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機動警察パトレイバー 2 the Movie(1993年/日本)

【監督】
押井守
【キャスト】
大林隆介
榊原良子
古川登志夫
冨永みーな
竹中直人
根津甚八

感想 (2015年3月30日、DVDにて鑑賞)
(2015年5月3日、TV録画にて鑑賞)

劇場版第1作の後、TVアニメシリーズとNEW OVAシリーズを経て制作された劇場版第2作。
公開から長いことこれが一応の完結編(劇場版第3作は番外編的な扱い?)とされていたようだが、実写プロジェクト「THE NEXT GENERATION パトレイバー」の始動によってそれも昔の話になった。

TNGシリーズの最終章である劇場用長編「首都決戦」を映画館で観てきたばかりだが、この第2作と密接に絡み合うストーリーだった。
これから「首都決戦」を観に行かれるという人は、まずストーリーを理解する助けとしてこの「パト2」こと劇場版第2作を見て、さらに登場人物と人間関係を理解する助けとしてTNGシリーズの短編全13話を見た方がいいだろう。というか、必須だろうな…。

では、いきなりこのパト2を見ればいいのかというと、それもオススメできない。(←何なんだ!)
例の如く、登場人物それぞれの描写や情況の説明に乏しい作風なので、いきなりパト2から入ってもなにやら難しいものを見せられた思いしかしないだろう。
少なくともパト2以前の作品も一度は鑑賞しておくべきだ。私は劇場版第1作だけを見てパト2を見たが、それでなんとか基本的な設定は理解できた。

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で、描かれていた、というか語られていたのは「不正義の平和」と「正義の戦争」について。
そして、不正義の平和という虚構の中で生きる我々が作り出す「幻」について語られていた。
正直、押井守の思想的な語り口は難しい。ただ、彼の考えるテロと社会の関係によって起こる展開には、ただただ圧倒された。

警察と自衛隊の睨み合い、そして自衛隊機による東京の破壊。
それは一発のミサイルによるレインボーブリッジの爆破によって始まり、社会は静かにしかし着実に戦争状態へと進んでいく。
そんな中で特車二課の面々は再び結集し、超法規的活動で事態の解決を図る。
すごいのはこんなトンデモな物語がまったく無理なく展開することである。

今作の主人公は間違いなく後藤隊長だろう。そしてヒロインは南雲隊長。
お互いの好意を知りつつも踏み出さない大人な2人の関係や、過去の男・柘植の存在が面白い。
一方で、野明と遊馬の若いカップルの関係も少ない描写の中でしっかり匂わせていた?

とにかく、20年以上前のアニメーションなのに、まったく古くなってないのが凄い。
この話は2010年代中盤の今でも充分に通用するし、だからこそ最新作「首都決戦」をこの第2作を踏襲するような形で作ることができたのだろう。
もっと語りたくなる作品だが、私自身、最近押井守作品を見始めたばかりなので、大したこと書けないのが残念だ。
ただ、他の作品も見てみようと思うには充分すぎる内容だった。
アニメ好きのみならず、映画好きにも見てほしい作品である。