パシフィック・リム
(2013年/アメリカ)

【監督】
ギレルモ・デル・トロ
【出演】
チャーリー・ハナム (ローリー・ベケット)
イドリス・エルバ (スタッカー・ペントコスト)
菊地凛子 (森マコ)
チャーリー・デイ (ニュートン・ガイズラー博士)
ロブ・カジンスキー (チャック・ハンセン)
マックス・マーティーニ (ハーク・ハンセン)
ロン・パールマン (ハンニバル・チャウ)
クリフトン・コリンズ・Jr. (テンドー・チョイ)
バーン・ゴーマン (ハーマン・ゴッドリーブ)
ディエゴ・クラテンホフ (ヤンシー・ベケット)
芦田愛菜 (幼少のマコ)

*あらすじ

2013年、太平洋の深海の裂け目から巨大な怪物が突如出現し、サンフランシスコ湾を襲撃。それは人類と<KAIJU>と名付けられたその怪物の長きに渡る戦いの始まりであった。環太平洋沿岸(パシフィック・リム)の諸国は英知を結集して人型巨大兵器<イェーガー>を開発し、KAIJUとの戦いに乗り出す。イェーガー<ジプシー・デンジャー>のパイロットとして兄のヤンシーと出撃したローリー。戦いの最中、KAIJUの攻撃で兄を失ってしまうが……。

*感想(2013年8月24日、109シネマズ富谷にて鑑賞)
ウルトラマンを見て育ち、日本の特撮・アニメ文化を熱烈に支持するギレルモ・デル・トロ監督が作り上げた、巨大ロボットVS怪獣映画。
主演には「トゥモロー・ワールド」のチャーリー・ハナム。
共演には「プロメテウス」のイドリス・エルバや、「モンスター上司」のチャーリー・デイ、「ヘルボーイ」のロン・パールマンなど。
日本からは、ヒロイン・森マコ役で菊地凛子と、その子供時代の役で芦田愛菜が登場します。



近未来、太平洋の深海に現れた次元の裂け目から出現した巨大生物<KAIJU>。
人類は存亡をかけて人型巨大兵器<イェーガー>を作り出し、太平洋沿岸地域に上陸し破壊を繰り返すKAIJUを阻止しようとします。
二人乗りのイェーガーのパイロットは人気者に……。しかしある時、ローリーは相棒である兄ヤンシーを怪獣に殺されてしまいます。

脳をシンクロさせる操縦システムのせいで兄の死の絶望を味わってしまい、パイロットを辞めてしまうローリー。
やがて人々も、莫大な資金が必要になるイェーガーよりも、安価で確実な防衛策を求めるようになります。
数年後、都市にはKAIJUを阻止する巨大な分厚い<命の壁>が建設され、イェーガーは凍結されてしまいます。

壁の建設作業員としてその日暮らしの生活を送っていたローリーは、国からの資金なしでイェーガーを動かすという司令官スタッカー・ペントコストと再会します。
香港の基地へと向かったローリーはそこで研究者の森マコと出会い、彼女には充分なパイロット適性があることを知ります。



とにかく大迫力のロボットVS怪獣バトルが見所の作品。
海の中でザッパンザッパンと肉弾戦です。
巨大ロボットの鋼鉄が生み出す轟音!そして怪獣の咆哮!繰り出されるパンチ!

テーマ曲も力強いメロディで盛り上げます。
これ見て燃えない男子はいないでしょう!

ストーリーは良い意味で大雑把!
分かりやすい展開です。



デル・トロ監督はよくぞこんな映画を作ってくれた!…と手放しで絶賛したい所ですが、ハマったからこそいろいろ言いたいこともあって…。
他のデル・トロ作品「パンズ・ラビリンス」や「ヘルボーイ」を見ても思うのですが、この監督は、見た目のインパクトといった造形面では優れた物を作りますが、ストーリー面ではそんなに上手くないような気が…。
以下、気になった(気に入らんw)部分を挙げていきます。

①戦闘中、ローリーばっかり喋ってて森マコ静か。もっと台詞与えてほしかった。(3D吹替で観ました)

②怪獣の形状や色がどれも似ているのが残念。もっとカラフルにして、いろんな特徴を備えた怪獣が見たかった。

③カテゴリー5の怪獣にラスボス感が足りない。三体同時出現は良かったけど、どれも似てるために区別がつかない。

④侵略者とかDNA云々の設定は要らなかった気が…。結局、②の裏付けとしてクローン設定が利用されただけの話か?むしろ、防衛のために多様なイェーガーを人類は造ったのだから、侵略のために多様なKAIJUがいてもいい。

⑤翼を生やした怪獣が出てくることで壁の存在理由が無くなるんだけど、そのことに少しだけ触れてほしかった。

⑥オペレーターは女性で!あと椅子ガーッやるの要らない。

⑦<イェーガーの心>って一度だけ言及あったけど、結局描かれず?気になります(´・ω・`)



上記で一番譲れないのが②の怪獣の造形について。
いかにも「アメリカ人の描くモンスター」と言った感じで、体の色はグレーで統一されてます。
なので、個体の名称が付いていてもいまいちキャラが立ってないんですよ。

「ウルトラマン」シリーズとかだと、バルタン星人にゼットンにレッドキング…といった感じに色んな形や色をした怪獣が出てきます。
また、ゴジラとモスラとキングギドラはシルエットでも一発で見分けがつくんですけど、では「パシフィック・リム」の怪獣たちをシルエットで見分けられるかといったらムリだし、わずかな個体差を見分けられるほど映ってもいなかったわけで…。(海上戦も多くて全身像少ないですし)

なので、カラフルで特徴的なイェーガーにはたっぷりと愛着が湧くんですが、KAIJUの方となると、ちょっとそこまでの愛着は湧かなかったですね。
ウルトラマンならヒーローだけでなく怪獣も愛されるわけですけど、パシリムに怪獣愛は注ぎづらいかもしれません。
ほんと、原色系で色分けするだけでもかなり違うと思うんですけどね…。

他にも、KAIJUの秘密を探るために、海底の裂け目に向かうのではなく、香港の闇商人に会いに行く…とか、基地の仲間を鼓舞する司令の演説があんまり上手じゃなかったりとか、なんとなく話の見せ方がイマイチな気もしますが、それでも戦闘シーンは圧倒的で満足させられてしまうんですよね。

とんでもないスケール感で描いた映画なので、大きなスクリーンで観られて幸せでした!