ONE PIECE FILM STRONG WORLD (2009年、日本)
感想 (2012年4月22日、TV録画にて鑑賞)
大人気漫画「ONE PIECE」の劇場版アニメ第10作目「ストロングワールド」。原作者の尾田栄一郎が初めて映画のためにストーリーを書き下ろし、自身も製作総指揮として参加しています。
原作の物語は海賊王を目指す主人公ルフィが、麦わら海賊団を作り仲間たちと共に冒険し、強大な海賊や悪役たちと死闘を演じるというもの。
悪魔の実を食べたことでゴム人間となったルフィが、様々な能力者たちと闘うバトル漫画/アニメです。
僕が高校生の頃に連載やらTVアニメやらが始まった作品だったかな……。
漫画はすごく感動したんだけど9巻くらいまでしか読んでないし、アニメの方も数年見てたけどある時から見なくなりました……。
そんなわけで、TV放映で流れたこの劇場版は僕にとって久しぶりのONE PIECEというわけです。
劇場版の物語は、金獅子のシキという大海賊が麦わらの一味の航海士ナミを連れ去り、ルフィたちが彼女を奪還するというもの。
あらためて文章に書くとなんとシンプルな話だったんだろう(笑)
金獅子のシキによってルフィたちの故郷であるイースト・ブルーが壊滅の危機にあったりするわけなんですけど、基本的にはさらわれた仲間を助けるというだけなんですね、これ。
物語の見所は、ナミが去る前に残したメッセージ。
シキには敵わない、とルフィたちに諦めるように諭した後で、こっそり呟いた一言「絶対に助けに来て」
これが、ルフィたちの絆の深さを物語っているようですね。
ナミってキャラクターはたしか登場直後は平気で人を騙すような峰不二子的キャラだったと思うんですが、それがルフィたちと強い絆で結ばれ正式な仲間になるきっかけとなったのが、シリーズ本編での魚人編(アーロン編)でした。
この時、魚人アーロン一味に囚われたナミをルフィは救おうとするけれど、一人で戦うと決めたナミには他人を巻き込む勇気がない。
でも、最後にはルフィを頼り涙ながらに「助けて」と訴えるんですね。
この「STRONG WORLD」はナミのそのエピソードをリメイクしたような形にも思えます。
しかし、もうナミは麦わら海賊団として数々の死地を仲間と共にくぐり抜けてきていますので、涙を流しながら助けを乞うことはありません。
今回の「絶対に助けに来て」という言葉には、ルフィや仲間たちと別れることなんてありえない、だから私と一緒に闘って、という強い決意が滲み出ています。
ナミの成長を描いた劇場版と言えるでしょうね。
で、そのナミの一言をルフィは全然聞いていないんです。聞かなくてもルフィのすることは決まってる。
「ナミは先陣切ってここに戦いにきただけだ」と断言するルフィ。
ルフィにとっても、仲間を失うなんてありえない、考えられないわけですね。
このへんのセリフに込められた深い意味が尾田栄一郎の、「ONE PIECE」の、魅力なんですよねえ。
ただ、どうしても全体としては個人的に好きになれないんですよね。
ここまで深い心理描写をしてるんだからもっとシリアスに描いてほしいと、無理だと分かっていながらも思ってしまう。
いや、これは単純に僕がつまらない大人になってしまったんでしょうね。
子供時代と同じようには楽しめなくなってしまいました。
でも、子供向けだと言って嫌ってるわけではないです。むしろ「ドラえもん」映画とかは今でも感動します(……と、思います)し。
感動の沸点はとても高い所にあるのに、連載開始以来変わらないボケツッコミの応酬がとても低い所にあってそのギャップについていけない感じ。
ギャグとかキャラデザの部分で、面白いとかカッコイイとか思えなくなりました……。
これは原作批判というより、ジャンプを始めとする少年漫画への決別(or 卒業)に近いものがありますね。
とにかく僕にとってはここ数年見ない間に敷居が高くなってしまったシリーズですね。
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