雲のむこう、約束の場所(2004年、日本)

【監督】
新海誠
【声の出演】
吉岡秀隆
萩原聖人
南里侑香
石塚運昇
井上和彦
水野理紗
木内秀信

感想(2014年2月18日、DVDにて鑑賞)

新海誠のSF青春アニメーション。
初長編監督作品ですが、短編「ほしのこえ」よりもクオリティが格段に上がっていて、普通に面白かったです。



架空の日本。北海道がユニオン軍に侵攻され本州と津軽海峡を挟んで分断されたというちょっと未来が舞台です。

北海道の地にそびえ立つ、ユニオンが建設した謎の白い塔に憧れを抱く青森の中学生・浩紀と拓也は、いつか自作の飛行機で海峡を横断し、<ユニオンの塔>まで行くことを夢見ていました。
そして、2人が恋心を寄せる少女・佐由理も飛行機作りに興味を持ち、3人はいつか自作の飛行機で佐由理を塔まで連れて行くことを約束します。

しかし、ある日佐由理は突然2人の前から姿を消し、飛行機作りをやめてしまった浩紀は東京の高校へ、拓也は地元の高校へ進学します。
3年後、ユニオンとアメリカの緊張が高まり、開戦が近くなった時、佐由理と塔の秘密が明かされるのですが…。



夢に溢れていた時期の淡い初恋や、自作飛行機といった青春要素…、そして無垢な夢から覚め、現実に苦しむ少年が味わう喪失感…。
そういうのがたっぷりと描かれてる青春アニメです。

2人の男子の声優には、吉岡秀隆と萩原聖人。
特に吉岡秀隆のモノローグが作品の雰囲気を決定してると思います。
<新海節>とでもいうか、かなりセンチな文章で、心情の説明はほとんどモノローグで言ってます。

新海作品これまで見てきて、基本的にモノローグは多いです。
ただ、それ自体が新海誠のカラーであり、長所であるような気がします。
独自の表現方法と言っても過言ではないかも。



あらすじから受ける印象からすると、かなりぶっ飛んでいるSF設定も見所です。
蝦夷の地に建てられた天まで伸びる白い巨塔、その秘密…。

ちょっとぶっ飛びすぎの気もしないでもないですけど(メインは主人公たちの心情描写ですからね)、でも単純に設定だけでワクワクしましたねユニオンの塔。

「蝦夷が飲み込まれていきます!」
サード・インパクトみたいなことになってませんか…。