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リリィ・シュシュのすべて (2001年、日本)

【ジャンル】
青春ドラマ
【監督】
岩井俊二
【出演】
市原隼人 (蓮見雄一)
忍成修吾 (星野修介)
伊藤歩 (久野陽子)
蒼井優 (津田詩織)
市川実和子(島袋)
大沢たかお(高尾旅人)
稲森いずみ(星野いずみ)

あらすじ

カリスマ的アーティスト「リリィ・シュシュ」の音楽性と生き様に心酔する中学二年の蓮見雄一は、学校でいじめを受けている。雄一をいじめているのは、同級生の星野修介。1年の頃は共に剣道部で仲の良かった雄一と星野だったが、夏休みを利用して出かけた沖縄旅行を経て、星野は豹変してしまった。星野のいじめの対象になり鬱屈した日々を送る雄一の唯一の救いは、リリィ・シュシュの歌を聴くこと。雄一は自ら作ったリリィのファンサイトの中で、同じくリリィに心酔する「青猫」と出会い、心を通い合わせていくが……。

感想 (2012年1月29日、TV録画にて鑑賞)

岩井俊二監督が、少年たちの置かれた現実を大胆に切り取った作品。
全編を通して印象的に使用されたリリィ・シュシュの音楽は、歌手のSalyuや小林武史、岩井俊二らによるものです。
映画の中のリリィ・シュシュは架空の存在なんだけれど、上記の3人の手によって実際に「呼吸」というアルバムを発売してます。空気を曲にしたような、独特の音楽世界。これはぜひ探して手に入れたいです。


物語は美しい映像がある一方で、かなり衝撃的で過激な展開。
同級生の女子を援交させて上前をはねたり、あるいはレイプビデオを撮ってみたり。
リリィ・シュシュのアルバムを手に入れたのだって、万引きしたのがきっかけですからね。
他にも田んぼの泥の中で裸でオナらせたり、やることがエグイですね星野。

星野がそんな悪の道に進みだしたのは、夏休みが終わってから。
夏休み中の沖縄旅行で起こった事故によって、星野の何か大事なものが抜け落ちてしまった……?
まあ、でもその沖縄旅行だって、人から盗んだ金で行ってますからね~。もともとみんな不良だったんでしょ?って話ですよ。まったく(笑)


役者さんが若々しくていいですね♪
主演の市原隼人!いや~幼い!カワイイ!
そして蒼井優ちゃん!ん~幼い!カワイイ!
カワイイだけじゃなくて演技も巧いんだろうけど、まずカワイイ!が先行してしまいます。

対照的に星野を演じた忍成修吾(おしなり しゅうご)の演技は、中学生でありながら極道を行く星野の表情をしっかりと描いていて、星野の危険な雰囲気はちょっとヤバかったですね。

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ただ、全体的に中二病的なムードも漂っているのかな~。いや、中二が主人公だから仕方ないけれど。
どこか監督の思い描く「カッコよさ」「癒し」といったものが、「クサさ」として感じてしまうんですよね、個人的に。

冒頭から、リリィ・シュシュの音楽に心酔するネット住人たちの歯の浮くような書き込みを見せられるせいかもしれないけど、全体的に詩的で、何かに没頭してしまっているかのような演出。(音楽ファンにありがちな、アーティストを好きなあまり神格化してしまうアレみたいな)
自分の住む世界を過剰に美化したり、逆に絶望してみたり、思春期の頃に誰もが感じる何かを捉えていることは確かです。
で、その一方で少年たちの度を過ぎたエグい日常が描かれるという……。


これはリリィ・シュシュのアルバムを手に入れてよく聴きこんでから、もう一度見てみたい作品。
たまには、こういうクサい映画も悪くないでしょう♪