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ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還 (2003年、アメリカ)

【ジャンル】
ファンタジー/アドベンチャー
【監督】
ピーター・ジャクソン
【出演】
イライジャ・ウッド (フロド)
ショーン・アスティン (サム)
イアン・マッケラン (ガンダルフ)
ヴィゴ・モーテンセン (アラゴルン)
オーランド・ブルーム (レゴラス)
ジョン・リズ・デイヴィス (ギムリ)
ドミニク・モナハン (メリー)
ビリー・ボイド (ピピン)
リヴ・タイラー(アルウェン)
ケイト・ブランシェット (ガラドリエル)
ヒューゴ・ウィーヴィング (エルロンド)
バーナード・ヒル (セオデン)
ミランダ・オットー (エオウィン)
カール・アーバン (エオメル)
デイヴィッド・ウェンハム (ファラミア)
ジョン・ノーブル (デネソール)
アンディ・サーキス (ゴラム)
イアン・ホルム (ビルボ)

あらすじ

指輪を葬るためにモルドールへとたどり着いたフロドとサム。しかし、道案内をするゴラムは、指輪を奪うため二人の仲を裂こうとしていた。一方、冥王サウロンの軍が次に標的としたのは、人間族の最後の砦ゴンドール。アラゴルンとセオデン王が率いるローハン軍は、最後の希望を守るためゴンドールの都ミナス・ティリスを目指して進軍するが……。

感想 (2012年12月19日、DVDのSEEにてDisc1鑑賞)
(2012年12月20日、DVDのSEEにてDisc2鑑賞)

J・R・R・トールキン「指輪物語」の実写映画「ロード・オブ・ザ・リング」の3作目「王の帰還」です。
やはり最後もスペシャル・エクステンデッド・エディションで鑑賞。収録時間は250分で、ついに4時間超えました!アハハ、ナニコレー?'`,、('∀`) '`,、
あまりに長いので2日に分けて鑑賞しました(-_-;)これは3部作というより6部作なのでは?(笑)


最終章もやはり最大の見所は人間対サウロン軍の攻防戦でしょうか。
前作「二つの塔」の防衛戦も素晴らしかったけど、今回は野戦や進軍模様も描かれていて、戦記ものとしても非常に面白いと思います。
ファンタジーとしても、アラゴルンが率いる亡霊の軍団とか、マンモスサイズの象に乗った部族兵とか、いろいろぶっ飛んでますよね。
(その象の鼻で滑り台するレゴラスが一番ぶっ飛んでいたかもしれませんがw)

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人間ドラマではゴンドールを統治する執政のデネソールと、その息子で軍を率いるファラミアの確執が面白かったです。
1作目で指輪に魅入られたボロミアの父であるデネソールは、長男の死に絶望。次男のファラミアのことはまったく認めていない様子で、「ボロミアではなく弟の自分が死んでいた方がよかったのでは?」というファラミアの質問にイエスと答えてしまう最低の父親ぶり。
(ボロミアって優秀な長男だったんだーという驚きもw)

それでも都を守るために父の無謀な突撃命令に従って、オスギリアスの砦に馬を走らせるファラミアの姿には何か心打たれるものがありましたね。武士道に通ずるものがあるかも。
ただし、その後は活躍なかった割に「あの人」の心を射止めたりするのがなんか釈然としない(笑)


「二つの塔」でエントと共に戦った二人のホビット、メリーとピピンは、今作では意外にも鎧兜に身を包んで戦います。
さすが最終章だけあって、彼らの顔からも笑みが消えておりました。なんか燃える展開。
お笑い要員だと思ってたんだけど、すっごい真面目でした、今作では。ホビットは誰でも小さな身体に大きな勇気を秘めているということなのかもしれません。
ちなみに、ギムリは相変わらずコメディ担当で安定(笑)

ローハン軍に隠れてついてくるエオウィンも大活躍でした。
ただ、あえてダメ出しするなら大活躍すぎましたね。いくら「ローハンの盾持つ乙女」と呼ばれる剣豪とはいえ、初陣で金星あげちゃうんですよね。ちょっとこれは強すぎじゃないかなーと思っちゃいました。あるいは、やられたナズグルが弱すぎに見える?(;´Д`)

あと、後半で出会ったばかりの「あの人」とくっついちゃうのもなんだか釈然としない(笑)
アラゴルンのことはもういいんかーい!ってなってしまうんですよね。
その辺の描写が乏しくて、その他では完璧に描き切っているだけに、「あれれ?」となってしまいました。
ちょっとラストにかけての細部が強引でしたかね。(でも気にならないほどの細部ですけどね)


さて、本筋のフロド班の旅も佳境。
滅びの山を目指してオークたちが行き交うモルドールの荒野をさまよいます。
ついにゴラムはその本性を現し、策略でフロドたちを陥れます。

2作目ではまだゴラムの善と悪の葛藤が描かれていましたが、本作ではついに悪の勝利(笑)
というか、相変わらず二重人格っぽいんですが、「善いスメアゴル」だと思ってた方まで、だんだん悪い方になっていくのは中々おぞましいものがありました(;´Д`)

映画の冒頭では、ゴラムがスメアゴルと呼ばれていた頃、指輪を手にしたエピソードも描かれます。
もう一目見たその瞬間から指輪の魔力の虜で、仲間からそれを奪うために恐ろしいことをしでかしてしまうゴラム。一つの指輪に魅せられ、人格や姿形を変貌させるほどに狂ってしまったという、実に面白いキャラクターでした。


今作で一番泣かせてくれるのはサムかもしれませんね。
3作目のマイ・ベスト・キャラクターはサムにします。


これまで献身的にフロドを支えてきたサムですが、フロドの心はどんどん蝕まれ疑心暗鬼になっていきます。そしてゴラムの策略にハマったフロドは、サムのことを疑い、彼にホビット庄に帰るよう命じます。
しかし、それでもフロドの身を案じ続けたサム。
フロドの窮地に駆けつけ、小さな身体に秘められた大きな勇気を武器に奮闘する姿はものすごくかっこよかったです♪

さらに終盤ではこんな名セリフも。
「あなたの重荷は背負えませんが、あなたなら背負えます!」
……と言って、フロド担いで滅びの山を登るんですよね、いや~これは(´∀`*)

で、何気に時々イケメンですしね、彼は。(もちろん性格イケメンでもある)
肥満体型の役柄ですが、実は精悍な顔立ちをしていて、個人的に「ロード・オブ・ザ・リング」で一、二を争うイケメンじゃないかと……。つーか、彼の顔がアップになるたび何故か落ち着きます。(逆に、フロドがアップになるたびにざわざわするw)
サムを演じたショーン・アスティンを調べてみたら、実は子役時代に「グーニーズ」で主役を演じた人なんですよね。(「ロード・オブ・ザ・リング」見ながら気づいた人はかなりの洋画マニアだと思います)

「(故郷に)もう戻ることはできないだろう」というフロドの切ない覚悟を知って、彼を最期まで支えようとした優しきホビット、サム。
彼なくしてフロドの苦悩は表現できなかっただろうし、彼がいたからこそ魔性の指輪の恐ろしさが描けたのだと思います。
使命を果たした男たちが溶岩の海の中で寄り添うシーンは腐女子じゃなくても胸アツですよ♪

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最終章なので、長めのエンディングシーンにも注目したいところ。
フロドが自分の冒険譚を書くくだりは、現在公開中の「ホビット」を始めとするシリーズが完結した後で見るとまた感慨が湧きそう。

そして故郷に戻ってきた4人のホビット。元の生活に戻って行った者と戻れなかった者、ここで「もう戻ることはできないだろう」というセリフにもう一つの意味があったことに気づいて鳥肌。
ある意味では切ない終わり方でしたが、「ファンタジー」=「夢」の終わりとはそういうものなのかもしれないですね。





というわけで、「ホビット」公開に合わせて「ロード・オブ・ザ・リング」三部作を復習したわけですが、3作通して見て、本当にすごいスケールで作られたシリーズだと再認識しました。(SEEでは3作品合計で10時間を超える超大作でした)
アツくレビューを書いたつもりですが、でも個人的にはそこまで好きな作品ではないんですよ?(笑)

この作品は、なんていうか、好きとか嫌いとか超越しちゃってる感じがするんですよね。
やはり、圧倒的なスケールと長さが壮大な叙事詩を見事に完成させていて、そういうものを前にするとただひたすら感動するしかないという……?
もうちょっとスマートにまとめても良かったのでは?……なんて野暮なことは言いません(笑)

本格ファンタジー映画としても、これほど他の追随を許さないシリーズもないんじゃないかと。
そういう意味では素晴らしい作品だし、今後も語り継がれていく映画だと思います。



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三部作レビュー達成を祝って……乾杯~♪