パンチライン
第11話「ジャスティスパンチ!」

*感想

前回、絶望の淵から這い上がった遊太=パイン。
しかし、明香の発案した「ピースメイカー作戦」は、明香が世界各国の軍事ネットにクラッキングしている間、遊太が一人で古来館を守り抜かなければならないという、過酷なミッションだった。
それを知った古来館の住人たちは、遊太や明香と共に戦うことを決意する。

ようやく秘密部隊「ジャスティスパンチ」が結成された。
思ってたのとは少し違って、「古来館を守る」ために立ち上がった感じが強い。
古来館を守ることは即ち世界を守ることにつながるのだが、世界を守るためにどこかに攻撃を仕掛けるのではなく(サイバー攻撃はするのだが…)、安息の場所を守るという行動が意外だった。
しかしこれはこの作品らしい当然の結果かもしれない。

メンバーの能力も全員バラバラで、明香のチートなクラッキング能力と遊太のユーバ化(超人化)の他は、次にユーバ化したら死んじゃうみかたん=ちよ子と、見張りくらいしかすることない愛とラブラというちょっと頼りない編成。
しかし、愛は期待通りの活躍を見せてくれたし、ラブラもなんとなんと!…という感じである。

テレビアニメ最終回の直前の回が意外に熱いことはままあって、どこかのアニメ監督も「最終回よりもその前の回のが面白いことがよくある」と言ってたのを思い出した。
あっ、でもパンチラインの最終回は今回よりもさらに熱いんですよね、そうですよね(笑)
今回特にBパートが今までの分を取り戻そうとするかの如く画が動きまくっていたので、次回最終回はさらなる神作画が見られるにちがいない。





*以下ネタバレなのら!未見のキサマらは注意なのら!
…それでも見たいというのなら、もう何も言わないのら。さらばなのら!






愛の鬼神の如き活躍について。
今回、花火打ち上げようと「革メイカー」を出した時点で、もしかしたらゲーマーの愛が操縦することになるのかも…と考えたが、Bパートでまさにそうなった。
しかも、私の予想を超えて愛自らが乗り込み命がけで操縦するという、そんなロボットアニメ的な展開…やりすぎでは!?…と思うほどの胸アツ展開だった。

個人的には愛の部屋のPCから遠隔操作できるように明香が調整して、無人機を操るみたく操縦するくらいで充分だったと思う。
愛は、自分のやってるゲームと同じUI(ユーザインタフェース)だと言っていたが、オンラインゲームでは実際に操縦桿を握るわけではないし、飛んだり跳ねたりしながらプレイするわけではない。
ゲームの外から動かすのと、中から動かすのでは絶対に勝手が違うはずだと思うのだが、そこらへんはアニメ的な面白さを追求した結果なのだろうか。



ラブラの鬼神の如き活躍について。
5人そろってジャスティスパンチ!…のはずだが、ラブラだけ特に秀でた能力のない普通のお姉さん(ちょっと頭がアレだが…)なので、どうなるのかと思っていたら…。
まさかまさかの幽体遊太の憑依によってユーバ化し、パインとちよ子のピンチに駆けつけるというオイシイ展開。
パインが試行錯誤してる間、パインが身体から追い出した過去の遊太は何をしていたのかという伏線も回収しつつの面白い展開だった。

だがしかし、これ実はも何も、活躍したのはあくまでラブラの身体を借りた幽体遊太であり、ラブラ自身の能力ではないのである。
しいて言えば、「霊感が強く霊媒体質」ということが特徴ではあるのだが、霊媒体質という点では、パイン・ちよ子・ぐり子は身体を交換しているし、壺内Q冥は教師・友田や米軍の指揮官に憑依しているしで、このアニメでは別に珍しい能力でもない…(笑)
やっぱりラブラ、他のメンバーに対して遅れをとっている感じがする…。


これ書きながら気づいたんだけど、遊太の幽体の描写って何故遊太だったんだろう?
遊太は実はちよ子の身体にパインの魂が入ってる状態で、そのちよ子の身体から幽体離脱したのなら、幽霊の顔はパインのはずな気がする。
遊太は自分がかつてパインであったことを忘れていないはずだし、自我はパインのままで持ち続けていたのでは?

長い時間を「遊太」として過ごすうちにその精神も「遊太」として変わっていったということだろうか。
しかし一方で、女性の身体ということを隠して男性として振舞ったり、胸にサラシを巻いて過ごしたりするなど、パインは女性になることを拒み続けていたはずだ。
むしろ、彼にとってはパインのままであろうとした9年間だったと思うのだが、その幽体がすっかり遊太の顔=ちよ子になってしまっているのはなんとなく皮肉だ。(考えすぎだが…)

そう考えると、ぐり子がQ-may会に心を囚われてしまったのも納得できる気がする。
ぐり子の精神は、パインの肉体とQ-may会という環境にただ順応しようとしただけかもしれない。
そして順応し続けた9年の歳月が、みかたん=ちよ子も驚くほどの人間性の変化となって表れたのだろう。



最後にチラ之助について。
かわいいマスコット的な立ち位置だったのは第1話がピークだった気がする(笑)
特に現在の世界線に入ってから(遊太2周目)は、嫌なネコというポジションだった。

63億回も遊太の挑戦を横で見ていながら、未だに正しいルートを見出せないやる気のなさ…。その割りに63億回も付き合っている律儀さ…。
そして、今回もついに遊太に愛想が尽きてどこかへと消える…。
このネコの目的は本当は何か別にあるのだろうか?そもそもなんで喋れる?幽体だからか?それともアニメだから?(笑)

少なくとも、今回遊太が未来を諦めきれずに過去の自分への引き継ぎを怠ったことで、結果として過去の遊太との共闘が実現し、今までになかったシナリオが展開することとなった。
この番組の結末としては、やはり「最高にハッピーでピースフルな未来」が待っているのだろうけど、そうなった時にあのネコはどんな顔をしてその未来を受け入れるのだろう?



あと、明香のチートすぎるクラッキング能力についても何かしらの説明がほしい。
それはつまり天華博士の科学力の凄さなのだが、このおじいが例えば未来からVR1を阻止するための種を巻きに来た未来人とかでもない限り説明のつかない科学力である。明香しかり、革メイカーしかり。
(「アニメだから…」で納得するしかない?)

そして、幼いラブラが何者かに憑依されて天華博士へとFAX送った件についても、それが誰の思惑だったのかがまだ分かっていない。
これが次回で明かされるとなるとまず神展開は間違いない。
そして、明かされずして物語が終わることはないはずだ。