劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス
(2014年、日本)
【監督】
本広克行(総監督)
塩谷直義
【アニメーション制作】
Production I.G.
【声の出演】
花澤香菜
野島健児
佐倉綾音
伊藤静
櫻井孝宏
沢城みゆき
東地宏樹
山路和弘
日高のり子
神谷浩史
石塚運昇
原島梢
関智一
榊原良子
感想(2015年1月17日、MOVIX仙台にて鑑賞)
人間のあらゆる心理状態や性格傾向を数値化するシビュラシステムが、社会生活のすべてを監視・管理する近未来。人々は「サイコパス」と呼ばれるその数値をもとに理想的な人生を享受し、「犯罪係数」と呼ばれる数値が規定値を超えた者はたとえ罪を犯していなくても潜在犯として裁かれる。
常守朱は潜在犯を裁くための組織・厚生省公安局刑事課に4年前に配属された監視官だった。
ある時、武装した密入国者の一団を捕らえた公安局は、テロリストの脳内記憶から日本への侵入を手引きしていると思われる男を確認する。
その男とは、常守のかつての部下であり、公安局を脱走し殺人を犯した後行方を眩ませていた元公安局刑事課執行官・狡噛慎也だった。
常守は、狡噛の真意を探るために、日本がシビュラシステムを輸出し束の間の平和を手に入れた、東南アジア連合<SEAUn>の首都シャンバラフロートへと単身で捜査に向かう。
アニメ「PSYCHO-PASS」シリーズの最新作。
2期見終わった時点ではこの劇場版にとても期待していましたが、実際観てみるとそんなでもなかったです…。
劇場版アニメを観る時に、私はムダに期待してしまうんですよ。
「完結編」「最終章」「集大成」「決定版」そんなイメージを勝手に抱いてしまうんです。
公式の宣伝で「最終章」などとは言ってないんですが、先入観で「最終章」だと思い込んでしまいました。
TV1期・2期と続いた作品が、ついに劇場版で壮絶に終わる…!と、勝手に決めつけてしまいました。
実際の今作は、1期で袂を分かった狡噛と常守が再会しました…くらいの中身しかないと思います。
今回のお話、事件の真相がとても単純ですし、シビュラシステムについても毎度のことながら煮え切らない終わり方。(朱ちゃんは見事に啖呵切りましたが…)
「劇場版」というよりは「2時間SP」という感じの内容で、シリーズの結末でもなければ、物語が結末に向かって進んだとも言えない内容でした。
まあ、面白いシーンはいくつもあったんですが、ストーリーそのものは前進も決着もしなかったと思うんですよね。
メッセージ性も乏しかったと思いますね。(これはシリーズ通しての問題かな)
こき下ろしてるみたいになってしまいましたが、すべては私個人の「最終章だと勝手に思い込んだ」ことが原因だと思います。
こういう思い込みってアニメ映画だとけっこう他にもあるんですよね。
その1。「まどマギ新編」を完結編だと思ってて、あの結末にキョトン。(←新編とは言ってるけど完結編とは言ってない)
その2。「劇場版WUG!」を90分~2時間の長編だと思ってて、60分で終わってキョトン。(←劇場版がすべて長編とは限らない)
その3。「ヤマト2199星巡る方舟」は大戦争が起こるのだと思ってて、意外と規模小さくてキョトン。(←イスカンダルからの帰路で起こった話だと知っていたはずなのに…)
上の3本がけしてつまらないというわけではなく、むしろ面白いんですよ。
なんというか、私が「楽しみ方」を分かってなかったというか。
その楽しみ方を踏まえた上で振り返るといずれも面白い内容なんですよね。
ただ、今回の劇場版PSYCHO-PASSに関しては、なんだかあまり肯定できないんですよね。
まどマギ新編のような引き込まれるようなシーンやカットは少なかったし、劇場版WUG!のように物語の動き出す感じもない、星巡る方舟のように今後の展開を示唆してもいない…。
そう、特に「今後の展開」について思い当たる布石が何にもないことが、一番良くないと思うんですよね。
TV版2期は今となってはけっこうつまらなかったと思うんですけど、それでも最終回の、常守の行動によって社会が近い将来大きく変わってしまうかもしれない、という含みがとても良かったと思います。
すべてが解決しない代わりに「今後どうなるのか?」という興味を持たせる終わり方だったんですよね。
この劇場版にはそういう「今後の展開への期待」は正直持てませんでした。
それは、前述のとおり、ストーリーは前進も決着もしなかったから。
むしろ狡噛と再会し、でも結局ああいうラストでは、前進どころか後退してしまったんじゃないでしょうか。
狡噛と常守はどうやったらくっつくのか?
いや、そもそも二人が結ばれることがこの物語のメインテーマなのか?
そうでないならシビュラシステムを通して人間社会の在り方について何らかのメッセージ性を持たせてほしかったですね。
とはいえ、ここで終わってしまったらけっこう微妙なシリーズになってしまいそうなので、頑張って次回作も作ってほしいですね。
次はちゃんと物語を終わらせる覚悟でやっていただきたいです。
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