ラッシュ / プライドと友情
(2013年/アメリカ)
【監督】
ロン・ハワード
【出演】
クリス・ヘムズワース
ダニエル・ブリュール
オリビア・ワイルド
アレクサンドラ・マリア・ララ
ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ

*あらすじ

モータースポーツの最高峰F1。1976年、2人のレーサーによる壮絶なチャンピオン争いがあった。フェラーリに乗り沈着冷静で隙のないレース運びをするニキ・ラウダと、マクラーレンに乗り奔放な性格ながら誰からも愛される天才型のジェームズ・ハントは、正反対の性格と走り方のため、常に比較され、衝突することもあった。前年チャンピオンのラウダはトップを独走していたが、ドイツ・ニュルブルクリンクのレース中にコントロールを失い壮絶な事故を起こす……。

*感想(2014年2月1日、109シネマズ富谷にて鑑賞)

「ダ・ヴィンチ・コード」「シンデレラマン」などのロン・ハワード監督の最新作。
先週の土日にやってた先行上映で一足お先に観てくることができました。
(しかし結局はレビューは公開後になってしまった笑)



70年代F1全盛期のスター、ジェームズ・ハントとニキ・ラウダを主人公に、レーサーとしての苦労や2人のライバル関係を描いた感動作。
実話を基にしており、ニキ・ラウダ本人のコメントによればかなり事実に正確に作られているんだとか。

ジェームズ・ハント役には、「マイティ・ソー」で主人公ソーを演じたクリス・ヘムズワース。
この映画ではまるで<マイティ・ハント>ですね(笑)
ハントは女と酒が好きで喧嘩っ早く、レースでもすぐカッとなってムチャをするタイプ。
しかし、そのロックスターのような生き様とストレートな性格が何故か憎めない男。

ニキ・ラウダ役には、「グッバイ、レーニン!」「コッホ先生と僕らの革命」などで知られるドイツ人俳優ダニエル・ブリュール。
ラウダはマシンのセットアップの天才で、サーキット上でも隙のないレース運びをしますが、性格はどちらかというとひねくれていて、目上の者にも歯に衣着せぬ言動をしたりする友達少ないタイプ。
そんな彼はレース中に事故を起こし、再起不能とまで言われてしまうのですが……。

女性陣では、「トロン:レガシー」「カウボーイ&エイリアン」のオリヴィア・ワイルドが、ハントと一時期結婚していたスーパーモデルとして登場。
ただ、この役はけっこう粗雑に扱われてた感が……。前半でいなくなりますし。

それよりも、ラウダの妻マルレーヌを演じたアレクサンドラ・マリア・ララの方が断然目立ってましたね。
大事故にあって変わり果てた姿になった夫の再起を見守る役。
この女優さんは「ヒトラー 最期の12日間」でヒトラーの秘書を演じていた人ですね。

他には、ラウダのチームメイトの先輩レーサー、レガッツォーニ役で、イタリア人俳優のピエルフランチェスコ・ファヴィーノが濃ゆい顔で登場してます。
最近では「ワールド・ウォーZ」の終盤に出てましたが、こんなの言われなきゃわかんねえ(笑)



世間では、「満足度の高い映画」として認知されているそうですが、私的には不満でした。(あまのじゃくが騒ぎ出したか?w)

テンポ良く描かれていくんですが、テンポ良すぎて心に響いてこないんですね。
2人の男の人生を一つの映画に2時間でまとめた手腕はさすがですが、ある意味では教本通り、素晴らしいお手本のような映画、皆これを目指せ的な?そんな印象に受け取ってしまいましたね。

どのエピソードもサクッと進んでく緩急のなさが、どうしてもこの映画(というかヒューマンドラマとして)の魅力を削いでると思うんですよ。
反目しあってた2人が、どのようにして奇妙な信頼関係を得たか……、事故後のラウダの苦痛と葛藤はいかほどのものだったか……、それを見ていたハントの胸にこみ上げる感情はなんだったのか……。
そういった物語の根幹を成す部分までもがサクッと描写され次のシーンへと進んでいってしまうのが、なんだか物足りなかったです。

映画で感動する時って、ジワッとするじゃないですか。
涙がジワッと目に浮かんできたり、胸がジーンとしたりする。
でも、ジワッとするためには、主人公の感情を観客の胸に染み込ませるだけの時間が必要だと思うんですよ。

例えるなら、生徒がまだノートに書き終わっていないうちから黒板を消して次を書き始める教師のようなものなんですね(笑)
「はいここ、感動するとこ!次行きまーす!」
えっ、ちょっと待ってよロン・ハワード先生ェ……。



たぶん論理的には間違ってないと思うんですね。
脚本は良く出来てるんだろうし、論理的には理解できる。
でも、映画は感情で観るものですから。特にこの映画のような「感動作」を前面に押し出してる作品は。

頭では理解できても、心では何も感じない……。
(さすがに何も感じないわけではないけれど、期待していた割に深い感動はありませんでした)
そんな感じになってしまってるんだと思います。少なくとも私は淡々と鑑賞してしまいました。

目の前に映されてるものが素晴らしいものであることは間違いないのに、それに没頭することができない……。
こんな感覚はクリストファー・ノーラン監督の「ダークナイト ライジング」を観た時にも感じました。
その時は、「理詰めで考えると完璧」とか「物語を咀嚼する暇がなかった」とか表現しましたが、このロン・ハワード監督の「ラッシュ」もそんな感じですね。

ドラマを語る上での最低限の情報はすべて映画の端々で語られているので、きちんと拾って鑑賞できる人や、繰り返し見ればより深く味わえるんでしょうけど、私のようなポカーンとして観るタイプにはもう少しクドいくらいの演出がほしかったです。
はっきり描いていないことまで、勝手に自分で補完しながら観れる人、感受性の強い人にはオススメできますが。


レースシーンの低予算な感じは仕方のないことなんでしょうね。
メインとなるドラマが、1年間のツアーを通しての出来事なので、どうしても1レースの存在感が薄くなってしまいます。

ただ、もう少しF1の魅力を描いてくれてもいいんじゃないかなって思いました(´・ω・`)
彼らが走破したコースの特徴も分からなければ、F1レースの仕組みも言及なし。
この映画で分かることは、路面が濡れてる時はウェットタイヤですが路面が乾くとウェットでは速度が落ちるってことのみです。それもサクッと語られるだけで、毎レースその駆け引きをしているわけでもない。

私はレーシング・ゲームで割とリアルな種類のやつを遊んだことがあるので、ハントがはべらしてる女や、ラウダと出会ったばかりの彼の妻よりはF1やレースについて詳しいつもりです。
そんな私から見るとカーレースの醍醐味はあまり描かれてないのかな……と。
例えば、前を走る車の後ろについて速度を稼いだり、コーナーにベストな速度と角度で進入したり、けっこう地味な作業なんですよね、レーシング・ゲームって。

現実のF1のTV中継などを見ていても、やはりそういう基本的な走り方というものがあって、その上にドライバー個人のパーソナリティが乗っかってる。
この「ラッシュ」という映画はそのパーソナリティばかりを描いてカーレースの方はあまり描いてないので、そういう所が多くの老若男女に高い満足度を与える要因のひとつなのかもしれないです。

でも、私は普段こういう男同士の友情物語をわざわざ映画館まで観に行かないですから。
「F1」という要素があったからこそ興味をもったわけで。
その「F1」の部分が物足りなかったのは残念です(´・ω・`)




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