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EX MACHINA -エクスマキナ-
(2007年/日本)

感想 (2013年2月11日、DVDにて鑑賞)

3Dライブアニメ映画「アップルシード」の続編。
前作に引き続き荒牧伸志監督が士郎正宗の原作を映像化。
そして今回は「M:I-2」などのジョン・ウー監督がプロデューサーとして参加しています。

モーションキャプチャーで動かすキャラクターにセル画風の着色を施した3Dライブアニメはちゃんと進化してますね。
全体的に大人びた印象になって(作品世界で7年が経ってるのもあるけど)、人物デザインは前作よりも好きです。

なんというか、人物がより背景に違和感なく馴染むようになったように見えます。
前作ではどうしても「キャラを動かしてる」違和感があったんですけど、本作ではより自然に存在しているんですね。
うまく言えませんが……見比べてもらった方が早いかと。←投げたw


前作で良かった点、メカの戦闘シーンのかっこよさに期待したんですが、まあまあの出来かな、と……。
今回のストーリーは前回に比べると少し規模が縮小された感じですね。
前作の、機動砲台の暴走を阻止する的な白熱したシーンはなかったです。

オリュンポスを含めた各国間の政治的な問題が浮上したり、ブリアレオスのクローンが登場したりと、戦闘よりも脚本で魅せるべき内容なんですよね。
このアクションSFな世界設定で3Dライブアニメというメカが活きる手法を使って、人間の駆け引きや感情を描こうとしてるので、やっぱりちぐはぐな印象はあります。

もちろん、1作目から人間の感情を描こうとしていたわけだし、作り物の自動で動くキャラクターに魂を吹き込むことはこのジャンルが求め続けるべきテーマですけどね。
今回は、感情的なテーマに引っ張られてメカ戦闘が物足りなかったし、感情的な部分もいまいちうまく見せれてないのかな、と……。

こういうアクションアニメに必須の「世界を危機から救う」というメインテーマが、けっこう見掛け倒しで小さくまとまってた印象ですね。
悪役の切なさを描いて、いい感じに終わらせてしまう作品ってあんまり……。

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ブリアレオスのクローンなんですが、ある日、ESWATの一員としてテロ対策のため活動しているデュナンの前に一人の男が現れます。
その男テレウスはなんと、機械の身体になる前のブリの顔を持っていました。
優秀な戦士であるブリの遺伝子を元に作られたバイオロイド兵士です。

見る側からしたらブリは最初から機械の顔だったので、「へえ~ブリってこんなイケメンだったんだ……」って新鮮なんですが、生身のブリを知ってるデュナンからしたら郷愁と愛情がごちゃまぜになるわけで。
私が好きなのはブリであってテレウスじゃない、と頭で理解してはいても、テレウスのふとした仕草にキュンときたりしてて……(笑)

結論から言うと、そういった恋愛感情に端を発する心理描写がうまく機能してなかったですね。
デュナン・ブリアレオス・テレウスの三角関係をもっとクローズアップしても良かったんでは……。
いや、そもそも僕がデュナンに求めていたのは戦闘美少女としてのヒロイン像であって、この「アップルシード」の世界に恋愛劇を持ち込まれる時点で違和感はあるんですが、どうせやるならしっかり描いてほしかったな、と。

なんか最近文句ばっかり言ってる気がしますが、映像はキレイでしたし、普通に楽しめるアニメでした。
「アップルシード」を見て楽しめた人は見ておいて損はないと思います。