(1996年/日本)
【監督】
周防正行
【キャスト】
役所広司
草刈民代
竹中直人
渡辺えり子
柄本明
徳井優
田口浩正
草村礼子
原日出子
感想(2015年4月18日、TV録画にて鑑賞)
久しぶりに見たら以前見た時よりもとても楽しめた。
多分、私の映画を見る目が大きく変化したからだと思う。
主要キャストの演技はどれも安定していて尚且つ面白い。
唯一、浮いた演技を見せるマドンナ役の草刈民代も、昭和的なノスタルジーに溢れているように思えてくる。
現役バレエダンサーの映画初出演ということではっきりいって拙い演技なのだが、そこが逆にヒロインの個性に感じられてくるのが面白い。
絵的に素晴らしいと思ったのは、主人公が公園の歩道橋の下で一人練習をするシーン。
石造りのアーチ橋の下、街灯に照らされステップを踏むサラリーマン。
まるで名画のワンシーンのようだと感じたし、それは逆説的にこの映画が名作であるということでもある。
このシーンに人生の喜びがすべて詰まっているような、そんな幸福な時間を一瞬で表現したシーンだ。
物語は、平凡な毎日を繰り返す中年男性のほんの気まぐれのときめきから始まる。
若いバレエダンサーへの恋心と言えばそうなのかもしれないが、それは純粋な憧れであったように思う。
それがいつしか、人と人の心の交流に変わっていく。
愛とか恋とか、そんな限定的な関係ではなくて、もっと大きな人間同士の関わりあいを優しいまなざしで見つめた作品だろう。
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