A.I.

A.I.
(2001年/アメリカ)

【監督】
スティーブン・スピルバーグ
【出演】
ハーレイ・ジョエル・オスメント
ジュード・ロウ
フランシス・オコナー
サム・ロバーズ
ジェイク・トーマス
ブレンダン・グリーンソン
ウィリアム・ハート

*あらすじ

ロボット技術が充分に発達を遂げ、人間生活の様々な分野にロボットが進出している時代。それまで不可能とされてきた「愛」という感情を持つ人工知能(AI)が開発され、それを備えた少年型次世代ロボットが造られる。ロボット製造会社の社員であるヘンリーとその妻モニカに引き取られたロボット<デイヴィッド>は、母親モニカを永遠に愛するようにインプットされるが、モニカの実の息子であるマーティンと問題を起こし捨てられてしまう。デイヴィッドは、自分が人間になれば再び母に愛してもらえるはずと、長い長い旅へと出るが…。

*感想 (2013年4月23日、DVDにて鑑賞)

スタンリー・キューブリックが企画し、彼の死後、スピルバーグが監督したSF大作。
SFファンでなくても一度は見たことある作品ではないでしょうか?

日本で大ヒットした理由として、主演がハーレイ・ジョエル・オスメントというのも大きいですよね。
「シックス・センス」と並んでオスメントくんの魅力を味わえる作品です。
あと、お子さんがいらっしゃる人は涙腺がピンチだと思います(笑)

そう言う僕はお子さんいませんので、意外と冷静に客観視しました。
絶対泣けると思って借りたんですけどね(笑)


中盤は、ジゴロ・ロボットのジョーや人工知能を備えたぬいぐるみ<スーパートイ>のテディやらが出てくるので、それなりに楽しいですね。(いつの間にかデイヴィッドに寄り添ってる子守りロボットも好きです)
物語の動機は、母親に捨てられた悲しさや人間になりたいと願う切ない思いだったりするので、全編にシリアスなムードは漂ってますよね。
楽しいシーンですらどこか物悲しさがあったりして…。(単に結末を知ってるからかもしれませんがw)

なので、この作品は母子の愛情を描きつつも、人工知能が生み出す感情を否定しているようにも思えます。
「これこそ無償の愛だ」と思わせつつも、機械の単純さ融通性の無さを突き付けてきますね。


「愛」という感情を持つ人工知能ということですが、愛には二つの用途があります。
「人を愛する」ということと、「人から愛される」ということ。
デイヴィッドは母親を愛するがゆえに「愛されたい」と願い、そのためには人間になることだと知ります。

例えば、仮に母親に愛情を注いでもらえなくても、世界の果てで遠く離れた母親を思い続ける…というのも愛だと思います。
しかし、この作品では「愛されるためにはどうするか」という方向性で語られます。
ある意味では、デイヴィッドに何か執着心のようなものさえ感じますね。

そして、一方では、母親モニカはデイヴィッドに愛されまくっているんですよね。
人工知能が生み出した、機械的な愛情、母親の個性などまったく考慮しないインプットされたプログラムに過ぎない愛。
それが、デイヴィッドを駆り立てます。


これがロボットではなく生身の人間だったら、デイヴィッドほどの執着はみせないと思うんですよね。
自分を捨てた母親を憎むかもしれないし、長い旅の途中で諦めるかもしれません。
少なくともいつまでも母親を愛してはいられない。

しかしデイヴィッドはロボットだから永遠の愛を遂行できてしまうんですね。
これは非常に切ないな、と。
人類が消え去っても、他に愛すべき存在と出会えたとしても、デイヴィッドは母親への愛情を疑うことすらできない。

ここに機械の機械的な面が凝縮されてるし、その融通性の無さが愛情と関わったために起こった悲劇の物語は、やはり切ないです。


ただ終盤ちょっと長いですよねえ、これ。
まだかまだかと思いながらどんどん後戻りできない展開へ。

終盤に出てきた宇宙人みたいな人たちは、人類が造り出した「スペシャリスト」と呼ばれる超高性能なAIなんだとか…。
いや、説明されなきゃ分からんから!
まあ、どおりでクローン技術が宇宙人にしては中途半端だなーと思いましたよ…。