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アップルシード (2004年、日本)

感想 (2013年2月11日、DVDにて鑑賞)

士郎正宗の原作漫画「アップルシード」を荒牧伸志が映像化した劇場用アニメ。
フル3Dライブアニメという独自の手法で初めて作られた作品です。

3Dライブアニメとは、役者の動きを映像に取り込むモーションキャプチャーと、3DCGをセル画のように表現するトゥーンシェーダーを融合させた手法。
パッと見はセル画に近い質感のアニメですが、人物にも立体感があり、精密な映像を自由なカメラワークで映し出すことが可能な技術です。
これが全編に渡って採用されているのがこの「アップルシード」なわけです。


物語は、女兵士デュナンと恋人のブリアレオスが、クローン人間<バイオロイド>が管理する理想都市オリュンポスを舞台に、バイオロイドを解き放つ鍵である<アップルシード>を巡る闘いに巻き込まれていくというもの。
冒頭からかっこいい音楽にのせた戦闘シーンで始まり、サイボーグや<ランドメイト>と呼ばれるパワードスーツ、クライマックスでは多脚砲台が大暴れするという未来SFアクションです。
SF戦闘アクション好きな人は概ね楽しめる内容ですね。

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でも、けっこう設定が難解で……。見る者の頭に張り切って詰め込もうとしてくるんですけど、ちょっとついて行けなかったかも(笑)
まず、冒頭で孤軍奮闘する女兵士デュナンが描かれますが、実は戦争は終わっていて、デュナンは理想都市オリュンポスへと連行される。
オリュンポスでは、感情を抑制した人工的に造られた人間<バイオロイド>が政治を管理し、生身の人間が軍事を司っている。
バイオロイドの大統領と、長老たちの思惑……。

意外にも人間の種としての在り方や、社会の在り方について描いてたりするんですよね。
その割に主人公のデュナンはあまり脳ミソ使わないタイプというか……。
まず、2000年代にこういうタイプのヒロインは流行らないんじゃないかと……。


3Dライブアニメという見慣れない手法が上手く機能していたかどうかは疑問。
というか、生身の人間の描写についてはやはり違和感がありますね。

この作品は、身体の要所の動きだけでなく、顔の表情までモーションキャプチャーで再現しているんですが、それがアニメっぽい外見だと妙な感じがするというか。動いてるというよりも動かされてるというか。
一世代前のゲームの要所で挿入されるムービーならば盛り上がれる内容だったと思うんですけど、これを映画として長時間見るには無理があるかなあ……という感じ。まあそれでも最後まで見たので見れる作品には違いないけれど。

一方、メカの動きに関しては「かっこいい」の一言で、ランドメイトを装着してのバトルは良かったです。
さらにラストの多脚砲台もスペクタクル。
サイボーグ兵士ブリアレオスも全身メカなので悪くないですよね。

2004年時点での3Dライブアニメの精度は、メカを描くには最適だけど、人間などの自然物を描くには難あり……って感じでした。

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音楽の方は、高橋哲也の劇伴の他に、国内外の様々なアーティストから提供された楽曲が場面を彩ります。
いずれも前衛的なアーティストで、例えばBoom Boom SatellitesやPaul OakenfoldやBasement Jaxxなど。
エレクトロ・ミュージック好きな人は絶対気に入るサントラになってます。

戦闘始まるとかっこいい曲が流れる……って感じですね。