楽園追放 -Expelled from Paradise-
(2014年/日本)
【監督】
水島精二
【声の出演】
釘宮理恵
三木眞一郎
神谷浩史
稲葉実
江川央生
上村典子
林原めぐみ
高山みなみ
三石琴乃
古谷徹
【アニメーション制作】
グラフィニカ

*感想(2014年11月16日、MOVIX仙台にて鑑賞)

ナノハザードによって荒廃した地球。人類の98%は地上と肉体を捨て、データとなって軌道上に存在する電脳世界ディーヴァで暮らすようになっていた。
西暦2400年、そのディーヴァが異変に晒されていた。
<フロンティアセッター>と名乗る者によって地上からハッキングを受けていたのだ。

ディーヴァの高度なセキュリティを突破してくる謎のクラッカー、フロンティアセッターの目的は何なのか。
ディーヴァ保安局の捜査官アンジェラは、生身の体・マテリアルボディをまとって、地上世界へと降り立つ。
現地オブザーバーとして徴用した地上調査員ディンゴと共に、荒廃した地上のどこかに潜むフロンティアセッターを探すが……。



「機動戦士ガンダム00」の水島精二監督と、「魔法少女まどか☆マギカ」の脚本家・虚淵玄がタッグを組んだ、オリジナルのサイバーパンクSFアニメです。
アニメ絵を3DCGで表現するという、ジャパニメーションの最先端をいく作品でもあります。

主人公は、電脳世界ディーヴァの優秀なエージェント・アンジェラ。
ひざ下まである長い金髪に、捜査官用の体にフィットした露出の高いコスチュームで地球に降り立った16歳の天使。
相棒役のディンゴからは「ロリぃ」と言われてしまいますが、その見事なナイスバディっぷりは16歳とは思えないほど。素直にカワイイと言っておきましょう。

でも、個人的にこのアニメ映画に惹かれたのは、やはり虚淵玄というネームバリューでしょうか。
やっぱり私にとっては、まどマギのインパクトと、PSYCHO-PASSのエグさが印象的で、何かしらやってくれるんじゃないかと思ってしまう人なんですよね。
その虚淵が、オリジナルの劇場長編アニメ(しかもSF)を作ったらしいとなれば、まあまずは観に行きましょう、と(笑)

結論を先に書いてしまうと、PSYCHO-PASSのようなハードな展開はなかったですね。
電脳世界うんぬんの要素は説明なしに出てくるんですけど、全体的なストーリーはそれほど小難しくないんですよね。(ひとつひとつの要素を突き詰めていくと実はすごく面白いですが。マテリアルボディとか)
たぶんサイバーパンク入門編みたいな感じになるんじゃないでしょうか。

展開が割とアニメの王道を行く感じでした。
非物質社会にどっぷり浸かった主人公が、地上の不便で煩わしい物質文明と出会って徐々に変化していくという流れが、ある意味ステレオタイプの展開です。

そしてその物語で動き回る主人公も、ツンデレ少女というステレオタイプの個性なんですよね。
キャスティングも釘宮理恵で、思った通りのキャラクターになってるというか……。
(ちなみに、林原めぐみ、高山みなみ、三石琴乃というベテラン陣が脇役で登場してるの豪華ですよね)

だけど、そこがこの作品ではキャッチーな部分になっていて、その敷居の低さは、コアなSFファンよりも中高生を狙ってると思うんですよ。終盤はスリルよりも多幸感に包まれますからね、この作品。
そういう意味で、サイバーパンク入門編。



アンジェラのかわゆさの他の見所は、機動外骨格と呼ばれる戦闘ロボ・アーハンの戦闘シーンですね。
おそらく演出の京田知己の手による戦闘シーンがキレッキレに走ってたんですが、この京田知己という人は「交響詩篇エウレカセブン」で格好いい空中戦をやってくれた人なんですよ。
ちょっと速すぎてわけわかないくらいなんですがかっこよかったですね。「銀河機攻隊マジェスティックプリンス」の高速戦闘を思い出しました。

機巧っぽい外見の美少女、ロボットによる戦闘、この二つだけとっても制作側がやりたいものがちゃんとやれた作品だったんじゃないかと思います。
ただ、着地点が少しボヤケた印象もありました。
ディーヴァ社会についてもっと描いてほしかったし、終盤の展開でフロンティアセッターの大義が少しブレてしまった気がするんですよね。

何より、アンジェラが結末に直接関わるフラグを盛大にへし折ったんですよ(笑)
あのフラグが実現していたら、SFファンも納得してしまうようなセンス・オブ・ワンダーになっていたと思うんですが、けっこう身近な価値観に着地しましたね。その辺も入門編と感じた理由かも。

まあとにかく若い人たちに観てほしい作品ですし、若い人たち向けに作ってると思います。
この作品をきっかけにして、SFに興味を持ってもらえれば嬉しいですし、最近また盛り上がってきているというサイバーパンクがより一般に浸透するきっかけになったりしたら面白いと思うんですが。