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60セカンズ (2000年、アメリカ)

感想 (2013年1月16日、地上波にて鑑賞)

ニコラス・ケイジ主演のカーアクション・ムービー。
共演には最近乳房の件で話題になったアンジェリーナ・ジョリー。
監督は「ソードフィッシュ」などでも知られるドミニク・セナ。


どんな車も60秒で盗んでしまうという伝説の車泥棒メンフィス。
泥棒稼業から足を洗った彼でしたが、危ない橋を渡リ損ねた弟の失態を清算するため、巨大犯罪組織から「一晩で50台の高級車を盗む」という難題を押し付けられてしまいます。
メンフィスはかつての仲間を集め、手分けして高級車を盗みまくるミッションを開始しますが、警察もその情報を嗅ぎつけて……。


あのジェリー・ブラッカイマー制作ということで、いつものように面白いけれど大味な印象。
まず主人公を演じるニコラス・ケイジがいつものようにかっこいいけど、所詮は犯罪者の役です。
彼のダメダメな弟も二流の犯罪者、彼の信頼する仲間たちも元プロの犯罪者、そこへさらにストリート系のギャングたちも参加してきて……。
極めつけは、アンジー演じる元カノですら元犯罪者という……なんでそんなに犯罪者集めてしまったんだか……。(いや、みんなで集まって犯罪やるんだから当然かw)

クライム・ムービーそのものを批判・否定するつもりはないけど、この映画には「正義」が足りなかったように思います。
カタギになっていた主人公が裏の仕事に戻るきっかけが「弟を救うため」だったんですが、ジョヴァンニ・リビシ演じるこの弟がどうにも好きになれないんですよねえ。
結局、兄貴の忠告を無視して犯罪に手を染めた弟が、失敗して兄貴にすがりついてくるわけですからね。
弟に同情できるようなエピソードがあれば印象違っていたかも。あと、弟役がリビシでなければ……(笑)

元カノが犯罪者という設定もちょっと……。
ヤンキーなアンジーも悪くないんですが、車泥棒の話ならば車盗んだついでに所有者のハートも盗んでしまった……的な展開の方がドラマチックじゃないですかね?

ラストには元カノとのヨリも戻り、美しい兄弟愛も用意されているんですが、所詮は全員犯罪者なので、「いつ捕まるんだ、まだ捕まらないのか、なんだ捕まらないんだ……」という見方をしてしまって最後にちょっとモヤモヤする話。
いや、モヤモヤまでは行かないけど、なんとなく、法を犯してるのにラスト笑顔で終わる映画って「軽い」印象がありませんか?「それでいいのか?」みたいな。
そんなわけで、それなりにハラハラするんだけど、別にミッションが成功してほしいとは思わないので、「感動のエンディング」とはならないんですよね。


あと、明らかに不満な点を挙げれば、「60セカンズ」というタイトルが示すとおり「60秒でどんな車も盗む」ことがメンフィスのウリだったのに、「本当に60秒で盗んでますよ」的な描写が一切ないのがありえないというか……。
例えば腕時計にクローズアップするとか、画面の隅に経過タイムを表示するとか、そういう映像的な工夫が必要だと思うんですがなんでそれをやらないんだこの映画(笑)

しかも、伝説の車泥棒というわりに、一人で盗むのはさっさと諦めて仲間探ししちゃうし……。
こういうのはクールな一匹狼が主人公じゃなきゃ決まらないと思うんですが!
……というか、一人では絶対不可能なミッションを用意しちゃった脚本が悪いのか?


ラストに、それまで寡黙すぎて一言も喋らなかった通称スフィンクスが、いきなり喋り出して、しかもなんか深いこと言ってるのが面白かったですが。
でも、なんだか「宴もたけなわですが、そろそろ出頭しましょうね♪」と言いたくなるエンディングでした。