たまこまーけっと

【監督】
山田尚子
【シリーズ構成】
吉田玲子
【キャラクターデザイン】
堀口悠紀子
【アニメーション制作】
京都アニメーション
【声の出演】
洲崎綾(北白川たまこ)
金子有希(常盤みどり)
長妻樹里(牧野かんな)
山下百合恵(朝霧史織)
山岡ゆり(チョイ・モチマッヅィ)
田丸篤志(大路もち蔵)
山崎たくみ(デラ・モチマッヅィ)
日高里菜(北白川あんこ)
藤原啓治(北白川豆大)
西村知道/立木文彦/雪野五月/小野大輔/辻谷耕史/津久井教生/岩男潤子/渡辺久美子/家中宏/成田剣/日笠陽子/川原慶久/野坂尚也/下野紘/藤村鼓乃美

あらすじ

うさぎ山商店街にある餅屋「たまや」の娘・北白川たまこは、お餅と、生まれ育った商店街のことが大好きでしょうがない高校1年生の女の子。家族や商店街の人々から愛され幸せな毎日を送っていたたまこの下に、年末のある日、言葉を話す鳥・デラ・モチマッヅィが転がり込んできます。それは、高飛車な鳥と商店街の人々の一年に渡る不思議な交流の始まりだったのでした……。

感想

「けいおん!」と同じスタッフによって作られた、京アニの完全オリジナルアニメーション。
2013年1月から1クール全12話が放送されました。

餅屋の看板娘・たまこと商店街の人々が織りなす日常を描いた癒やし系アニメですね。
新作映画の公開に合わせて、1日限定で無料配信していたのを、頑張って全12話1日で見ました。
(教えてくれたHINOさんありがとうございますm(_ _)m)

私はあんまりこの手の作品って見ないんですけどね……。「けいおん!」も見たことないですし。
でも、すっごく良いアニメでしたよ(*´∀`*)
新作映画も見たくなりましたが、まだ見てませんすいません!



■失われつつある「地元」の良さを再確認

まず、舞台が主に地元商店街というのが一つの特徴になってますね。
主人公・たまこは商店街の一角に昔から店を構える老舗餅屋「たまや」の看板娘。
店主である父、祖父、妹らと暮らしています。

向かいに暮らす幼馴染のもち蔵も餅屋「大路屋」の一人息子。
たまこの同級生のみどりちゃんはお祖父ちゃんが商店街で小さなおもちゃ屋を経営。
同じく同級生のかんなちゃんは大工の娘という設定。

みんな家族が自営業やってるんですよね。いわゆるサラリーマン家庭というものが登場しないんですよ。
ちなみに商店街の大人たちもみんな個人経営で古くからの知り合い。

これ、けっこう見過ごせない設定だと思うんですよね。
というか、重要なポイントだと思うんです。

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自営業の家に育った子が普段何をしているかというと、「家業の手伝い」なんですね。
たまこの場合は母親がいないため、彼女が一家の母親的な役割も担ってます。
このたまこの甲斐甲斐しく家の手伝いをする様子は、後述しますがほんと健気でいいですよ。

でも、餅のことが大好きで、店と家族のことが大好きで、商店街のことが大好きなたまこの頭の中は、ちょっと普通の女子高生とはズレてるんですよね。
いわゆる恋であるとか、進路であるとか、そういう同世代の悩みとは無縁に思えます。(新作映画ではその辺がドラマになってるようです!)

それは、たまこが確固とした居場所を既に獲得しているからなんですよね。
たまこのホームグラウンド「うさぎ山商店街」。
「地元」が大好きって、最強だと思いませんか?

近所づきあいが希薄になった現代……。
この作品では、ちょっと理想的すぎるくらいにご近所との交流が楽しく描かれます。
それがやっぱり心地良いんですよね。
「自分もこの商店街の子に生まれたかった(できれば大路屋の息子ポジションで……)」と思ってしまったのは私だけではないと思います。



■完璧ではないものが「カワイイ」

なんといってもこの作品の魅力の大半は主人公・たまこの可愛らしさだと思います。
ツイッターの方ではたまこの魅力を「無自覚天然小悪魔美少女」と表現しましたが、「美少女?美少女……うーん……」って感じです。

これ、いわゆる絶対的ヒロインとしての可愛らしさではなく、平凡な少女が時折見せる、あるいは女子が元来持っている可愛らしい部分を引き出しているんじゃないかと。
説明が難しいですが……。

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アニメである以上、堀口悠紀子氏のキャラデザで美少女になってますが、たぶんイメージとしてはどこにでもいるフツーの女の子だと思うんですよ。
たまこがクラスの人気者という描写はないですし、たまこに想いを寄せる男子も(男子では)もち蔵ただ一人。
つまり、たまこは街を歩けば誰もが振り向くような美人ではないんですよね。

じゃあどんな所がカワイイのかというと、もうこれは私の個人的感想を羅列していきますが、
・「もっちぞ~ぉ」って呼ぶ声カワイイ。
・早起きして店や家の手伝いカワイイ。
・高1じゃなく中学生に見えるカワイイ。
・OPやED主題歌ビミョーに下手カワイイ。
・髪の毛下ろしたり眼鏡かけたりカワイイ。
・発表の場でアガリまくるのカワイイ。
・頭に鳥を乗っけてるのカワイイ。
・カワイイ、嫁にしたい、カワイイ。
……などなど、ぶっちゃけ毎話毎シーンカワイイので挙げてくとキリがないんですが。

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つまり何が言いたいかというと、けっしてたまこの可愛らしさは絶対的な「美」から生まれるものではない、ということ。
ちょっと失敗したり、カッコよくなかったり、言ってしまえば「可愛くない所もカワイイ」……最強ですね。

でも、何気ない仕草や意味のない会話の中にカワイイは隠れている……。
その辺を山田尚子氏・吉田玲子氏は見せたかったのではないでしょうか。



声優・洲崎綾もたまこの可愛らしさを演出するのに欠かせない存在だったのではないかと思います。
「カワイイ声」と言えばそれまでなんですが、なんとなくひょうきんな?というか「面白さ」が乗っかってる声で、たまこの裏表のまったくない明るさ、そして恋をする前の少女の無邪気さがよく現れていたと思います。

主題歌がビミョーにヘタなんですが、新作映画の主題歌を試聴してみたら普通に上手い。
映画主題歌は洲崎綾名義で、アニメOP・EDは北白川たまこ名義なので、わざとヘタに歌っていたんですねすいません!



■リアルな感情描写路線

毎回いろんな騒動(というほどでもないもの)が起こるんですが、けっこうそこで描かれる登場人物たちの想いがリアルというか、しっかりオリジナリティのある感情として描かれてましたね。
エピソード自体はそんなに目新しいものではないんですけど、そこで悩むキャラたちが記号的にならず、一個の人間として扱われていたと思います。

特筆すべきは、幼馴染もち蔵と同級生みどりちゃんの恋心。
みどりちゃんが、多分アレたまこのことが気になってるんだと思うんですけど、単に百合がオリジナリティあるということでなくて、それを匂わせるだけに留めた見せ方がうまかったな~と。

ハッキリ描写はしてないんですよね。
視聴者に「あれ?みどちゃんはもしやたまこが好きなの?」と思わせる程度に留めている。

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夜の浜辺でのもち蔵との会話も、まるでみどちゃんがもち蔵に自分を気にしてほしいみたいな描写になってますが、裏の意味ではたまこをもち蔵に取られそうで危機感を抱いている……。
ここは深読みが許されている場面だったので、そういう見所があると一気に興味も湧きますね。



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あとは、たまこと朝霧さんが友達になる回とかね。
引っ込み思案な性格の子があるきっかけで主人公と仲良くなるというそれだけのエピソードなんですけど、感情が丁寧に描きこまれていて見入ってしまいました。

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妹あんこの初恋と別れ、父の豆大の母との馴れ初めのエピソードも良かったですね。(ぶっちゃけあんこの方がたまこより美人だと思うんですが、それは私がロリコンだからですかね?)
みどちゃんの小さなウソから始まる苦悩のエピソードも良かったすわー。
あと、たまこに誕生日祝ってもらえて思わず涙腺崩壊しそうになるもち蔵、鈍感な子を好きになると苦労しますね……。

あと、デラちゃんがいつもポヨポヨのダメダメですが、たまにアツいこと言ったり男前だったりするので楽しませてもらいました。
チョイちゃん来てからがなんか不憫だったけど。

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正直、もっともっといろんなエピソードを楽しみたい作品ですね。
たった1日で鑑賞を終えてしまったのがちょっともったいなかった気分。

同じ1年を繰り返す日常アニメではなく、高1の年末から1年間という限られた時期もこの作品に必要不可欠な舞台設定だったのかな、と思います。
新作映画では、この日常系の雰囲気はガラリと変わってるんでしょうね。
逆に、より等身大の感情や逃れられない現実との対峙を描いた新作があるからこそ、この平和な日常を描いたアニメシリーズが美しい思い出として残り続けるのかもしれませんね。

まあとにかく現在公開中の新作を見逃さないようにだけ注意したいです。
(まだ予定にはないですすいません!)