dd09e25f.jpg


星新一ミステリーSP

【監督】
飯田譲治
河野圭太
星護
後藤庸介
土方政人
【出演】
岡田将生
菜々緒
マイコ
小日向文世
川平慈英
マキタスポーツ
佐々木希
勝村政信
温水洋一
壇蜜
遠藤憲一

番組内容

程度の問題
きまぐれロボット
霧の星で
七人の犯罪者
華やかな三つの願い

感想

ショートショートの神様<星新一>の珠玉の名作を実写化したオムニバスドラマ。
録画して見てみました。

番組の冒頭で「すべての物語は要約できる」なんて格言めいたものが出てくるんですが、実際には要約どころか、原作であるショートショートに余計なものを付け足してしまっていた感じが……。
星新一は昔1冊読んだだけなのであまり知りませんが、ショートショートの魅力はわずかな文章でも簡単に理解できる内容で楽しませる所にあるわけで。

つまり、原作はあまりにも単純なアイディアなんですよね。
既視感たっぷり、なんのひねりもないような話。
それをごくわずかな文章で一瞬で語ってしまう所に爽快感や満足感があるのではないかと。



それに比べて実写化ドラマ……。
ひとつひとつが20分程度の短編ドラマとはいえ、やはり情報量が圧倒的に多いですよね。
「きまぐれロボット」で映画「サイコ」のオマージュやってましたが、あれは原作にはない描写らしいです。

星新一の珠玉の掌編に、現代の脚本家たちが肉付けをしてしまっているんですよ。
これは冒頭の「物語は要約できる」という言葉とは相反するものですよね。
何故、星新一が短くまとめたものをまた長く引き伸ばしてしまうのか(笑)
むしろ短いからこそ面白いと思える作品だと思うんですが……。

結局は「世にも奇妙な物語」のスタッフが原作を星新一に求めただけのTVSP……。そんな印象で終わりました。
どれも初めて見聞きするストーリーだったんですけど、よし星新一の本も読んでみるか、という気分にはならなかったのが、このドラマSPの出来をよく表していると思います。

d34749d0.jpg


「程度の問題」は、過剰に身の危険を意識するスパイの男が、慎重になりすぎて逆に破滅を招くという話。
最後の爆発オチが読めてしまうんですよね……。
やっぱりアイディア自体は単純なんですよ……。

「きまぐれロボット」は、別荘で新しいドラマの脚本を書いていたN氏の下に人型ロボットが送り込まれてきて、余計なお世話を焼いてくれるという話。
これも正直20分使ってこのラストかよ……と思いました。
なんつーか、子供だましですよね……。

「霧の星で」は、宇宙船の墜落で生き残った出稼ぎ労働者の男と、彼を見下すキャビン・アテンダントの話。
人間の心の深い所は描かれず、あくまでお先真っ暗のホラーとして終わりました。

「七人の犯罪者」は、無実の罪で懲役を言い渡された男が、罰を免れるために七人の犯罪者を捕まえる司法取引をするという話。
これが一番スパイスが効いていた作品で、皮肉な結末の後にもう一つ皮肉な結末が待っていて主人公笑うしかないという……。

「華やかな三つの願い」は、自殺しようとしていた女が悪魔に三つの願いを叶えてもらうという話。
最初は芸能界のスター、次は金持ち、しかし幸せは得られないというベタな展開でしたが、最後のまさかの選択がちょっと意外でしたね。
まあ何よりも壇蜜さんの拙い演技が妙に笑いを誘いました。ヘタ可愛いというジャンルですねこれは(笑)