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花とアリス (2004年、日本)

感想 (2013年1月14日、TV録画にて鑑賞)

岩井俊二監督が二人の少女の淡い青春を描いた青春ムービー。
前年にWeb配信されたショートフィルムを元に、劇場用の長編映画として制作されました。

主役の2人の少女には、蒼井優と鈴木杏。
2人が想いを寄せることになる学校の先輩役に郭智博。
その他、阿部寛、相田翔子、広末涼子、大森南朋、平泉成といった豪華キャストがちょい役で出てるのも岩井作品らしいですね。


一目惚れした先輩がいるというだけの理由で落語研究会に入部した、ちょっとガサツで一直線なハナ(鈴木杏)。
ある日、先輩が頭をぶつけて意識朦朧としているドサクサに紛れて、自分が現在の彼女だと信じこませることに成功します。
その嘘を押し通すために親友のアリス(蒼井優)を先輩の元カノとして巻き込んでしまいますが、そのせいで先輩はアリスを意識するようになり、次第にアリスも先輩に惹かれていくという奇妙な三角関係が生まれてしまいます。


二人の少女のちょっとおかしな成長物語といった感じですかね。
岩井俊二監督独特の透明な空気感は漂っていて、とても甘酸っぱい青春の物語です。
嘘から始まる恋というのもコミカルで面白いし、何よりハナとアリスのやりとりが可愛らしくて、ちょっとシュールで面白い。

憧れの先輩も、爽やかイケメンって感じではなくて、ぼーっとしてる人。
むしろ彼女なんて今までいなかっただろってツッコミたくなるような、はっきりしない少年。
落語研究会っていう肩書きも全然あってないんですよね(笑)

で、そんな先輩を何故か好きになってしまったハナ。
先輩がちょっとぼんやりしてるのをいいことに、勝手に彼女の座に収まってしまいます。

しかし、面白いのが先輩はまったくハナのことを興味持ってなくて(笑)
「なんで俺こんなやつと付き合ってるんだろ?」って気持ちが画面から伝わってきます。
で、視聴者からしても、ハナはちょっとな……って感じなんですよね。演じてる鈴木杏ちゃんは悪くないけど。
なので、だんだん先輩のことが可哀想になってくるかもしれません(笑)


ハナの後先考えない嘘に知らないうちに付き合わされていた、モデルを目指しているアリス。
ハナから元カノとして振舞ってほしいと頼まれますが、冷たいそぶりを見せようとしても何故か先輩に興味を持たれてしまいます。
そして、異性からの好意を初めて感じたアリスは、ハナ同様に先輩を好きになってしまいます。

やはり蒼井優のみずみずしさが素晴らしかったですね。
鈴木杏との自然な会話の中で見せる少女らしさがチャーミングでした。
こういう、自然体の美しさとかにこだわってる監督ですよね、他の役者の演技もそうです。
岩井俊二監督の作品は、たぶん何を見てもその雰囲気・空気感に酔えるんだろうな~って思います。
この映画もとても良い感じの作品でした。

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あと、特筆すべきは蒼井優ちゃんが見せたパンチラ覚悟のバレエ……を見ている大森南朋。
映画とダンスって最強の組み合わせですよね。