PSYCHO-PASS サイコパス 2

【監督】
塩谷直義
【シリーズ構成】
冲方丁
【企画監修】
本広克行
虚淵玄
【アニメーション制作】
タツノコプロ
【声の出演】
花澤香菜
佐倉綾音
野島健児
藤原啓治
櫻井孝宏
伊藤静
沢城みゆき
浅野真澄
井上麻里奈
東地宏樹
日高のり子
山路和弘
榊原良子
木村良平
関智一

あらすじ

人の心を計測し数値化する<シビュラシステム>――。人間のあらゆる感情や心理は<サイコパス>と呼ばれる数値で表され、人々はそれを指標とし「理想的な人生」を謳歌していた。しかし、犯罪に関する数値<犯罪係数>が規定値を超えた者はたとえ罪を犯していなくとも<潜在犯>として裁かれる。常守朱は、公安局刑事課監視官として潜在犯を裁く日々を送っていたが、ある日起こった爆破事件の捜査のため執行官を伴い現場へと急行する。それは新たな事件の幕開けだった。

感想

かなり遅くなってしまいましたが、PSYCHO-PASS第2期の感想まとめです。
まとめと言っても作品見終わって、さらに新作劇場版も鑑賞した現時点で思うことなどですね。
いつものように、まとまらなかったらすいませんですね(笑)


■制作体制の変化

第1期から製作陣がけっこう変わってるんですよね、この第2期は。
1期の総監督・本広克行と原案脚本の虚淵玄は、2期では企画監修という立場に。
代わりに「マルドゥック・スクランブル」「天地明察」などで知られる小説家・冲方丁がシリーズ構成、脚本は「革命機ヴァルヴレイヴ」「残響のテロル」などの熊谷純。

アニメーション制作は、「新編集版」の新規カットを担当したタツノコプロが2期ではProduction I.G.に代わり全編を担当しています。
逆に1期から代わってない主要スタッフは、監督・塩谷直義と、音楽・菅野祐悟。

キャストでは、霜月美佳役・佐倉綾音、東金朔夜役・藤原啓治、鹿矛囲桐斗役・木村良平などが新キャラとして新たに加わりました。
1期で槙島聖護役だった櫻井孝宏は、2期ではまったく別人の雛河翔役に。(何の裏もないキャラでした)
狡噛慎也役・関智一も、なんだかんだで出番があり、印象を残しましたね。



そんなわけで、けっこう新しい風が吹き込んできた2期なんですけど、その割にはイメージの変化はあまりなかったかな、と思います。
ストーリーについては1期よりもエグみが強かったんですけどね。
禾生壌宗役・榊原良子とドミネーター役・日高のり子がいる限りPSYCHO-PASSの世界観は崩れないと個人的に思っています。(褒め)

虚淵玄が2期では監修の立場に退いたというのも、けっこう重要だと思うんですよね。
2期制作の段階で劇場版の企画があったわけで、劇場版に注力するために2期を他者に任せたと推測するんですが、そのために2期は全体的なストーリーの流れからは外れた存在になっているとも言えるんですよ。

もちろんこの2期はオフィシャルの本編ですが、PSYCHO-PASSを狡噛×常守×シビュラとして見た時には、2期は1期と劇場版の間に必須となる要素ではないんです。
劇場版のために張られた重要な伏線は2期には無いし、新たな一係のメンバーが登場するくらいの意味しかないですよ。
しかもせっかく登場した新メンバーは、劇場版ではあまり活躍できませんでしたし…。

まあ、でもそれは劇場版まで見た上での感想で、2期終わった時点では霜月の描かれ方が興味深かったり、シビュラシステムの在り方に大きな変化があったりと、2期そのものはけしてつまらなくなかったです。
ただ、その2期の展開が劇場版で活きてなかったのが残念…と、これは劇場版の感想になってしまいましたね(笑)


■掴みづらかった世界観

この作品のひとつネックになっていたのが、シビュラシステムに管理される未来社会の描写だったと思います。
一言で言ってしまえば、ユートピアを装ったディストピア社会。
しかし、ストーリー描写の中でいろいろと引っかかる部分が出てくるんですよね。

まず、シビュラが測定するサイコパスの定義がイマイチハッキリしないですよね。
人の心を数値化してストレス度合いを色相判定し、一定以上濁ってしまった者は潜在犯として裁きの対象になるわけですが、このシステムにどれほどの信憑性があるのかはあまりハッキリと言及されてません。

むしろ1期からの展開では、そのシビュラの正当性が覆される事案ばかり発生するという…(笑)
しかし、社会的にはシビュラが絶対で、外でも中でも安全が保証されてると思い込んでる民衆に少し寒気がします。

で、まあそんな曖昧な定義の犯罪係数なんですが、運用する上ではその数値が絶対なんですよね。
潜在犯ならば即時量刑、しかし万が一免罪体質やドミネーターが認識しない対象だと、裁くことはできず、途端に逮捕権までも失ってしまうような描写なんですよ。

普通に考えて、ドミネーターが無効ならば、通常の装備で逮捕すればいいのですが、このディストピアの警察機構にはドミネーター以外の解決法が用意されていない。
不測の事態を想定して準備することすら考えもつかないような状態。
それだけシビュラシステムにすべて任せ切りで生きているということなんでしょうが、それは時に滑稽に映るほどでしたね。

探せば納得いく説明もあるんでしょうけど、作品を見てるうちに自然と腑に落ちなかったのは少し残念。
集団的サイコパスという新たな概念が登場したのは良かったですが、それが劇場版にまったく活かされてなかったのも残念。
…やっぱり劇場版の感想になってしまいそうですが(笑)

ただ、2期最終話で、朱ちゃんが新たな時代への扉をこじ開けてしまったという展開はとても興奮するものがありましたね。
この2期自体は楽しく見れました。
(問題はむしろ劇場版なんですよ…)



そんなわけで、PSYCHO-PASS2の感想でした。
この流れだと劇場版を酷評してしまいそうで怖い(笑)