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「ブレイブ ワン」(2007年、アメリカ)

原題:The Brave One  監督:ニール・ジョーダン  脚本:ロデリック・テイラー、他  製作:ジョエル・シルバー、他  製作総指揮:ハーバート・ダブル・ゲインス、他  出演者:ジョディ・フォスター、テレンス・ハワード、ナヴィーン・アンドリュース  音楽:ダリオ・マリアネッリ  撮影:フィリップ・ルースロ  編集:トニー・ローソン  配給:ワーナー・ブラザーズ  上映時間:122分

【あらすじ】
ニューヨークのラジオ局で深夜放送のパーソナリティを務めるエリカ(ジョディ・フォスター)は、婚約者との幸せな未来を夢見ていた。しかしある夜、その夢は儚く散ってしまう。愛犬の散歩に出かけた2人は、3人の暴漢に襲われ、エリカを守ろうとした婚約者は命を落としてしまう……。自身も暴行を受け心と体に大きな傷を負ったエリカは、不法と知りながらも、護身と精神の安定のために一丁の拳銃を買い求めるが……。



【感想】
(2011年12月18日、TV録画にて鑑賞)

飛行機の名前じゃない。(そりゃエアフォース・ワンだw)


「フライト・プラン」ジョディ・フォスターが主演のサスペンス。
フォスターは製作総指揮にも名を連ねています。
「深夜放送のパーソナリティのエリカ」と書くと、何故かイケイケのお姉ちゃんを想像してしまいますがw、バカ話を繰り広げる深夜放送ではなくて、一日の終わりに思索に耽るような大人な雰囲気のラジオ番組です。日本で言えば「ジェットストリーム」みたいな??
番組のパーソナリティを務めるエリカも知的で落ち着いた雰囲気の大人の女性。
僕はジョディ・フォスターといえば「フライト・プラン」くらいしか見たことないんですが、この映画の彼女はちょっと好きです♪

そんな彼女が唯一イチャイチャする男が婚約者のデイビッド(ナヴィーン・アンドリュース、「LOST」にも出てたらしいです)。
しかしある夜、3人の若者に襲われデイビッドは殺されてしまいます。
エリカは一命を取り留めますが、心に大きな傷を負い、PTSDのような症状に悩まされます。


しかし、その悩みの解決方法がなんともアメリカらしいというか、なんというか。
通行人とすれ違うたびに怯えるエリカは、護身のために銃を携帯することで、恐怖に打ち勝とうとします。
しかも、正規のルートでは手続きの問題で手に入らなかったために、密売人から不法に入手してしまいます。

ちなみにこの時点では、ジョディ・フォスター演じるエリカはまるで銃の似合わない女。
この後、初めて撃鉄を引いて小悪党を殺したことをきっかけに、徐々に扱いに慣れては行くものの、最後まで似合っていなかったかな……。
でも、この映画では、銃が似合わないからこそ、苦しみながらそれを使う主人公の姿がアンチ・ヒーローとして映ると思います。

ヒーローといっても、あくまでも普通の女性としてできることをしているだけですので、飛んだり跳ねたりはしません。
しかし、心の奥底には婚約者の命を奪った犯人に報復したいというがあり、それが一人のか弱い女性を駆り立て、危険な場所へと導いて行きます。


やがて、同一の銃による世直し殺人の関連性に警察も気づき、刑事マーサー(テレンス・ハワード、「アイアンマン」にも出演)は“謎の処刑人”を追ううちにラジオ・パーソナリティとしてのエリカと出会います。
2人の何気ない会話の中にも駆け引きが含まれていて、マーサー刑事がどう動くかはわからないのでけっこう楽しめましたかね。友情みたいなものが芽生えつつも、違う正義を掲げる2人……。

ラストには、刑事のちょっと粋な計らいが待ち受けていましたが、実は、そういう展開を既にまったく関係ない漫画で読んでしまっていたので、僕としては衝撃も何もなく、ただシンプルに「オイオイ……」と思っただけでした。


余談ですが、“謎の処刑人”がいつまでも謎だったのは、不法な銃が犯行に使われたことが実は大きく関係してると思います。描かれてないけど……。
正規ルートで手に入れた銃で殺人を犯せば、あっという間に警察はエリカを逮捕していたはず。

逆に言えば、エリカが撃鉄を引き続けられたのは、それが不法所持の銃だったから……?
手続き踏んだ銃だったら、初めの犯行の後で「どうせ捕まるなら、自首しよう」という選択肢も浮かび上がってくる……。
でも、今作には、「罪を犯すべきか」という葛藤はあっても「罰を受けるべきか」という葛藤は描かれてないんですよ。
だから、その後もエリカは私刑を続けてしまう。

そう考えるとやはり怖いものがあります、銃社会アメリカ。
「社会」と言ってみたところで、無法者にはなんの縛りにもなってないという……。






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