STAND BY ME ドラえもん(2014年、日本)

【監督】
八木竜一
山崎貴
【声の出演】
水田わさび
大原めぐみ
かかずゆみ
木村昴
関智一
萩野志保子
三石琴乃
松本保典
田原アルノ
妻夫木聡
【アニメーション制作】
シンエイ動画
白組
ROBOT

感想(2014年8月23日、MOVIX仙台にて鑑賞)

何をやってもダメな小学生・のび太を幸福にするため、22世紀の子孫によって送り込まれたロボット・ドラえもん。
のび太がクラスメイトのしずかちゃんを好きなことを知ったドラえもんは、のび太としずかちゃんが結婚する幸福な未来を実現するため、不思議な未来の道具を使ってのび太を助けるが…。



国民的アニメ「ドラえもん」を最新の3DCG技術で描いた映画「STAND BY ME ドラえもん」(略してSBMドラえもん)を観ました。
まあ、期待よりも不安の方が大きかったですが、「ドラ泣き」とか「すべての子供経験者へ」とか挑戦的なキャッチコピーが目についたので、ツイッターの方でフォロワーさんの勧めもあり、観てきました。

春休み恒例の劇場版と何が違うのかというと、最大の違いは、2Dではなく3Dで描かれていること。
ディズニー映画の「アナ雪」を思い出してもらえば話が早いですが、要するにピクサーやドリームワークスのように3DCGの奥行きのある映像で描いてます。

「ドラえもん」は元は漫画ですから当然2D的なキャラデザなわけで、それが3Dで再現された時に別物になってしまうんじゃないか、という懸念があったんですが、それは杞憂でした。
3Dで描かれてもキャラクターに違和感はありませんでした。
というか、そもそも最近TV放送の方を見ていない私は、ドラえもんと言えば3Dの方を思い出すように記憶が上書きされてしまいました(笑)

アトラクション的な映像も良かったですし、しずかちゃんもカワユス~///でしたし、ホント映像面では良かったですね。



春休み劇場版とのもう一つ大きな違いは、映画オリジナルのストーリーではないということ。
異世界などで新たな仲間と共に強大な悪と戦うというお約束の展開ではなく、過去に発表されたお話を再構成して作られたラブストーリー(ドラえもんなりの)になってます。

のび太とドラえもんの出会い、しずかちゃんの結婚前夜、ドラえもんが未来に帰ってしまうエピソード。
この3つの有名なエピソードを上手く繋ぎあわせてひとつの物語にしたのだ……と思っていたら、調べたら7つものエピソードを再構成したらしいです。
そうすると、山崎貴監督がオリジナルで作った部分は少ないのかな……?

まあとにかく上の3つのエピソードが目立ってるわけですが、特に泣かせにかかってくるのが結婚前夜とさようならドラえもん。
私は後者は大丈夫でしたけど、前者の、しずかちゃんのパパが娘の生まれた日のことを語り出した所で涙腺が緩みました。

とはいえ、それはメインの泣き所とは違うわけで、やっぱりメインのお話の方は破壊力が乏しかったかな、と。
ドラえもんとの別れのエピソードのために、もう一つの鉄板ネタの結婚前夜をうまく組み込んではいました。
しずかちゃんとの幸福な未来予想が、ドラえもんの不要に繋がるというね……。
ただ、結局ドラえもんとの別れはただ泣けるだけのエピソードで、結末を考えると何のメッセージも残してないんですよね。
中盤あたりで語ってた、「未来は変えられる」とかの方がメッセージ性はあったんですが。

結局のところ、「すべての子供経験者へ」なんて大人も楽しめる風な宣伝をしていても、基本がドラえもんなのでそれ以上にはならなかったですね。
SBMドラえもんは「いつもの」ドラえもんなんです。深いテーマ性とか新解釈とか求めても始めから無いんです。
だから私はSBMドラえもんをはりきって観に行っちゃいけなかったんです。金曜の夕方にテレビのスイッチを入れるくらいの気楽さで鑑賞するべき映画でした。