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GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊
(1995年、日本)

【監督】
押井守
【声の出演】
田中敦子 (草薙素子)
大塚明夫 (バトー)
山寺宏一 (トグサ)
仲野裕 (イシカワ)
大木民夫 (荒巻)
家弓家正 (人形使い)
坂本真綾 (少女・草薙)
 
*あらすじ

企業のネットが星を被い、電子や光が駆け巡っても、国家や民族が消えてなくなるほど情報化されていない近未来――。高度な情報化社会で複雑化する犯罪やテロに対抗するため、政府は非公認の特殊部隊・公安9課、通称<攻殻機動隊>を組織する。ある日、国際手配中の天才ハッカー<人形使い>が日本に現れるという情報が入り、隊長の草薙素子を始めとする公安9課の面々は追跡を開始するが……。

*感想(2013年2月5日、DVDにて鑑賞)


「攻殻機動隊」シリーズのレビュー第1弾。
今回は士郎正宗の原作漫画を押井守が劇場アニメ化し、世界中にその名を知らしめた劇場版第1作「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」について。
原作未読の僕にとっては、この作品が最初の「攻殻」になります。

監督は「機動警察パトレイバー」シリーズの押井守。独特の暗ーい世界観でサイバーパンクを描きます。
音楽はアニメ・映画音楽を数多く手がける川井憲次。今作ではアジアンテイストな名曲を披露。

キャストには、田中敦子、大塚明夫、山寺宏一など。
いずれもアニメのみならず洋画の吹き替えでも活躍する声優たちで、落ち着いた印象を作品に与えています。
近年まで、このキャスティングが劇場版・TVシリーズで続きますね。

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物語はけっこう難解。初見ではちょっと意味不明でした(笑)
「攻殻」世界についての説明が一切無いまま物語が進んでいきます。
冒頭の一文、「企業のネットが星を被い、電子や光が駆け巡っても……」から想起できる世界を、見る側が想像しないとわけがわからないと思います。セリフも「既に分かってるもの」として語られますからね。

よって、サイバーパンク作品を見たことがない人にはオススメできません。そういう人はこの作品の続編にあたる「イノセンス」のDVDに収録のトグサによる解説が、ネタバレ込みですが分かりやすいのでそちらを先に見ましょう(笑)僕はそっちを見てようやく半分くらい理解できました。

でも、1作目の本作を見てる間は当然その解説も見てないので、作品世界を充分に理解出来ぬまま、進展していく事件を必死に追っていました。
で、意外に小さいスケールで話がまとまったのでけっこう拍子抜けだったり。

ていうか、「攻殻がすごい」という事だけは以前から聞いていたので、勝手に壮大なスケールを期待していたんですけどね。
人類や国家の存亡に関わる話ではなく、アイデンティティの確立に悩む女性と、天才ハッカーの哲学的な語らい?
あくまでも攻殻シリーズの中の「一事件」にすぎないので、あんまりハードル上げるべきではない内容でした。

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主人公は、公安9課のリーダー・草薙素子。
仲間からは<少佐>と呼ばれており、優れた戦闘技術と情報スキルを兼ね備えた女傑です。
それを可能にしているのが電脳化と全身義体。
西暦2029年を舞台にした本作では、人類は電脳によってネットと繋がり、さまざまな利便性を獲得しています。少佐は一流のクラッカーでもあるわけですね。

それに加えて全身を義体化(サイボーグ化)することによって強靭な肉体を手に入れる。
さらに光学迷彩によって姿を消すことで、負け知らずの女特殊部隊長が生まれるというわけで。
わりと筋肉質に描かれた少佐の肢体もあいまって、なんとなく中性的に見えますね。
全裸でおっぱい晒してても「カッコイイ」感じがしてしまいます。

しかし、特殊部隊の隊長として完璧な少佐は、けっこう深刻な悩みを抱えています。
今ある自分の意識は、果たして本当に草薙素子なのか、と。
電脳と全身義体によって元ある肉体がすべて代替のものになった時、それでも自分の電脳に宿る<ゴースト>が自分のものだといえるのか……?
電脳と義体によって無類の強さを手にしている少佐ですが、それらによってアイデンティティが揺らいでしまいます。



この悩みが最初っから描かれてるのが、この作品の難しいポイントのひとつでもあるわけで。
悩むきっかけとかは描かれないんですよね。だから、平常時の少佐は出てこなくて、人物像や世界観がとても暗い所でまとまってるんですよね。

さらにそこへ人形使いが絡んできて、よく分からない展開へ。
二人の語らいは興味深かったけど、そもそも何が脅威で、どうなれば解決だったのかも判断しかねるまま、電子の海へと……。
これはさすがに説明不足かな……と思いました。そしてその後に続くシリーズを見た結果、「攻殻」ってこういう作品なんだな……と諦めました。
この難解さがオタクの心をときめかせているんですよね。

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個人的には、人形使いのブルブルとか、思考戦車をこじ開けようとする少佐のメキメキとか、オペレーターのお姉さんたちの指がワシャワシャ動いたりとか、映像的にはかなりキテると思います。
あとラストの展開も。普通それはないだろうということをやってのける攻殻の世界観は面白いです。

分からなかったら、「イノセンス」収録の解説を見ましょう(笑)