複製された男(2013年、カナダ/スペイン)

【監督】
ドゥニ・ヴィルヌーヴ
【出演】
ジェイク・ギレンホール
メラニー・ロラン
サラ・ガドン
イザベラ・ロッセリーニ
ジョシュア・ピース
ティム・ポスト
ケダー・ブラウン

感想(2014年9月3日、フォーラム仙台にて鑑賞)

大学で歴史を教えているアダム・ベルは、恋人とのセックスにさえ楽しみを見いだせず、何の刺激もない日々に虚しさを感じていた。
ある日、何気なく映画のDVDを見ていた彼は、劇中に脇役として出てくる無名の俳優が自分と瓜二つであることに驚く。

取り憑かれたようにその俳優アンソニー・クレアのことを調べたアダムは、さまざまな手を尽くしてついに彼との面会を果たす。
顔の作りのみならず、声や体格、生年月日、さらには後天的な傷痕までもが同じ位置にあることを知り、アダムとアンソニーは戦慄するが……。



ツイッターの方では映画ファンからけっこう好評だったみたいで気になっていた映画。
遅れて仙台でも上映されたので観てきました。

評判のとおり、初見ではわけのわからない映画です。
瓜二つの二人の男が出てきて、果たしてドッペルゲンガーか、クローンか、と悩んだのも束の間、意外な展開へと突き進んで行き、もしかしてこれで謎が解けるか?と思った所で暗転。
「あっ…この間はまさかラストカット?」と察した瞬間終わりました(笑)

エンドロールが始まって、ナニコレわけわかんない…とニヤニヤしてたら原題「ENEMY」がドーンときて益々わけわかんない(*´ ω `* )ウフフ
良い意味で観客は置き去りにされます。

終始漂う不穏な空気…、ごく自然に挿入される奇妙なカット…、さらけ出された人間の精神の暗部…。
ストーリー演出も見事で、時にスリリング、時にハラハラ…。(←同じかw)

そして、さまざまな解釈が鑑賞後の客席から沸き起こってくる類の映画ですね。
公式サイトにはネタバレレビューや、監督・出演者の公式見解的なコメントもありますが、それを読んでもなお、腑に落ちない点もあったりして…。
上映期間終わってしまいましたが、是非また見たい映画です。





以下、ネタバレありの内容になりますので、映画を未見の方はここまで!





もしかしたらループしてる話かもしれない、などと鑑賞直後に妄想しました。
冒頭のエロルームと、ラストカットは繋がっていて、アダムがアンソニーの代役になり、やがてアンソニー代役がまた別のアダムと出会いすり替わる…なんて。
まあ死と生という時の流れ・変化の要素があるのでループはないにしても、ある意味時間の止まっているような作品。
荒唐無稽なSFを純文学で語ったようなそんな感じの映画。

公式ネタバレを読むと、一人の精神世界を描いた物語ということで、精神世界って時間の概念ないですからループっぽく見えても不思議じゃないなーと(笑)
ただ、まったくSFではなくて、男の社会性についての誰にでも通ずる話でした。
それだけの話をよくもこんなにややこしく書いたものだと感心しました。

で、ネタバレ読んでもまだモヤモヤしてるのは、アンソニーの妻ヘレンの視点で描かれてるシーンのせい。
ヘレンはアダムに会いに大学へと行き、そこで夫アンソニーと瓜二つの男と言葉を交わします。
そして、アダムが去っていく背中を見ながらアンソニーに電話をかけ、すぐにアンソニーが応答しますがその時アダムが電話とった素振りはない…。

これはアダムがアンソニーの演技ではなく、二人の男が別の場所に同時に存在する別の人間であることを、ヘレンに確認させるシーンでした。
これがあったからこそ、私も、アダムとアンソニーは別の人間であるという前提で映画を観たんですよね…。

「学校どうだった?」というヘレンのセリフが、夫の本当の職業を言ってるという部分は、直前の表情からカマをかけたように思いました。(表情から何を考えてるかなんて分からないですけどね)
そして、やはりアンソニーと違うと知っててなお、したたかな女は、男を受け入れるんじゃないかな…なんてこんなこと書いたら女性を敵に回しそうですけど(笑)

蜘蛛と妊婦はお腹が似てる、ということもあるし、やはり妊娠中の妻から逃げたかった男の話なんだろうし、その解釈に異論はないけど、私の中ではヘレン視点で描かれた大学でのシーンがどうしても引っかかるんですよね…。