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AKIRA (1988年、日本)

【ジャンル】
アニメーション/サイキックSF
【監督】
大友克洋
【声の出演】
岩田光央
佐々木望
小山茉美
石田太郎
鈴木瑞穂
玄田哲章

感想 (2013年1月14日、DVDにて鑑賞)

大友克洋監督の原作漫画のアニメ化作品。
漫画・映画ともに大ヒットした作品ですよね。
僕はリアルタイムでは見ていないのですが、1月に公開されたSF映画「ルーパー/LOOPER」が大友監督の世界観に影響を受けているという話を小耳に挟み、急に大友監督に興味を持ちまして……。
で、「ルーパー」観る前に予習(?)としていくつか見た大友作品のひとつがこの「AKIRA」です。


物語の舞台は、第3次大戦で荒廃した未来。
新都・ネオ東京で敵対する不良グループと抗争を繰り返す若者たちが主人公。
<アーミー>に連れ去られた弟分・鉄雄を救うため、リーダーの金田は反政府ゲリラと共に謎の存在<アキラ>を追います。


有名な作品なのでそれなりに期待していたけど、さすがに88年のアニメなので絵はもうなんつーか……(笑)
カレーの中にジャガイモがまるごと一個ゴロッと転がっているような、そんな印象です。

ちなみに同年公開の劇場アニメというと、ガンダムの「逆襲のシャア」やジブリの「となりのトトロ」など。
それらと比べてしまうとどうしても絵の粗さが目立ってしまいますね。
大友克洋監督のキャラクターデザイン(絵柄)も大いに関係していると思いますけど。


一方、パンクな世界観、トライバルな劇伴などはとても良かったと思います。
特にBGMはジャングルを思わせるものもあったりで、意外と未来の日本の姿はこんな風に混沌としてるのかもしれない……と思わせるだけの世界観を奏でていました。
「金田~、鉄雄~、ふたり~、仲間~」とコーラスが響くエンディングテーマも面白いです。

それと、この「AKIRA」の魅力はかっこいいバイクですね。
オーダーメイド?それとも改造バイク?なんにせよ、若者たちが自分だけのマシンに乗って高速を疾走します。
未来的……と言うほどには洗練されてはいませんが、パンクな感じ(?)が出てるデザインですよね。

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しかし、やっぱりというか、なんというか、ストーリーの方はちょっと稚拙というか……。
この作品は実はサイキックもので、鉄雄が薬物投与でエスパーになってしまうんですよね。
そして、心の中で兄貴分の金田を疎ましく思っていた鉄雄はそのチカラを暴走させてしまい、金田は鉄雄の暴走を止めようとします。

あんまり大したことは描いてないんですよね……。
せめて、バイクがもっと物語に絡んでほしかったですね。純粋に移動手段としてしかバイク登場しないのが残念。
例えば攻撃してくる鉄雄からバイクで逃げるとか、そういう使われ方すらもされないんですよね。
あくまで主人公を飾るためのオマケのバイク。……にも関わらずデザインの素晴らしさからこの作品の顔みたくなってるんですが、フタを開ければバイクを降りてエスパーと根性で戦う話だったという……。

そして謎の存在<アキラ>についても、小さな身体に都市一個を消滅させるだけのチカラを持ってるという設定。
これはさすがにちょっとね。もし2010年代にこういう設定をやったら中二病と言われてしまいますよ(笑)
(鉄雄なんて、マント羽織って髪逆立たせて、どこぞのベジータ王子みたいですからね……)

苛烈な描写やグロ映像はブッとんでいたけど、ストーリーや設定の部分でちょっと冷めてしまいました。


そんなわけで、「AKIRA」ってこういう話だったんだー、ということは分かりましたが、やっぱり昔のアニメ/漫画だな、という印象。

ちなみに「ルーパー」との共通点は、子供がエスパー能力を暴走させるって所。
「AKIRA」見た後に「ルーパー」を観に行って、「ああ、なるほど……」となりました(笑)
「ルーパー」の監督は大友克洋や「AKIRA」が好きで、オマージュとしてああいうことをやったみたいですね。