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ダークナイト ライジング (2012年、アメリカ)

【ジャンル】
アクション/アメコミ・ヒーロー
【監督】
クリストファー・ノーラン
【出演】
クリスチャン・ベール (ブルース・ウェイン)
マイケル・ケイン (アルフレッド)
ゲイリー・オールドマン (ジム・ゴードン)
アン・ハサウェイ (セリーナ・カイル)
トム・ハーディ (ベイン)
マリオン・コティヤール (ミランダ・テイト)
ジョセフ・ゴードン=レヴィット (ジョン・ブレイク)
モーガン・フリーマン (ルーシャス・フォックス)

あらすじ

ゴッサムシティを混沌に陥れようとしたジョーカーの襲来から8年――。ハービー・デントの意志を実現するために作られた「デント法」によって、ゴッサムは平和な街となっていた。その一方で、ハービー・デント殺害の罪を被って人々の前から姿を消したバットマンことブルース・ウェインは、心と体に消えることのない大きな傷を受け、屋敷の奥に引き籠ったままだった。そんな時、ゴッサムの革命を望む新たな脅威ベインが現れる……。

感想 (2012年7月28日、109シネマズ富谷にて鑑賞)

理詰めで考えると完璧なんですが、個人的には盛り上がらなかった映画です。

クリストファー・ノーラン監督による21世紀バットマン・シリーズ3部作の完結編。
「バットマン ビギンズ」「ダークナイト」で描いてきた新たなバットマン像の集大成的作品ですね。


主要キャストはすべて続投。
バットマンことブルース・ウェインにクリスチャン・ベール。半引退のような形で屋敷に引っ込み、怪我した片足を引きずり、杖をつき、髭を生やした主人公を演じます。

そんな主人を見守り続けてきた執事アルフレッドにマイケル・ケイン。いつものように口うるさいですが、今回はちょっと様子が違ってましたね。主人を真剣に諌めたりするシーンが目立ちました。

市警本部長になったゴードンにゲイリー・オールドマン。8年前のバットマンが姿をくらました本当の理由を知りながら、ゴッサム市民に対し嘘をつき続けています。そのへんの葛藤もちょびっと描いてました。

そして、ウェインから会社を引き継いでいた技術者でもあるルーシャス・フォックスも、モーガン・フリーマンが続投。ただ、全体的にオジサン連中は出番と見せ場が物足りなかったかな……。というより、時間が足りない感じですね。

今作から新たに登場した人物。
まずは、敵役のベインを演じたトム・ハーディ。あのマスクは最後までトム・ハーディの顔を隠し続けましたが、逆にパワフルな肉体が引き立ちました。

さらに敵か味方か分からない謎の女怪盗キャットウーマンことセリーナ・カイルも登場。演じたアン・ハサウェイは絵的にハマリ役だったと思います。漫画から抜け出てきたような大きな目がマスクの中で輝きます。黒いボディスーツにロングヘアーというデザインも良かった(*´∀`*)

ノーラン監督の「インセプション」で怖い女を演じたマリオン・コティヤールは、ウェインの進めていた事業へ協力を申し出る実業家ミランダ・テイトを演じます。個人的には、彼女の終盤の立ち回りが某作を思い出してちょっと……って感じでした(-_-;)

同じく「インセプション」からノーラン組となったのかジョセフ・ゴードン=レヴィットは、バットマンの復活を信じる若き警官ジョン・ブレイクを演じます。一部ではバットマン以上の活躍ぶりでしたね。

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物語の方は相変わらずの素晴らしい出来、といったところでしょうか。
ですが、個人的には完璧なのはわかるんですがイマイチ乗りきれませんでしたね。
例えば、ダ・ヴィンチの描いたモナリザが世界屈指の芸術であることは知ってるけど、あの絵を見て興奮しないのと同じ?

多分、よくよく考えればすごいシーン・展開の連続だったと思います。
冒頭のハイジャックから飛行機墜落への流れなんて、そこだけで映画一本分の予算を使ってそうな感じ。

でも、あんなに凄いものを冒頭で見せてしまうと、それ以降の映像は大したことなくなってしまうんじゃ……。
逆に言えば、凄いものが次々映しだされているのに、それをサラリと流しているような感じもしました。

脚本の方も似たような印象。よく練り込んであり、いろんな伏線が散りばめてあって、それを見事に回収していくんですが、果たしてどの伏線がこの映画で一番重要だったのかが、分からない。

冒頭でベインが部下にした命令が終盤で自分に返ってきたり、アルフレッドの老後の夢がエンディングで叶えられたり、それから1作目から言われ続けている「人はなぜ落ちるのか?」という問いと答えを文字通りに体現する試練があったり。
意外なところでは、ウェインが少年時代から抱き続けていた思いをゴードンに吐露したところとか。

これだけの伏線や素晴らしい映像を規定時間内に収めてしまうという意味では、たしかに天才的な脚本だったと思います。
ただ、それぞれのエピソードがサラッと描かれているので、物語を咀嚼する暇がなかったですね。


一方で、描ききれていない部分とかも気になってしまい……。
例えば、セリーナ・カイルの人物像とかね。どういった過去を持ち、どれだけの能力があり……、みたいな部分は説明なしですよ。あったのかもしれないけど展開早くて理解できません……^^;
なので、終盤での彼女の立ち回りもすんなりハラオチしなかったですね。さらにエンディングの立ち位置もモヤモヤしましたね。

まあ、説明なしでも良い時はいいんですけどね。キリアン・マーフィーなんて説明なしだったけど、ちゃんとファン・サービスになってましたしね。

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3部作の完結編としての期待はもちろん、「ダークナイト」を超えることも求められていた中でのこの「ダークナイト ライジング」。
「バットマン ビギンズ」からの因縁も描いた本作は、正直言って「詰め込みすぎ」だったと思います。

その詰め込みすぎな内容を、ノーラン監督の巧みな手腕で上手くまとめていますが、でもそれが逆に凡人にはついていけないスピード感を生み出しているかも。
つまりは、ノーラン映画をもともと好きかどうかで、作品の評価は変わるでしょう。

……てゆーか、なんで素直に言えないんだ、「面白かった」って!(笑)