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永遠のこどもたち (2007年、スペイン/メキシコ)

感想 (2013年4月16日、DVDにて鑑賞)

スペイン発の良作ホラー映画ですね。
監督はこれがデビュー作となったフアン・アントニオ・バヨナ。今年公開された「インポッシブル」の監督でもあります。
制作総指揮には「パシフィック・リム」「パンズ・ラビリンス」のギレルモ・デル・トロ。
出演は、ベレン・ルエダ、フェルナンド・カヨ、ロジェール・プリンセプ、ジェラルディン・チャップリン、マベル・リベラなど。


海辺の孤児院で幸せな幼少時代を過ごしたラウラは、30年後、既に閉鎖されていた孤児院を買い取り、障害を持つ子供たちのホームとして再建しようとします。
夫カルロスと養子のシモンと3人で引っ越して来たのち、ホーム開園の準備を始めますが、遊び友達のいないシモンは「トマス」という空想の友達に話しかけるようになります。

入園希望者を集めたパーティーの中でラウラはマスクを付けた子供にバスルームに閉じ込められ、シモンの姿も見えなくなります。
そしてその日から、奇妙な出来事が起こるようになり…。

これは、ネタバレすると楽しめない映画なので、あまり詳しく書けません。
面白かったからいろいろ語りたいのに、書きすぎてしまうと魅力が損なわれてしまうという…ああ、なんという!
(けして、手を抜く口実にはしていませんw)


子供の頃、空想上の友達っていました?
僕はいなかったんですけど、洋画とか見てるとけっこうそういう子は多いみたいですね。
自分にしか見えない空想の友達を作って、まるで隣にいるように振舞ったり、話しかけたり…。
独りの寂しさを紛らわすための行動なんでしょうかね?

そういうのって、大人からするとちょっと薄気味悪く見えることがあります。
幽霊の存在を信じてる人にとっては、子供は霊感が強い、ということとリンクするかもしれません。
「この子には何か霊的なものが見えてるんじゃないか」と…。

しかし、その視点はあくまでも大人のものなんですよね。
子供の空想遊びがちょっと怖く見えるのは大人の視点だからなんです。
この映画はその大人の視点を巧く利用して、ホラー映画に観客を巻き込む映画だといえます。


この映画は、ホラー映画に属するとは思いますが、実は、人間心理を巧妙に描いたサスペンスでもあります。
誰もが一度目はホラー映画として楽しむと思うんですが、最後まで見ると、実はもう一つの解釈があったことに気付きます。
霊的で切ない物語と、とてもドライな見方と、二通りの見方ができるんですね。

例えば、ある霊媒師が出て来て主人公に啓示を授けます。
主人公はその言葉に勇気づけられ行動するわけですけど、最後まで見た時点でドライな視点に立てば、この霊媒師はまったくのペテン師でテキトーなことを言ってただけにすぎないと全否定することも出来るんですよ。

でもその一方で、スピリチュアルな部分を鑑賞する余地も残されているんですよね。
だから、見る人によって様々な解釈が生まれそうですが、大きく分けて二つの解釈が共存していて、受け取りたいように受け取ることができる映画です。
こういうのは本当にあーだこーだ語りたいですね(笑)


ちなみに僕個人の感想としては、ドライな事実の積み重ねのドラマだったと…。
しかし、それをスピリチュアルな描き方をして、物語をうまくまとめた…って感じですかね。
ホラーですし、見るに耐えないカットも一つ二つありますが、多くの人にオススメしたい映画です。