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桐島、部活やめるってよ (2012年、日本)

【ジャンル】
青春ドラマ/群像劇
【監督】
吉田大八
【出演】
神木隆之介(前田 <映画部・部長>)
橋本愛 (かすみ <バドミントン部>)
大後寿々花(沢島 <吹奏楽部・部長>) 
東出昌大(宏樹 <野球部・長期サボり中>)
清水くるみ (実果 <バドミントン部>)
山本美月 (梨紗 <帰宅部・桐島の彼女>)
松岡茉優 (沙奈 <帰宅部・宏樹の彼女>)
落合モトキ (竜汰 <帰宅部>)
浅香航大 (友弘 <帰宅部>)
前野朋哉 (武文 <映画部>)
鈴木伸之 (久保 <バレー部・副主将>) 
太賀 (風助 <バレー部・リベロ>)
藤井武美 (詩織 <吹奏楽部>)
高橋周平 (キャプテン <野球部・主将>) 
岩井秀人 (片山 <映画部顧問>)

あらすじ

学校で一番の有名人<桐島>が、ある日、部活を辞めた。バレー部のキャプテンで成績優秀、誰もが校内一の人気者と認めていた桐島の突然の退部のニュースに、彼と親しくしていた友人たちは動揺する。やがてそれは生徒たちの関係に変化をもたらし、桐島と接点のない学校生活を送っていた映画部・前田にも、桐島退部の火の粉が降りかかってきて……。

感想 (2012年8月22日、フォーラム仙台にて鑑賞)

「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」「クヒオ大佐」の吉田大八監督の長編4作目。
学校内のヒエラルキー、スクールカースト(学校カースト)といったものを下敷きに、校内一の人気者<桐島>が突然部活を辞めたことで起こる騒動を、<桐島>以外の視点から描いた青春群像劇。
そうです、<桐島>は全然出てきません。校内一の人気者の顔を是非とも拝みたかったけど……(笑)


以前から観たかったわけではないんだけど、休みがもらえたので衝動的に映画館へ。
思いがけず良い作品を観れました。「良い作品と思いたい」がより正確かな。

まず、人間描写が面白いです。
なんのことはない学園ドラマなんですが、普段そういうTVドラマを見ないせいか、新鮮な気持ちで観れました。
悪く言えば「ステレオタイプ」、よくありがちな個性。
でも良く言えば、個性を丁寧に明確に捉えているのかな、と思いました。

ていうか、この映画は「腑抜けども~」や「クヒオ大佐」と違って、強烈な個性を描く物語じゃないんですよね。
どこの学校にも「いそうな人」がたくさん登場して、彼らの関係が<桐島>の退部をきっかけに軋轢を生み出していく……、あるいはちょっと面白いミスマッチを生み出す……、そういう映画。
冒頭は登場人物が多くてちょっと戸惑いますが、彼らの関係性の描き方が上手いので、すぐに相関図を頭の中に描けると思います。
そしてその相関図の中で交わされるやりとりが、時にピリピリしてるんだけど、何故か心地いい♪
例えば、女の子4人グループ(かすみ、実果、沙奈、梨紗)内部の見た目の上下関係とは別に、誰が誰に依存しているかっていうのもチラッと描かれてて面白かったです。

で、吉田大八監督の「真剣だけどクスリと笑える」というのもふんだんに取り入れられているので、ずっとニヤニヤしながら観てました。

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ある金曜日、いつものように放課後を思い思いに過ごす生徒たち。
前半は、この<金曜日>を何度も繰り返すことで、物語の背景と事件を描きます。
事件と言っても、そんなに大したことではありません。ただ、<桐島>がバレー部を辞めたってだけ……。
でも、そんな些細な出来事が事件になってしまう学校生活。

スクールカーストの頂点にいる<桐島>の出来事は、同じくカーストの上位にいる恋人の梨紗や友人の宏樹たちには大事件。
それを意に介さないのが、カーストの底辺にいる文化部の前田たち。ただ、文化部内でも上下関係はあるみたいな、ないみたいな……?(笑)
あっ、ちなみにこの物語のカースト順位は、チャラい帰宅部→運動部→文化部、となってます。(ただし桐島だけは帰宅部よりも上位にいます)

カースト下部の映画部とカースト上位の人たちとでは、日常的に接点がないんですよね。
しかし、上位の騒ぎがだんだんと映画部の前田にも飛び火してきます。


個人的なカミングアウトをしますと、Yuckeは高校時代、放送部に所属してました。
放送部って実は活動が盛んな部活動で、年に2回の大会があるんですよ。
その大会に向けて、アナウンスの練習をする人や、ドラマやドキュメンタリー番組を制作したりするんですが、そういうわけで、この映画の一応主人公の映画部・前田にどうしても自分を重ねてしまうというか……。
多分、僕も前田と同じ感覚でカースト上位の人たちを捉えていたと思います。(カーストという言葉は知らなかったけどね)
そこにあるのは劣等感なんだけど、それを「俺は彼らと違う土俵で闘ってる」と無意識に考えていたのかも。
運動部が汗を流してる脇で、変な機材担いで誰が見てもわけわかんないことしてるよな~とは、思ってました、自分でも。

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話を戻します。
本来、前田には別次元の話だった退部事件。それがいよいよ前田も無視できない状態にまで膨れ上がってくる所でクライマックスに突入。そしてラストへ。
ラストのちょっと曖昧な終わり方には最初「?」でした。各登場人物のそれぞれの感情にも一部で決着がついてないような気が。
でも、だんだんあれでよかったような気がしてきました。

考えてみたら、この映画はほんの数日間のことしか描いてないし、<桐島>の行動で周囲に変化が訪れてもそれが「成長」とは限らないわけですしね。
結局<桐島>は現れなかったんだけど、現れたらまたそれが事件になるでしょうし。
学校生活はまだまだ終わらない。そのうちの断片でしかないわけですよね。
もし来週があったら、来週は別の事件が波紋を呼ぶのでしょう。

僕としては、とにかく上手く各キャラを描いたなあ~って印象。
(思わず、上記の役名も気合入れて書いてしまいました^^;)
<桐島>はある意味この学園の象徴的な主人公なんですが、その主人公は不在。
その代わりに、彼以外の学園の脇役たちが準主役級に輝いてる作品です。


あと、ゾンビ映画を撮る神木くんに「完成したら見せてよ」っていう橋本愛ちゃんが、SUPER8ーーーッ!!!
(……を、彷彿とさせましたw)