ブランカニエベス (2012年、スペイン)

【監督】
パブロ・ベルヘル
【出演】
マリベル・ベルドゥ
ダニエル・ヒメネス・カチョ
アンヘラ・モリーナ
マカレナ・ガルシア
ソフィア・オリア

あらすじ

天才闘牛士アントニオ・ビヤルタの娘として生まれた少女カルメンだったが、生まれると同時に母親を亡くし、父は意地悪な継母エンカルナと再婚してしまう。虐げられた幼少期を過ごしていた彼女は、ある日、エンカルナの策略で命を奪われそうになったところを、<小人闘牛士団>の小人たちに救われる。<ブランカニエベス>(=白雪姫)という名で彼らとともに見世物巡業の旅に出たカルメンは、女性闘牛士としての才能を開花させ、行く先々で圧倒的な人気を得るようになるが……。

感想 (2014年1月29日、フォーラム仙台にて鑑賞)

グリム童話「白雪姫」を基にした白黒サイレント映画。
サイレント作品を見るのはこれが初めてになります。

<ブランカニエベス>(=白雪姫)ことカルメンを演じるのは、映画初主演となったマカレナ・ガルシア。
男装の麗人といった感じで美しく、観客を画面に引き込むチカラがありましたね。

それに負けないくらい魅力的だったのが、カルメンの少女時代カルメンシータを演じた子役、ソフィア・オリア。
幼少期がけっこう長く描かれるんですが、このまま成長しなくてもいいんじゃないかってくらい輝いていました。
これが女優デビューらしいです。

そしてなんといっても意地悪な継母役を演じたマリベル・ベルドゥ。
「パンズ・ラビリンス」にも出ていましたが、この映画ではほぼ主役……。
恐ろしさとユーモアを併せ持った役でした。

清廉なマカレナ・ガルシア、純真なソフィア・オリア、そして狡猾なマリベル・ベルドゥ……。
この3種類の女性像がたっぷり楽しめる映画でしたね。

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白雪姫を基にしているんですが、私の記憶している白雪姫との相違もけっこうありまして。
絵本やディズニーの白雪姫ではなく、原典である(本当は怖いという)グリム童話を基にしているんでしょうか?
まあ、何にせよ監督の解釈なども含まれて然るべきなので、何から何まで童話と同じでなければいけないということはないんですが……。

例えば、物語の結末など、当然ハッピーエンドを期待してしまうんですが、まあ、なんというか切な~いエンディングでしたね。

ただ、至る所に「この描写は白雪姫でいうところの……」みたいなギミックが散りばめられているので、白雪姫の別解釈とかそんな風に受け取るのも面白いです。
個人的には、「竹取物語」をけっこう忠実にアニメ化した「かぐや姫の物語」よりも、この「ブランカニエベス」くらい原典を脚色してくれた方が好みですね。

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とてもファンタジックな映像で、モノクロなんだけど色彩豊か……って自分で言っててよく分からないですが、ほんとそんな感じなんですよね。
豪華に着飾った継母エンカルナ、闘牛士の衣装に身を包んだカルメン、小人たちのコミカルな感じ……。

サイレント時代にこんなカメラワークしないだろ、みたいなのもあったり……。
とにかくサイレントなので考える時間がたくさんあって、いろいろ思いながら観ましたね。