28日後...(2002年、イギリス)

【監督】
ダニー・ボイル
【出演】
キリアン・マーフィー
ナオミ・ハリス
ミーガン・バーンズ
ブレンダン・グリーソン
クリストファー・エクルストン
レオ・ビル
リッチ・ハーネット
スチュワート・マッカリー
ノア・ハントリー

感想(2014年3月12日、DVDにて鑑賞)

ダニー・ボイル監督が描くゾンビ・ホラー映画。

人や猿を凶暴化させるウィルス。
そのウィルスに感染したチンパンジーが、過激な動物愛護団体によって研究所から外に放たれてしまいます。

それから28日後…。
事故に遭って長い間昏睡状態だった主人公ジムは、無人の病院で目覚めます。
人気のないロンドンの街をさまようジムは、突如感染者の群れに襲われますが…。



ゾンビに追いかけられる映画だけど、あまりホラーものっぽくなく、音楽もノリノリだったりして、終わってみれば刺激的なエンタメでした。
ダニー・ボイルらしさっていうのは、ちゃんと出ていたと思います。

冒頭で動物愛護団体の行き過ぎた行動によって伝染病の動物が放たれ、感染拡大によって終末的な危機を引き起こしたり、ゾンビがよりにもよって教会で寝泊まりしている、といった描写が皮肉ですね。

後半は、ゾンビよりも人間の恐ろしさが描かれます。
滅亡後の世界に生き残った男と女に迫る、シンプルで野蛮な生存本能。
社会や文化が崩壊した時、「性」というものが原始的な意味を取り戻すんですね。

例えばアパートで隠れ住んでいた父娘を見て「先が無いな」と感じてしまうのは、人類滅亡の危機にあっては子孫を残すことが重要だから。
この父娘は本当に2人だけだったら将来的にどうしていたんだろう?なんてゲスな疑問が観客の頭をよぎる、そういったスリルがありますね。
ゾンビ映画という位置づけですが、何が怖いかというと、人類滅亡を前にして狂っていく(かもしれない)人々が怖い映画でした。

DVD特典でもうひとつのエンディングを見られるんですが、実は特典のエンディングの方が劇場公開時の結末のようです。
DVDになる時に別のエンディングに差し替えたようですが、DVD版の結末は爽やかな終わり方なのに対し、劇場版の結末は暗くて救いのない感じでした。
これは結末差し替えて良かった例だと思います。

あと、ゾンビ役を陸上選手が演じてるらしく、ゾンビが足速いです。本気ダッシュです(笑)
でも本作が公開された頃ならともかく、今では走るゾンビも当たり前になってきてますよね。
有名どころを挙げれば「バイオハザード3」とか「ワールド・ウォーZ」とか。

なので、やはりゾンビに驚く映画ではなくて、滅亡した世界でどう生き延びるかの物語ですね。
終盤のキリアン・マーフィーの表情がかなりキテます!