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華氏451 (1966年、イギリス)

感想 (2013年2月17日、DVDにて鑑賞)

レイ・ブラッドベリのSF小説「華氏451度」を、フランスの名監督フランソワ・トリュフォーが映画化したSF映画。
原作は読んだことがあり、どんな風に実写化されているのか気になっていた作品です。

主演は、オスカー・ヴェルナー。本を焼く焚書官の役を演じます。
共演には、焚書官の隊長の役でシリル・キューザック、そして主人公の妻と主人公が出会う女教師の一人二役でジュリー・クリスティなど。

ちなみに華氏451度とは摂氏で約233度。
紙が燃え始める温度だそうです。


物語は、文字を書いたり本を読んだりすることを禁じられた未来社会が舞台。
主人公のガイ・モンターグは、ファイヤーマンの一員として忙しく出動する日々を送っていました。
しかし、この世界のファイヤーマンは、現代とは大きく違います。火を消すための消防士ではなく、見つけた本を焼くための焚書官という意味でのファイヤーマンなのです。

密告によって容疑者の家に向かい、隠されている本を探し出して焼却するのがモンターグの仕事。
しかし、彼はある日、本の素晴らしさを語る、妻に瓜二つの女性に出会います。
彼女に感化されたモンターグは、ある日、出動した先で見つけた本をこっそり隠し、家で隠れて読みます。モンターグはたちまち本の魅力に取り憑かれてしまいますが……。


SF嫌いのトリュフォー監督によって撮られた名作SF(笑)
(トリュフォー監督は、宇宙ものやロボットが嫌いらしいです)
未来的な派手さは極力省かれ、21世紀の僕から見るとむしろ牧歌的にすら感じる世界観です。

黒服のファイヤーマンたちが大道具さん特製の消防車に乗って出動するんですけど、その様子がなんだか可愛らしかったり(笑)

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活字が無い世界を舞台にしているので、全編通して本以外に文字が出てきません。
隊長の部屋に忍び込んで覗き見たファイルも、写真と簡単な記号しかなかったりして。新聞もセリフの無い漫画でしたね。
そういう外見のSF感は小説では感じられないので、実写化して良かった点だと思います。

ちなみに、映画冒頭のタイトルやクレジットも、「文字が無い世界」を描くために表示されず、代わりにキャスティングなどをナレーションで説明していました。
こういった所にも面白い試みがなされていたんですが、最初に見た時は「昔の映画ってこんな感じで始まるんだなー」と演出の意図にまるで気づきませんでした(笑)


モンターグは、自らも本を隠し持ちながら、通報を受けて現場に向かい本を愛する人々からそれを奪う、矛盾した行動を取るようになっていきます。
その矛盾が解消された時、今度は彼は犯罪者として追われる身になっていて、終盤はちょっとした逃亡劇に発展。

最終的には彼は安住の地を見つけます。
本を焼かれても、その本を暗唱する人々が行き交う森の風景。
詩的というか、良いラストシーンでした。