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JUMP UP
SUPERCAR

Epic Records, 1999, Japan

曲目

Walk Slowly
Sunday People
Jump
My Girl
Wonderful World
Love Forever
Tonight
Skyphone Speaker
Low-down (Live Scene)
Talk Talk
Daydreamer

感想

スーパーカーの2ndアルバム「JUMP UP」です。
1999年の春のアルバムで、当時高校生だった僕は世界の終わりを前に毎日聴いてましたね( ^ω^ )


スーパーカーはデビュー当時はノイズギターが特徴的なロック・バンドでした。
しかし、この2ndアルバムに先行して発売されたシングル「My Girl」で早くもアコースティックなナンバーを繰り出します。たしかシングルの帯には「スーパーカーがノイズギターを捨てた!?」ってコピーがあったような…。

とにかく、1stの熱が冷めやらぬうちにさっさと進化を始めてしまったスーパーカー。
これ以後、僕にとってスーパーカーは「進化し続けるバンド」となったし、彼らに引っ張られる形で音楽の興味も広がって行きました。


このアルバムはとても実験的な一枚。
全曲通してプチップチッというレコードノイズが意図的に流れているし、楽曲もいろんなアプローチのものが混在しています。

#1「Walk Slowly」は、それまでのスーパーカーではありえなかった電子音のシークエンスから始まり、やさしくも力強い声と、時に激しく掻き鳴らすギターのメリハリが印象的な曲。
シングルでもある#2「Sunday People」は、新たにブレイクビーツを取り入れた曲。
#3「Jump」では、アコースティック・ギターの奇妙なアルペジオとのん気なメロディーで不思議な曲を奏でます。

#4「My Girl」は、これフォーク・ロックと言ってもいいんだろうか?
でも、メロディーがやはりスーパーカーぽいですね。
この曲は歌詞が秀逸で、若者のけっして常に前向きではない心情を気怠く歌っています。

#5「Wonderful World」もクリアなギターで構成された曲。ミキちゃんがボーカルをとるファンタジックなナンバーですね。
でも、個人的にはこの曲は、素晴らしいリズム・ループが、ギターの音に隠れがちになってるのが残念なんですよ。
あくまでも実験的で、完璧な音の配置ではない、というのが、アルバム通してのイメージでもあります。


#6「Love Forever」では、ついにピアノまで登場^ - ^
甘い甘い愛のメロディーを奏でます。
この曲はシングルカットもされました。
#7「Tonight」では、最初の数フレーズだけナカコーが歌って、後はミキちゃんボーカルという変則デュエット。
#8「Skyphone Speaker」は、このアルバムで一番のロックナンバー。
しかし、これも実験的な一曲で、1:10過ぎたあたりのサビから突然音がクリアになるという演出。
テンポは遅くないんですが、それでもブレイクビーツです。

で、さらに実験的な一曲が#9「Low-down (Live Scene)」です。
この曲ではラップまで取り入れてるんですよね( ^ω^ )
曲調はとてもダーク。リリックはやはりスーパーカーらしく独特。

#10「Talk Talk」もゆったりしたリズムの上で深い歌詞が流れる曲ですね。
なんか個人的に海っぽい曲だな~といつも思います。大海原を渡るイメージ。
#11「Daydreamer」では、ソフトなシンセとオルガンやピアノで幻想的な空間を作り出します。
曲間にナカコーの咳き込む音(ゴホッゴホッ!)が入ってるんですが、それが良い感じに曲に切実さを与えている気がしますね。

ってか、レコードノイズの件もそうだけど、わざと不完全なものにしようという試みだったのかな?
このいかにも発展途上で拙さが残るアルバムは、他の作品と比べて圧倒的にナマモノです。