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パーマネント野ばら (2010年、日本)

感想 (2013年1月6日、TV録画にて鑑賞)

西原理恵子の原作漫画を「桐島、部活やめるってよ」の吉田大八監督が実写化。
ある漁村にある美容室「パーマネント野ばら」で母と共に店を切り盛りする出戻りの女を主人公に、店に集まる町の女たちの恋愛模様を描いています。

夫と離婚し、娘を連れて実家である美容室に戻ってきたヒロイン「なおこ」を菅野美穂が演じます。
パーマネント野ばらを経営するなおこの母親役に夏木マリ。血の繋がらない父親役に宇崎竜童。
なおこの幼馴染の役で池脇千鶴、小池栄子。なおこの現在の彼氏役で江口洋介が出ています。
あと、個人的にはチェーンソーで電柱切り倒した本田博太郎のインパクトが忘れられない(笑)


「町の女たちの恋愛模様」と書くと、なんだかオシャレな街でさまざまな愛の形が描かれる……みたいなのを想像してしまいますが、実際は美容室に集まるパンチパーマのおばさんたちの下ネタトークや、ヒモ男に裏切られる女やDVに遭う女たちの哀愁など、ブラックユーモアに満ちたコメディですね。(でも一応恋愛映画の書庫に入れときますw)
男を喰うことしか考えていない40、50のオバサンたち。
そして、ろくでもないのしかいない村の男たち。若い女たちは、どこかにもっとマシな男はいないかと思いながらも、村のバカな男たちと付き合って、傷つけられて、でも別れられなくて……みたいな。

同じ吉田大八作品なら、「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」に近いエキセントリック田舎ムービー。
隠さない下品さとやりすぎな登場人物たち、これを見ると「桐島~」は本当に大八作品なのかと疑ってしまいますね(笑)

ブラックユーモアなんでしょうけど、いまいち笑えませんでした。
だって、なんだかこの村、悲惨なんですもん……。

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菅野美穂についてはやはり素晴らしいです。
江口洋介演じる中学校教師と恋愛関係にあるわけですが、自然と魅力を振りまいてますよね。

この中学校教師が唯一マトモだし、ダントツでイイ男なわけですが、しかしこの男も酷い男……っていうか意味不明な行動をする男で……。
二人で温泉宿に来たのに突然、なんの断りもなく姿を消すんです、帰っちゃうんですね。
でもって動揺する菅野美穂。

結末では、この男のとんでもない秘密が明かされヒロインの悲哀というものが浮き彫りになるわけですが、そこに驚愕こそすれ、感情移入はできなかったですね。
江口洋介の酷い行動の謎めいた感じがもっと強くてもよかったと思います。
個人的には「記憶の棘」を思い出させる結末でした。


それにしても、なぜこの町の女たちは狂うほどに愛に飢えているのか……。
西原理恵子原作の映画って僕はあんまり良さが分からないですね……。