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オブリビオン (2013年、アメリカ)

【ジャンル】
SFスリラー
【監督】
ジョセフ・コシンスキー
【出演】
トム・クルーズ (ジャック・ハーパー)
オルガ・キュリレンコ (ジュリア・ルサコヴァ)
モーガン・フリーマン (マルコム・ビーチ)
メリッサ・レオ (サリー)
アンドレア・ライズボロー (ヴィクトリア・オルセン)
ニコライ・コスター=ワルドウ (サイクス軍曹)

あらすじ

西暦2077年――。ジャック・ハーパーはパートナーのヴィクトリアと二人きりで、高度1000mの上空から地球を監視する日々を送っていた。半世紀以上前に起きた異星人スカヴとの戦争によって地球は荒廃し、今では土星の衛星へ移住した人類のために海水を汲み上げるプラントがあるばかりだった。任務の終了を間近に控えたある日、ジャックはパトロールの途中で、墜落した宇宙船の残骸から謎の女性ジュリアを助け出す。何故か彼女は会ったことのないジャックの名を口にするが……。

感想 (2013年6月1日、109シネマズ富谷にて鑑賞)

さすがトム・クルーズ主演の大作SF映画だけあって、冒頭からいきなり超巨大物体が地球の裏側から出てくる映像に一瞬驚きましたが、ユニバーサルのタイトルロゴでした……(笑)


主演は、2005年の「宇宙戦争」リメイク版以来のSF映画への出演となったトム・クルーズ。
物語の主人公ジャック・ハーパーを演じます。
まあ、いつものトムですね。若々しくて勇敢でかっこいい。パトロール中にこっそりサボっちゃうお茶目さもあったり。

共演には、「007 慰めの報酬」でボンドガールを演じたオルガ・キュリレンコ。
主人公ジャックの夢に出てきて、そしてある日彼の目の前に現れた謎の女を演じます。

しかし、この映画の準ヒロインで、よりインパクトあったのが、アンドレア・ライズボローが演じたヴィカことヴィクトリア。
上空1000mの管制塔兼居住スペースでジャックと二人仲睦まじく暮らしている、公私共にパートナーというやつなんですけど、彼女のオトナの色気が良かったですね。テーブル型の端末でジャックや上官と交信する姿が「主婦」って感じ(笑)
しかし、ジュリアの登場によって嫉妬心が芽生え、ある事件をきっかけに豹変。静かな怒りを内に秘めた表情の怖さがたまらなかったですね。女って怖い……なキャラクターでした。

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名優モーガン・フリーマンも謎の人物として登場していて(っていうか、謎の人ばっかw)、丸いサングラスがよく似合ってました。
(余談ですが、僕が鑑賞した6月1日はモーガン・フリーマンの誕生日だったそうです)

あと、俳優ではないんですが、プラントを守る無人攻撃兵器「ドローン」が丸っこくてかわいかったです。
でも、無言で発砲したり、味方のジャックに銃口向けたり、けっこうハラハラさせてくれる、ウザ可愛い感じでした。
何体か登場するんですけど、特にオススメはD166の番号が書かれた機体。
機械の無慈悲さと単純さを併せ持ったなんか憎めないヤツです。

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監督は、「トロン:レガシー」で映画監督デビューを飾った映像作家ジョセフ・コシンスキー。
前作が映像以外は平凡な作品だったので、過度に期待はしないようにしていたんですが、今作はなかなか面白かったです。
ちゃんとサスペンスとしての魅力がありましたね。原作はコシンスキー監督が執筆したグラフィック・ノベルだというので、実はこの監督、映像だけじゃなく脚本の人なのかもしれないです。

ただ、SF作品としてはけして傑作には成り得ない映画ですね。
何故なら、観客が一度は見たことのあるSF要素の寄せ集めみたいな内容ですからね。
既存のSF作品のおいしいとこ取りというか、うまくまとめて大作SFに仕上げた手腕は素晴らしいんですけど、何か新しいテーマが欲しかったですね。
そういう意味では、ワンアイディアで描き切った低予算のB級SFの方が記憶に残ったりするんですよね。

さらに、説明の足りなさや、主人公への感情移入が最後できなかったりして、個人的には「?」が残る作品でもありました。
それについて書くとネタバレになってしまうので、記事の最後でじっくり書こうと思います。


期待していた映像については概ね満足。
荒廃した未来とか、レジスタンスとか、どうしても既視感もあるんですが、それは既存のSF作品のマッシュアップでもあるこの映画なら仕方のないことかもしれないですね。

ジャックの装備が白を基調としていて、荒廃した地上に対しての彼の立場を物語っていました。
清潔は安全、不潔は危険。スラヴが跋扈する危険な地上と、管理された安全な上空。白はそんな清潔・安全・管理のイメージ。
で、少なくともヴィカはその管理された安全を受け入れていた。汚い地球の任務からは早く解放されたかった。
しかし、ジャックにとっては、そんな清潔に管理された生活は息が詰まるもので、彼はパトロール中に汚いぬいぐるみを拾い、地上の隠れ家では制服を脱いでたりします。
そういう描写はうまかったですね。(しかも、個人的に映画「キング・コング」を見たばかりだったので、エンパイア・ステート・ビルでキング・コングのぬいぐるみを拾うなんて思わずニヤリ。実際に土産物として売られてたりするんでしょうか?)

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最後まで見ると、切ないラブストーリーでもあり、トム・クルーズが主演していることもあって女性の支持も得られそうな作品です。
個人的にはもって攻めてほしかったけど……(笑)

あと、これから見る人のために鑑賞のポイントを二つだけ挙げておくと、まず劇中に出てくる数字には少し気を配っておいてほしいこと、そして何度も繰り返される「最高のチーム」というセリフにも意味があるので憶えておくといいかもしれないですね。
まあ、普通に見てれば分かる物語ですけどね。












※以下で重大なネタバレしているかもしれません。










ナゾだらけの状態で始まって徐々に明かされていく展開、さらに中盤でどんでん返しがあるのでそれなりに驚きはしましたが……。
いや、驚きというよりも、「え、それやっちゃうの?え、マジで……?(笑)」みたいな感じ?

そもそも、ジャックとヴィカが仕事に専念するために記憶を消去した状態で任務に就いてること自体がけっこう反則な設定かもしれないですね。
普通のSFだったら、消された記憶と現実の間で苦しむだけで一本映画が作れそうですけど(笑)
この作品ではそのこと自体にはあまり悩まずに毎日を過ごしている主人公。
しかし、後半、何故記憶を消す必要があったのか、その真の理由が明らかになっていきます。

まあ、早い話しが詐欺みたいなもんですよね、この物語の展開って。
知らずに騙されていた主人公、見事に騙していた黒幕。抜け出せない借金地獄を命懸けで終わらせる話です。


最後まで見ると、矛盾とまではいかなくても、ちょっと説明不足で疑問が残る設定も。
まず、ジャックが担当してたパトロール範囲が地球上のおよそ何割に当たるのか?
もう一つの管制塔が登場するけど、管制塔は本当に二つだけなのか?
管制塔がいくつもあったと仮定すると、残されたジュリアが大変だよな(笑)という話。

で、管制塔が二つだけだとすると、本拠にあったあの膨大なストックは不要だよな……という話。
矛盾とまではいかないんですが、その辺がちょっとスッキリしなかったですね。

あと、もう一つの管制塔のオペレーターはどうなったんでしょうね。
これはシンプルに描写がなかったです。
システムだけが死んで、彼女はあそこで孤独に死んでいくんでしょうかね?


それからやっぱり最後の最後で描かれたロマンスなんですけど、これ「え、それでいいの?」「だってそれ、違うよ……?」ってちょっと思ってしまう展開で……。
ジュリアはそれを受け入れられるのかな……。
わずかでも、実際に過ごしたジャックの方が思い入れが強いと思うけどなあ。
個人的には、これをハッピーエンドと言っていいのか?って疑問が湧いちゃったんですよね。

そんな結末を導き出しているのが、モーガン・フリーマンの自己犠牲の精神だったりするんですよね。
うーん、こういう考え方もちょっと馴染めないんですよね。
そう言えば、「トロン:レガシー」も最後、誰かが命捨てて解決してたなあ……。