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VIPER'S CREED ヴァイパーズ・クリード

【総監督】
荒牧伸志
【監督】
神戸洋行
【声の出演】
黒田崇矢 (サイキ・クライド)
豊口めぐみ (カリヤ・サクラコ)
川田紳司 (ルドラ・シャンカル)
皆川純子 (ノーマ・ン・グィエン)
星野充昭 (ガリブ・スヴァローグ)
福山潤 (オグマ・ハルキ)
佐藤利奈
植田佳奈
桜井ひな
小島幸子
家中宏
甲斐田ゆき
櫻井孝宏

*あらすじ

21世紀半ば、自然環境の悪化と大戦の勃発によって世界の姿は一変した。大戦の終結後、海路と空路を断たれた人類は都市間を長大なハイウェイで繋ぎ、それが重要なライフラインとなる。流通の要衝として復興したフォート・ダイバ・シティでは、大戦時に放棄された無人兵器から街を守るため、民間軍事会社の傭兵<ブレードマン>たちがバイク型可変ロボット<マニューバ・ブレード>を操り日夜戦っていた。新人オペレーターのサクラコは、独眼の凄腕ブレードマン・サイキとコンビを組むことになるが……。

*感想

「アップルシード」や「エクスマキナ」で監督を務めた荒牧伸志が総監督として指揮した、2009年放送のロボットアクション・アニメ。
主人公たちがバイクから人型に変形するロボット<マニューバ・ブレード>に乗り込み、街を襲う無人兵器<バグメック>と戦う物語です。
好きなアーティストであるiLLが主題歌「R.O.C.K.」を提供しており、名前だけは以前から知っていた作品。荒牧監督が関わってるので「アップルシード」のついでに見てみました。
全4巻で気楽に見れました。

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舞台は近未来の日本のどこか<フォート・ダイバ・シティ>(←たぶんお台場?)
海面上昇による都市水没……。環境改善目的で上空に<シュガーコート>という微粒子を散布する実験の失敗のため空は飛行不能な状態、その微粒子が海に溶け出し海上も航行不能という、冷静に考えるとなかなかにギリギリな世界観です。
唯一、都市間の移動を可能にするものが、洋上に建設された長い長いハイウェイ。そのハイウェイで物資をやり取りするという重要ライフラインになっています。

そして、そのハイウェイ上で繰り広げられる、無人兵器バグメックとマニューバ・ブレードの戦い。
大戦で放棄された自律兵器が廃墟の中でまだ生きており、しばしば人を襲うためにフォート・ダイバ・シティに向かってやってくるという設定。バグメックが街に入り込む前に破壊しなければ!というミッションが展開するわけです。

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マニューバ・ブレードのパイロット<ブレードマン>は、<アルコン・グローバル・セキュリティ>という海外資本の民間軍事会社(PMC)に雇われた傭兵。
サイキ、ルドラ、ノーマ、ガリブの4人は<ユニット・ヴァイパー>というチームで行動しますが、街のためというよりも基本的に報酬のためにしか戦わず、チームワークは皆無な状況。

ブレードマン一人に対して一人の専属オペレーターが付き、オペレーターが集まっている司令室は女性ばかりでなんだか華やか(笑)
しかし、会社員であるオペレーターと傭兵であるブレードマンの間に信頼関係もあまりないようで……。
また、街はアルコンなどの海外資本によって一部が潤っているだけで、地元の人間には貧困層が多い。街に戦いを持ち込み富を搾取するPMCに不満を持つ地元民……。

そんな殺伐とした職場で、地元出身の新人オペレーター・サクラコは「街を守りたい」という思いから仕事に臨みます。
そのサクラコの影響で傭兵たちにも変化が訪れる……的な内容ですね。

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物語は全12話。前半は個性的なブレードマンたちの紹介も兼ねて彼らの戦いの日々を描き、後半7話からは最終回に向けての陰謀が描かれます。

第1話で、隻眼の主人公サイキがヒロイン・サクラコに言い放った言葉「お前に俺の見ているものが見えるか?」が、最終回第12話でサクラコが負傷したサイキを的確に誘導する展開で回収されたり、インセンティブ(報奨)目的で必要以上の戦いをしなかった傭兵たちが、終盤、強大な敵を前にして結束していくのが見所ですね。
(あとヒロインが終盤でロケットランチャーぶっ放す所も見所)

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ただ、凶弾に倒れた仲間の意外すぎる復活とか、数を揃えたオペレーターさんたちが本編では空気だとか、逆に謎の少女ばっかり目立ってる上にベタな展開だとか、いろいろ言いたいこともありますね。
ラスボスとの決着もシステムエラーってご都合主義ですし(´・ω・`)

マニューバ・ブレードのサイズも最初分からないし、人型になった時どういう体勢で乗っているのか最後まで分からないし、そもそも主人公サイキがコワモテすぎて第1話で主人公だと気づいてあげられないというね!
サイキの活躍を見ながら、「主人公まだ出てこないのかなー?」って素で思ってましたすいません(笑)
操縦席内部の映像はもっと描写してほしかったですね。狭いことだけは分かりましたけど(´・ω・`)

あと、貴重なライフラインであるはずのハイウェイが普通の片側二車線というのも、世界観を考えるとおかしいんですよね。
バグメックを想定してのPMCだから、戦闘が起こることは想定済みのはず。
なのに、部長はハイウェイへの被害に目くじら立てるし、実際ハイウェイの構造が弱いんですよね。
大洋を横断して他国と繋がるほどの橋ならば、それなりにゴツいものを想像するわけで、だから現代と同じ片側二車線道路だなんて思わないから、そこで動くマニューバ・ブレードのサイズも分からなくなるんですよね。

そもそも、大陸プレートが少しずつ動いているのにそれを跨いで橋なんて建設できるのかしら?
(……などと言ってしまっては身も蓋もないですが)

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DVDレンタルで見たんですけど、特典映像がてんこ盛りでしたね。
サクラコ以外のオペレーター4人による給湯室雑談ラジオドラマに、脚本家4人による座談会に、声優座談会、女性声優限定ガールズトーク座談会、アフレコ現場取材など……。本編より長いような気がします(笑)

オペレーターズについては、完全にラジオトークの方がキャラ立ってますね。口癖とかも出るし。
本編では、ブレードマン一人に対して一人のオペレーターというパートナーとしての役割をまったく果たしていませんでしたし(仕事中の事務的なやり取りしかなかった)、終盤はまったく出番なかったです。
その分、と言っていいのか分かりませんが、特典のラジオドラマの方で華を咲かせておりました。

作品としては、本編内でそれぞれのブレードマンとオペレーターの関係を描くエピソードがあったほうが絶対に面白いんですけどね。
全12話という制約の中ではさすがに時間が足りなかったですかね。

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ロボットアクションアニメとしては、まあ中くらいの面白さかと。
前半6話はちょっとかったるいけど、後半6話はそれなりにアクション・サスペンスしてます。
ロボット描写については、3DCGを駆使したカメラワークに工夫が見られるけど、そんなに燃えるバトルが見られるわけではないですね。
キャラクターのデザインもちょっとなあ……角刈りの主人公はちょっとなあ……(´・ω・`)
DVD1巻につき3話ずつ見られますが、特典が毎回豊富なため、2時間かかると思って借りた方がいいと思います(笑)