探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点 (2013年、日本)
【ジャンル】
ミステリー/ハードボイルド
【監督】
橋本一
【出演】
大泉洋 (俺)
松田龍平 (高田)
尾野真千子 (河島弓子)
渡部篤郎 (橡脇孝一郎)
ゴリ (マサコちゃん)
田口トモロヲ (松尾)
篠井英介 (フローラ)
波岡一喜 (佐山)
近藤公園 (学生)
筒井真理子 (新堂艶子)
矢島健一 (野球男)
松重豊 (相田)
あらすじ
最北の歓楽街、札幌・ススキノ。探偵の<俺>が通うショーパブで働くニューハーフのマサコちゃんが殺害された。マサコちゃんは手品が得意で、探偵の勧めもあってマジックコンテストの全国大会に出場。見事優勝し、ススキノに戻ってきたばかりだった。殺人事件の捜査が一向に進まない中、謎の女から仕事の依頼が舞い込む……。
感想 (2013年5月18日、109シネマズ富谷にて鑑賞)
前作でヒットを収めた探偵物語の第2弾。
「鑑賞予定」の記事では紹介しませんでしたが、地上波でやってた前作の感触が良かったので、急遽、最新作を観に行きました。
原作は東直己の「ススキノ探偵シリーズ」の5作目。
監督は前作から引き続き、橋本一が務めます。
主役も続投。今作でも大泉洋と松田龍平のコンビが光ります。
今回のゲストヒロインは尾野真千子。関西訛りのヴァイオリニストを演じます。
で、その他の脇役たちもやっぱり個性的で、いやある点では前作よりも個性的だったかもしれませんね。
ショーパブ<トムボーイズ・パーティー>で働くオカマのマサコちゃん役に、お笑いコンビ・ガレッジセールのゴリ。
同じくオカマのフローラ役に篠井英介。
気鋭の中堅政治家に渡部篤郎。その後援会長に筒井真理子(髪型面白かった!)
矢島健一はヘルメットにマスクでバットを振り回す野球男役。この悪役、すごいイヤな空気出まくってましたね。
前作からの続投組も、松重豊、田口トモロヲなど個性派揃い。
個人的にはまさか波岡一喜演じる佐山が今作も出てくるとは思わなかったので、なんか嬉しいサプライズになりました。
彼は主人公を勝手にライバル視して毎回やられる小悪党としてのポジションを手に入れたみたいですね(笑)
前作のレビューとまったく同じ言葉になりますが、「笑いあり、涙ありの邦画らしい映画」になってました。
前作が好きな人は今作も概ね楽しめるはず。
相変わらずハードボイルドを気取る三枚目の主人公が面白いし、今回は探偵コンビの旅路に自由な女性が一人加わって、女に振り回されるという展開も面白いです。
ギャグももはや笑えるというより、笑うしかないという域にまで達していました。K点まで達していました(笑)
周りの観客もみんなけっこう笑ってましたねえ。
ただ、良くも悪くも前作同様の出来でした。
前作同様に楽しめるけど、前作からパワーアップした部分があまり感じられないというか……。
物語のプロットも、ヒロインが復讐のために……という点がまったく同じなわけですし。クライマックスのヒロインの行動も途中までは同じなわけですし……。
すでにパターンが定着してしまったというか、なんというか新鮮味が感じられなかったのは少し残念でしたね。
良く言えば安定の面白さ、悪く言えば焼き増し……ということでしょうか。
謎解きについても、この作品は「なあんだあ、そうかあ」って感じで「ええ、そうだったの!?」という驚きに欠けるというか……。
見る人にもよると思いますが、終わってみるとけっこう単純だったりして……。
アクション、ギャグ、ミステリー、セクシー、いろんなものが混ぜこぜになってるんで混乱するんですが、物語に不可欠なエピソードは意外と少なかったりして?
例えば、サプライズ登場で嬉しかった佐山についても、物語をほんのちょっとだけ進めるくらいの意味しかないわけですよね。佐山が暴れて警察沙汰になったのでヒロインの所在がマスコミにバレた、ってだけの話なんです。それにしたって佐山である必要はないわけで(笑)
(でも佐山を出して正解だと思いますけどね?)
あとは、黒幕っぽい登場だった議員についても、脱原発の急先鋒という立場から熱狂的に支持されているという設定。
これが僕にはあまり脅威に感じられなくて微妙でした。
原作は1998年に書かれたようなので、その当時脱原発の主張がもてはやされるはずはないわけで、当然、2013年に映画化する上で書き直された設定なんでしょうけど、その脱原発運動が2013年現在すでにピークを過ぎているわけで。
タイムリーな話題にすり替えようとした結果、逆に違和感を感じてしまうという……。
あと犯人がどうしようもないクズなのも少し脱力ですよね……。
意外ではあるんですが、あれなら誰でも犯人になりうる……。
社会のしがらみによって生み出された犯行とは言いがたくて、犯人個人の性格の破綻が大きかったのが残念。
それから、途中まで行動が同じだった前作と今作のヒロインが、なぜ同じ結末を辿らなかったかと言えば、それは主人公のおかげなんですが、その辺が前作とリンクしてればなお良かったかなあ、と。
でも、不思議と最後にはジンワリきてしまったんですよね。
ラストのコンサート場面でね……。ただヴァイオリン弾いてるだけなのに、なんででしょう?(笑)
(ヴァイオリン最強説とか、ないかしら?)
やはり人情味に溢れるということなんでしょうか?
今作では「ススキノの仲間」という言葉が繰り返し出てきたし、兄と妹の兄妹愛の物語でもあったわけで……。
僕も妹がいますし、劇中のあの兄妹と同じくダメな兄貴ですので、そのへんは知らずに共感していたのかもしれないですね。
観に行った甲斐はあった映画でした。
- カテゴリ カテゴリ:
- ミステリー映画/サスペンス