして最大の障害であるDIO。
物語の前半から、花京院やポルナレフを操ったり、様々なスタンド使いを恐怖で支配したりとカリスマ性を備えた名悪役として君臨していた。
声優・子安武人の静かで妖しい演技も良かったと思う。

ただ、実際に最終3話が始まって、DIO自らが承太郎たちと闘う段階になると、そのカリスマ性は少し薄れてしまったんじゃないかと思う。
たしかにDIOのスタンドは最終戦に相応しい究極の能力だったし、承太郎とのラストバトルも物凄い熱量だった。
しかし、それまで謎に包まれていたDIOの姿やスタンドの秘密が明かされると、DIOそのものの魅力は減退してしまったように感じた。

さらに、承太郎が能力的にDIOを超えるという展開も、DIOの存在感を相対的に軽くしてしまっている。
花京院やポルナレフの心に入り込み彼らを操り、アヴドゥルを震え上がらせた、恐怖の権化DIO…だったはずが、いざ闘い始めるとそういった凄みはなくなってしまった。
ジョースター一族とDIOの血の因縁についても、承太郎視点からではあまり効果的に語られたとは思えない。(これは私が1部・2部を見てない/読んでないせいだろう多分)

つまり、散々もったいぶった割には、「強力なスタンド使い」の域を出なかったよなDIO…という印象だった。
私は彼に、何かもっと、強さとは別の存在感も示して欲しかったのかもしれない。
少なくともエンヤ婆が信奉し、数々の手練れのスタンド使いたちが恐怖する「闘う前のDIO」には、それがあったように思った。



■旅の終わり

しかし、DIOがラスボスとしてイマイチに感じてしまったことは、逆にDIOにたどり着くまでの旅路が面白かったということに他ならない。
ある意味でDIOは漫画「ワンピース」でいうところの「ひとつながりの財宝」であり、それにたどり着くことは物語の終わりを意味する。
(目標として掲げながらもけして届かない。だからこそその目標=夢は輝いて見えるのかもしれない)

旅の道程は、承太郎と4人(と1匹)の仲間たちの絆であるとか、毎回様々な特殊能力を持った敵とのトリッキーで時にはユーモラスなバトルであったりとか、母親ホリィに迫るタイムリミットとなかなかDIOの居場所を掴めないもどかしさなどに溢れていた。
そういったものを総合すると、旅の途中の方がラストバトルよりも面白かったような気もするのだ。
なんならDIOの下にたどり着かないまま、さらに4クールほど続けてもらっても全然見れたと思う。

それだけ、承太郎たちの旅は楽しいものだったし(最終話で彼らも言っているが)、視聴者にとっては愛着が湧いたということだろう。
この旅をずっと見ていたい、ずっと見ていたかった…。
そんな一抹の寂しさも、最終話に少し感じた。