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ルパン三世
(2014年/日本)
【監督】 
北村龍平 
【キャスト】 
小栗旬 
黒木メイサ 
玉山鉄二 
綾野剛 
浅野忠信 
ジェリー・イェン 
キム・ジュン 
タナーヨング・ウォンタクーン(クラドゥム) 
中山由香 
吉田和剛 
山口祥行 
ラター・ポーガーム(ヤーヤー・イン) 
ジャエンプロム・オンラマイ(ゴッティー・アラムボーイ) 
ウィッタヤー・パンシリガーム(プー) 
ニルット・シリチャンヤー(ニング) 
ジェフリー・ジュリアーノ 
ニック・テイト 

*感想(2014年8月30日、109シネマズ富谷にて鑑賞)

ルパン三世や峰不二子らが所属する盗賊集団<ザ・ワークス>。 
富裕層から財宝を強奪することをポリシーとしていた彼らだったが、メンバーのマイケル・リーの裏切りに遭い、リーダーを失ってしまう。 

1年後、泥棒稼業を続けていたルパンは、自分を逮捕した銭形警部からある取引を持ちかけられる。 
1年前にザ・ワークスの本拠から<クリムゾンハート・オブ・クレオパトラ>の一部<光の首飾り>を持ち去ったマイケル・リーが名前を変え、<光の首飾り>の対となる<真紅のルビー>を手に入れるために裏社会の首領プラムックとの取引を行おうとしていたのだ……。 



モンキー・パンチ原作の「ルパン三世」の実写化映画作品。 
予告編がちょっと面白そうだったのであえて騙されて観てきました。 
(不二子に騙されてると分かっててお願いを聞いちゃうルパンの心境に近いかもw) 

先に結論を書いとくと、う~んビミョ~……(´・ω・`) 
けして人に勧めるような出来の映画ではなかったですが、こき下ろすほど酷くもなかったような……。 
こういうのが一番モヤモヤします(笑) 

まず、日本向けではなくアジア向けに作られた映画みたくなってるんですよね、これ。 
主要なキャラクターに台湾や韓国の俳優を起用し、主要ロケ地となったタイの俳優も多く参加しています。 
俳優たちの台詞もたぶん英語か何かで喋っており、主演の小栗旬の顔に小栗旬が日本語で声を当てるという演出になってるようです。口と声がたまに合ってないのが気になるといえば気になりました。 

ルパン一味は今回けっこうな大所帯(笑) 
ルパン・次元・五ェ門・不二子の他に、ライバルのマイケル、ITに強いピエール、そしてさらにITに強いヨゼフも撮影中に追加されて……。 
彼らが敵の要塞攻略をシミュレートしたり、優雅に朝食をとったりする姿は「オーシャンズ11」みたいに見えてしまいました。 

ルパンの割りと一人で何でもできちゃう感じは今回はなかったですね。 
むしろノープランのように見えて実は用意周到な所がルパン三世の面白さのひとつだと思うんですが。 
先に計画を提示することで映画を盛り上げる常套手段の「タイムリミット」を盛り込んでも、結局見せ方悪くてハラハラしませんでしたし……。 

ルパンの変装の技術についても、今作ではまったく披露されてないと言っても過言じゃないでしょう。 
今作のあれは「変装」ではなくて「扮装」にすぎません。別人になりすましてこその変装で、架空の人物を創り出しちゃズルな気がする……。 
顔を顎からベリベリッと剥がし取る演出はベタでもやってくれないと……。 



……という風に、アニメルパンとの違いとか挙げてくとキリがないんですが、まあ評価できる所もいくつかあって……。 
全体的にギャグがシュールというか滑ってる中で、綾野剛演じた五ェ門はけっこう笑わせてくれましたし、黒木メイサは絶対に不二子じゃないと否定しつつもキャットファイトや入浴シーンなどは評価せざると得ない。(でも、ヤマトの森雪に続いて、不二子まで……もう実写化ヒロインはこれで最後にしてください……) 

小栗旬のルパン三世も、悪いのは設定や演出であって、小栗旬自体はすごく「これはこれでルパン」なんですよね。 
せっかく「これはこれでルパン」なのに、アクションくらいしか見せ場ねえとかさ……もったいない。 

結局の所、「ルパン三世」でなければ(それでも凡作だけど)許せる出来にはなってるんですよね。 
ルパン三世と思って観たら負けなんですこれは。 
でもルパン三世でないなら観に行くほどでもないのも事実なんです(笑) 
やはりどうしてもルパン三世だから、という理由で観に行くことになるのでビミョ~な気持ちになるんですかねー。

さらに、「ルパン三世」が持つネームバリューのみに踊らされてる感じもするんですよね。 
近年のTVスペシャル版アニメは全部見てますけど、特別面白いかというとそこまで面白くないような気がするんですよ。 
深夜枠でやってた「峰不二子という女」シリーズは挑戦的(かつ官能的)で良かったし、最新劇場版「次元大介の墓標」もハードボイルドな作風で面白いらしいですけどね。 

現在、「ルパン三世」シリーズはシリアスでハードボイルドな作風の路線と、コミカルの中に適度にシリアスを入れたエンタメ路線と、二つの方向性が共存してる状態だと思うんです。 
今回の実写化映画はそのエンタメ路線の方。いろいろビミョ~なことになってましたが、ゴールデンタイムに茶の間で気楽に見る用としては間違ってはいないのではないかと思いました。
金曜ロードショーの「ルパン」のストックがひとつ増えたのは間違いないですね。