銀河機攻隊マジェスティックプリンス
【監督】
元永慶太郎
【シリーズ構成】
吉田玲子
【キャラクターデザイン】
平井久司
【声の出演】
相葉裕樹 (ヒタチ・イズル)
浅沼晋太郎 (アサギ・トシカズ)
日笠陽子 (クギミヤ・ケイ)
井口裕香 (イリエ・タマキ)
池田純矢 (スルガ・アタル)
沢城みゆき (スズカゼ・リン)
伊藤静 (テオーリア)
緑川光 (ジアート)
東地宏樹 (シモン・ガトゥ)
【アニメーション制作】
動画工房
オレンジ
あらすじ
地球暦2110年。宇宙へ進出した地球人類は数多の資源小惑星を手中に収め繁栄を築いていた。しかし、木星圏に現れた謎の勢力<ウルガル>の攻勢によって戦線は後退し、地球は存亡の危機に陥る。その頃、遺伝子操作で宇宙に適応できる人類を生み出そうとする<MJP計画>によって生み出された少年少女5人組<チームラビッツ>が、最新鋭の戦闘デバイス<アッシュ>に乗り込み、全地球防衛軍<GDF>艦隊の撤退の盾として前線へと送り込まれる。個々の能力には秀でているがチームワークが悪く、<ザンネン5>という不名誉な異名を持つ彼らの運命は……。
感想
かなり遅くなってしまいましたが、「銀河機攻隊マジェスティックプリンス」のレビュー行きます。
今年2013年の4月から9月にかけて全24話が放送されたロボットアニメ。
春アニメのロボットものは、この「マジェプリ」か「革命機ヴァルヴレイヴ」の二強って感じでしたね。
ヴヴヴは見れる環境じゃなかったので、マジェプリのチェックとなりました。
(つってもマジェプリも放送終わってからまとめて録画消化したんすけどね……)
監督は「刀語」などの元永慶太郎。
キャラデザは平井久司で、こちらは「ガンダムSEED」で見たことある気が。
吉田玲子は「けいおん!」のシリーズ構成も務めた人で、そうかマジェプリの日常シーンの多さ、そしてフワフワしたボケツッコミの数々はこの方のカラーが出た結果なのかな?
ガンダム好き・ロボット好きを自認している僕ですが、けっこう久しぶりのロボットアニメでしたね。
……え、エヴァ?……あ、あれは、人造人間じゃないですかっ!(汗;
……え、ヴァイパーズ・クリード?あ、すいません完全に忘れてました……(汗;
■高速ロボットバトルがアツい!
ロボットバトルがカッコよかったですね~♪
速いんですよね、目にも留まらぬ速さでガイーンガイーンです。
録画のために画質が少し落ちるのが本当に悔しかったです……。
第1話「出撃」は二度見てもカッコよかったですし♪
学徒である主人公たちが前線に送られる所から初戦闘で敵を撃退する所まで1話で描き切っちゃうすごさ。
第8話「ケレス大戦」は、GDFの大艦隊を交えた大規模戦闘でアツいです。
物語としても、宿敵となるジアートとイズルが邂逅する重要な回。前半の山場ですね。
第14話「アッシュの影」あたりでレッド5変形!うーん!まだそんなに通常形態見慣れてなかったのに!
それに呼応してジアートの機体も変形。
イズルは闘争本能が覚醒して、物語は別のステージへ……。
切り結ぶ二つの機体の周囲を視点がグルグルと回る素晴らしい映像は、アニメーション技術の進歩ですね♪
第17話と第18話の「都市学園防衛戦」前後篇は地上戦。ラベンダー畑での高速戦闘です。
富良野かよ!?とツイートしたんですけど、調べたらグランツェーレ都市学園は北海道・富良野にある設定(笑)
レッド5とブルー1がウルガル軍団長をザクザクするのが、なんかマジェプリぽくない!(笑)
なんだろ、平時のフワフワ感と戦時のシャキッとした感じ……?
ラスト3話はウルガルのゲートを破壊する総力戦。
さすがに面白い内容でした。特に最終話の挿入歌!(後述)
あえて戦闘シーンに文句をつけるなら、タクティカルな面での面白味が足りなかったですね。
近接戦闘のブルー1、管制を務めるパープル2、高速遊撃担当のローズ3、遠距離砲撃のゴールド4、前衛指揮官機であるレッド5と、明確に役割分担はされているんですが、それをあまり意識して見ることはなかったかな、と。
なんつーか、結局イズル・アサギ・タマキは前衛で、スルガ・ケイは後衛……くらいの位置づけしかできてなかったかな、と。
それぞれのキャラ・機体が活躍する回はもちろんあるんですが、そもそもフォーメーションというものをしっかり描いた回はなかったかな……と思います。
イズルはリーダーなのに戦術考えたことなさそう……。
艦隊の場合も同じで、敵部隊と味方艦隊の位置関係などが艦橋のモニターで一瞬映されるだけでしたね。
ゴディニオンの仕様なのでしょうがないんですけど、弾が尽きたら武器を射出とかですね、エネルギー切れかけたらピット艦で回収して補給とかですね、その間戦線を支えるのは誰なのさ?って感じでした。
戦術面での駆け引きなども描かれればもっと面白かったと思います。
■ユルユルな星間戦争?
いや地球の存亡が懸かっているのでけして呑気に戦ってるわけではないんですけどね。
でも、シリアスの最中でもギャグを入れてくるような感じでね。
戦闘中もザンネン5の掛け合いがあったり……。
スズカゼ教官は上官の隣でアメ舐めてたりとか。ブリーフィングの終わりにアメ配ったりとか。
アンジュなどは存在そのものがギャグですからね。戦闘中うるせー(笑)
日常シーンに至っては、もう完全にリラックス状態ですよ。
チームメイト同士のやりとり、戦闘母艦ゴディニオンのクルーたちとのやりとり、異星人のお姫様との会食の席がお好み焼き屋だったりと……。そもそも拠点となる宇宙ステーション内部に現代風な商店街ですからね。2110年ってェ……。
まあ、挙げればキリがないんですがそういうユルユルなアニメなんですよね。
スルガの髪型が物語っているように、適度に気の抜けた、脱力系ロボットバトルアニメです。
ただ、GDFと各国のアッシュ開発技術を巡るやりとりとかはシリアスでしたし、ウルガルとの戦争が終わった後に人類同士での戦争が勃発するのではないか?という懸念もありました。
ゴディニオンが絡んでこないところではシリアスなんですよね(笑)
■ヒーローとは?
天然系の主人公ヒタチ・イズル。
ヒーローに憧れ、自作のヘタなヒーロー漫画を周囲に見せる彼のヒーロー道とは?
前半こそ、ヒーローについての言及がありましたが、後半、特に終盤はその要素はどっか吹っ飛んじゃってたような気がしますね。
「ヒーローは失敗した時、8割ぐらいの確率で生還するんだ」とか「ヒーローは仲間を信じる」とか、まあそれってヒーローじゃなくてもできるだけ生還しなきゃだし、仲間は信じないとね、ヒーローとか関係なく、ね♪
結局この「ヒーロー」という要素は消化不良だったと思うんですよね。
ヒーローに憧れる少年がいかにしてヒーローへと成長するのか、というフリだけしておいて、彼に与えられた「リーダー」という役職、そして終盤は遺伝子に封じられた闘争本能との闘い、といったものが全部イズルにのしかかってきたような……。
イズルの奮闘にヒーローの姿を垣間見ることはできますが、ほとんどのロボットアニメの主人公は言わずともヒーロー的だし、わざわざそれを主人公に言わせた意味はなんだったのか……。
アムロやシンジは「ヒーローになんかなりたくない」のに無理矢理に戦わされ、そこがドラマになるわけですが、じゃあその逆の方向性をイズルを通して描けていたのかは疑問です。
さらに「ザンネン5」という要素もなんだかなあ……。
戦績におけるザンネンっぷりは序盤で払拭……。
私生活などでの性格的なザンネンっぷりは全編通して描かれてましたが、そもそも周囲の脇役たちもなんだかザンネンな感じで、特にチームラビッツのザンネンっぷりが際立ってなかったんですよね。(アンジュだのガッカリ3だのw)
むしろそのザンネンっぷりというかボケツッコミがマジェプリのカラーでしたよね。
いつの間にかそれ自体がこのアニメのウリになっていて、そして戦闘では見事なチームワークを早い段階で確立してしまっています。
一体なにがザンネンだったのか……という状態でした。
そのくせザンネンを克服したという気はしないんですよね……。
■少年少女たちの青春
遺伝子操作によって戦うために作られたこと、記憶を消されて兵士養成学校で訓練してきたこと……。
当然、心の葛藤もあるにはあるんですが、あまりシリアスにはならず、割と簡単にスッと流すなり受け入れるなりしてしまう……。(イズルは最終話でも「お兄ちゃん♪」とか言ってるし……)
全部ひっくるめて、青春という言葉で表現してもよさそうですね。
一応、恋愛模様も描かれるんですが、このシリーズでは決着はつかず。
テオーリア←イズル←ケイ←アサギ(←ピットクルーの幼女アンナ)という複雑な相関図なので、進展があれば盛り上がったと思うんですけど……。
てか24話あって進展しなかったんだよ、このアニメ……(汗;
割と思慮深い方のケイとアサギは、想い人絡みでなにかと表情を変えるので楽しませてもらいましたね。
イズルのことを心配するケイ、そんなケイの想いを察して胃を痛めるアサギ。
極めつけは16話、イズルが心配でアサギに同行してほしいケイの「アサギ……お願い」!
これ言われたアサギの心中察するに余りある……。
2期ではもっと進展させてほしいですね、というか進展させなきゃ話にならないですよ。
恋愛模様に端を発するチームワークの乱れとかあって然るべきだし、このままナカヨシ5のまま2期もやられたんじゃさすがに飽きると思います。
(2期がある感じで書いてますが現時点で未決定です)
■キャラクター……
同じく平井久司キャラクター・デザインによるアニメというと、「機動戦士ガンダムSEED」とその続編「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」しか知らないんですが、けっこう前の作品だからあまり参考にはならないかも。
ガンダムSEEDは真面目な作品(笑)だったので、硬派にまとめられていましたが、マジェプリだとかなりフザケているというか……。
整備長のムダにデカイおっぱいのムダな露出とかがフザケてる一例w
そのフザケ具合がマジェプリらしさなんですが、キャラクター・デザインの面ではけっこう地味目だったかな、と……。
特に女性陣、アニメ業界全体が萌え寄りにいってる中で、ケイ・タマキ・スズカゼ教官のデザインはちょっと物足りないですよね。
テキトーに言ってしまうと女子力がイマイチ足りない(笑)
タマキの低身長に巨乳というアンバランスなスタイルも、エロというよりはギャグでしたし……。
飴と鞭を一人で使い分けるスズカゼ教官は、マジェプリのセックスシンボルになると当初思ったんですが、あっという間に見慣れてしまいました……。
テオーリアさんなんて、なんでいつも谷間見せてるのかそっちのが気になってしまうし(笑)
で、個人的にケイを推してるんですが、それにしたってイズルやアサギとの三角関係がチラつきだしたために魅力が出てきただけの話で、デザインそのものは地味ですよね。切れ長の目とかは好きですけど。
「かっかわいい……///」というよりか、徐々に愛着湧いてくる感じのマジェプリ女性陣でした。
↓ベスト・オブ・スズカゼ♪
柿の種w↑
キャラ設定、というかキャラの多さもある意味ギャグでしたね。
ゴディニオンの整備士たちの多さ(笑)
アッシュ1体につき専属整備士3名(なぜかパープル2だけ4名)がいて、それぞれ個性的な3人組になっているという、ね。
整備士16名にそれを束ねる整備長で総計17名……。なぜここまで整備班が巨大になってしまったのか分かりませんが、とりあえずパイロットも含めたゴディニオン乗員の半分は整備班でできています。
さらにチームラビッツのマネージャーに、食堂のお姉さんなど、それ本当に必要なのかという人物までもが、最終決戦の舞台にまで同行するわけで……。
主人公は「みんなは僕にとって家族なんだ」とか言い出すおかげで一応の言い訳はつけた感じですが、それ、もっと小規模でも言えますし……。
対するウルガルの人の少なさ(笑)
皇帝と軍団長の7名しか登場せず、クローンの一般兵が2,3度映っただけでしたからね。
ウルガル寂しいわ、絶対寂しいわ、そりゃ寂しさ紛らわすために多種族を狩るわwww
■主題歌良かった♪
マジェプリのPVを見た時点で、好きな石川智晶の曲が使用されていたので視聴を決めたというのもありますね。
第1クールのOP曲は昆夏美の「私は想像する」で、これは石川智晶の作詞作曲です。
声質はちょっと違うけど、独特のメロディとか歌詞は石川智晶ワールドでしたね♪
でも、このOP曲から受けるシリアスなイメージは本編にはあんまりないわけですが(笑)
石川智晶はこのアニメシリーズで存在感を放ってまして、第1クールのOP曲提供、ED曲「サヨナラっていう」担当、第6話で使用された挿入歌「ココロ」の作詞作曲……。
第19話の特別ED曲「Respect Me」は、チームドーベルマンの悲劇とリンクさせた神EDでしたね。
そして最終話の挿入歌「その逆」とかもうね!
ここで新挿入歌出して来ますかと!Aメロが神!
てか、「その逆」とか!「私は想像する」とか「サヨナラっていう」とか!(笑)
いやもうね……シングルの「サヨナラっていう」(「その逆」も収録)を買おうか、先日発売されたマジェプリのサントラ(他の挿入歌もフル収録だそうです)を買おうか、悩む~……。
だって劇伴の方はそんなに好きじゃないしな~……。
石川智晶の次作アルバムを待つという手もありますが……。
石川智晶が関わってない主題歌もけっこう良くてですね、第2クールOP曲の「PROMPT」とかやっぱり良いですね。
イントロがとても美しくて切ないんですけど、そこから意外に明るいサビになっていくのは、マジェプリらしさですね。
キャラソン的なEDもありましたし、主題歌・挿入歌合わせると9曲もあるんですね。(キャラソンも別にあるようです)
ロボットバトルだけじゃなく、音楽面にも力を入れていたことが分かりました。
■二期で描くべきことは?
二期あるのかないのか、できるのかできないのか、世間が求めているのか求めていないのか不明ですが、とりあえず第24話のエンディングだけでは消化不良となる内容でした。
いろんな伏線が未回収ですからね。てっきりエンディング直後に第二期の発表あるのかと思って見てたけど無いし(笑)
遺伝子と進化の話が絡んでるのに、主人公が闘争本能を制御できるようになった所で終わり。
侵略者の撃退も一時的なものに過ぎないし。
なにより二期がないならテオーリアさんがシモン司令を助けた意味が無いw
主人公たちの恋愛模様も棚上げ状態だし、ヒーローという存在についてもほとんど描かれてなかったんじゃ……。
そんなわけで二期が実現しないままプロジェクト終了となれば、こんなに微妙なロボットアニメもないわけですが、でもかと言って、二期でどんな展開になるのかと言えば、そんなに期待できるようなものでもないような気がするのが哀しい(´・ω・`)
主人公の覚醒や機体の変形はすでに描かれています。
最終話で内なる声に勝ったイズルはある意味もう最終形態ですよね、主人公として。
ここからまだ成長を描く余地があるのか疑問。
恋愛模様については当然進展あるでしょうが、なんとなくアサギが胃を痛めるんだろうな(´・ω・`)
このアニメ、少なくとも一期では恋愛関係に力入れてなかったと思うので、二期になって突然頭のなかがラブ一色になるのもそれってロボットアニメとしてどうなの?という思いもあるし(笑)
GDFと各国の政治的な駆け引きが、24話後の世界にどう影響与えたのかは気になるところですが、結局は再来するウルガルに備えてまた一致団結して、という感じでしょうね。
ウルガル以外の敵というのがちょっと考えられなくて、少なくとも二期の敵勢力も異星人だろうと。
人間同士で殺しあうとか考えられないよねマジェプリでは。
時間をちょっと進めて主人公交代という手が一番希望が持てるかもしれません、個人的に。
あくまでこの一期はマジェプリ・クロニクルのエピソード1だったという位置づけなら、中途半端な最終回にもある程度納得できますね。
ほら、時間をおけばスターローズももう一個建造できるし!
ただ、王道と言えば聞こえは良いですが、けっこうベタベタな内容でもあったので、二期あるとしたら何かを突破口として殻を破っていってくれないと飽きちゃいそうですね。
バトルかっけ~え!がいつまで続くか心配ではあります。
それなりに楽しめたアニメでした♪
あと、二期とか以前にキット化切望ー!!
- カテゴリ カテゴリ:
- アニメ