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蜘蛛巣城 (1957年、日本)

感想 (2013年1月27日、DVDにて鑑賞)

うちのお父さんが借りてきたDVDをレビューする<親父が借りてきた映画>第3弾!
1957年の東宝映画、「蜘蛛巣城」です。

監督は黒澤明。シェイクスピアの戯曲「マクベス」を日本の戦国時代に置き換えて撮っています。
主演は三船敏郎。怪しげな予言を信じて主君を裏切り、むなしい最期を遂げる武将・鷲津武時を演じます。
共演には、武時の妻役で山田五十鈴、武時に予言を授ける怪しげな老婆役で浪花千栄子や、志村喬、久保明、千秋実などなど……と書いてますが、やっぱり僕には分からない役者さんばかりです!
でも、三船敏郎と千秋実の二人は「隠し砦の三悪人」にも出てたのですぐに分かりました。


「マクベス」を元にした物語なんですが、僕はシェイクスピアもさっぱり分かりません!教養無さすぎですいません。まあ、この映画は「マクベス」知らなくても全然楽しめますので……。
素直に「蜘蛛巣城」のあらすじだけ書きますね(笑)

物語の舞台は下剋上が頻繁に起こっていた戦国時代。蜘蛛巣城の城主は、臣下の謀反に遭い苦境に立たされていました。
籠城していた主君を救ったのは、鷲津武時(三船敏郎)と三木義明(千秋実)という二人の将。彼らは謀反人の軍勢を退け、その報告のために嵐の中を馬を走らせていましたが、途中の「蜘蛛手の森」で迷ってしまいます。
そこで二人は奇妙な老婆と出会い、「武時は北の館の主、そして蜘蛛巣城の城主になり、義明は一の砦の大将となり、やがてその子が蜘蛛巣城の城主になる」との予言を聞かされます。
主君の下に戻った武時は、報奨として北の館の主の座を、そして義明は一の砦の大将に任ぜられ、老婆の予言どおりとなるのでした。

武時から一部始終を聞いた妻・浅茅(山田五十鈴)は、予言のことを主君に知られては武時が危ない、そうなる前に主君を殺せと夫をそそのかし、決意を固めた武時は、北の館へ立ち寄っていた主君を槍で刺し殺します。
その罪は別の臣下に着せ、主君の嫡男も排した武時は晴れて蜘蛛巣城の城主となります。
武時と浅茅には子がおらず、武時は義明の子を養子に迎えようとします。しかし、浅茅が懐妊して武時は心変わりします。やはり自分の子を城主に据えようと決めた武時は、義明親子に刺客を差し向けますが……。


人の業の深さ、因果応報、そんなことを描いている悲劇です。
侍に生まれたなら誰しも一国一城の主になるのが夢……。そんな夢を予言として言い当てられた武時のくすぶり出す野心。
下剋上が横行していた戦国時代が日本には実際にあったわけで、人の業を描いた内容にマッチしてますよね。

下剋上によって蜘蛛巣城の城主となった武時ですが、城主になるということはつまり、下剋上される側に回ったということでもあり……。
予言への妄執を続け、罪を重ねすぎた武時には壮絶な死が待っています。

映画ファンには有名な、三船敏郎に本当に弓を射かけたシーンですね。
初めて見ましたけど、いやーこれはすごい。
だってこれ、CGじゃないんだぜ!?特撮でもスタントでもないんだぜ!?
三船の表情も、もうどこまでが演技とか言ってられないような感じ。無駄に長いような気もするこのシーンはやっぱりこの映画の目玉であり、映画史に残るシーンですよ。

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さらに、終盤の目玉がもう一つありまして……。
弓を射られる前に、迫り来る敵軍を前にして武時は老婆に予言を乞います。
老婆の予言は「蜘蛛手の森が動かぬ限り、武時が負けることはない」というもの。

「森が動かぬ限り負けない」→「森が動くはずがない」→「俺は負けない!」ってなわけで気を良くした武時は意気揚々と城に帰り、兵たちを鼓舞します。
しかし、森が、動くんですよね……!'`,、('∀`) '`,、
動くんですよ、森が、ザワザワと押し寄せてくるんですね!
この辺のアイディアや意外性もとても魅力的です。


全体的には、ホラーっぽい雰囲気が漂っている映画ですね。静かな怖さというか、禍々しさというか……。
冒頭の深い霧の中から風景が現れる様子や、ラストのまた深い霧に包まれていく演出は、この物語の幻想的な面を表現してると思います。

あと、武時の妻を演じた山田五十鈴さんが怖いですね……。
夫に謀反を勧めるってのも怖いけど、声や表情がおどろおどろしかったですね。蜘蛛手の森の老婆とどちらが妖怪かわからなかったりして……^^;