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GOEMON
(2009年/日本)
監督: 紀里谷和明  製作: 一瀬隆重、紀里谷和明  脚本: 紀里谷和明、瀧田哲郎  出演者:江口洋介、大沢たかお、広末涼子  主題歌: VIOLET UK  撮影監督: 紀里谷和明  撮影: 田邉賢二  編集: 紀里谷和明、横山智佐子  配給:松竹、ワーナー・ブラザーズ映画  上映時間:128分

【あらすじ】
時は戦国時代、本能寺の変により織田信長が暗殺され、日本統一の理想を豊臣秀吉が引き継いだ頃の日本。一時の平和を謳歌していたが、上に立つ権力者は代わっても、民衆は依然変わらぬ飢えと渇きに苦しめられていた。そんな頃、民衆の喝采を浴びていたのが大名や豪商の蔵を狙い、金銀財宝を奪っては貧しいものに分け与える義賊・石川五右衛門であった。彼はある日、豪商の紀伊国屋文左衛門の蔵へ忍び込み、一つの小さな箱を戦利品に加えるが、あっさり子供にくれてやってしまった。ところがその箱には、織田から豊臣へと支配者が移った真相を書いた密書が秘められていたのだった。追われる身となった五右衛門は、真実を知り、どう動くのか。






【感想】
(2010年12月25日、TV録画にて鑑賞)

ムービーはムービーでもゲームの途中で挿入されるムービーを見てるかのようなアクションシーンが、僕はちょっとダメです。CAPCOMあたりで作ってそうな……戦国アクションゲームみたいな……。いっそゲームだったら遊びたいんだけども、映画と言われると微妙です(;´∀`)
キャラ(思わずキャラと言ってしまいますw)のアクションがいちいちマンガっぽくて、そのうち江口洋介の顔も不細工にデフォルメされてしまうんではないかとハラハラしながら見ました。


いい風に捉えれば、監督の独自の解釈なんですが、ひとたび“ゲーム的”“マンガ的”と受け取ってしまうととても陳腐に見えてしまいます。織田信長の描写を見ても、ゲームやマンガで散々描かれてる信長と大差なく、しかもすでに死んでる人なのに、GOEMONのストーリーにこれでもかと出番があるのはどうなのよ?(笑)
どんな作品でも、戦国時代を描くと必ず登場してくる“強い信長”の姿。(「江 ~姫たちの戦国~」でも出てきますね。もう、誰が演じても同じです、汗;)正直、僕は見飽きています。信長コンプレックスですよ。
いっそ織田信長を完全シカトした時代物とか見てみたいですね。

一見すると「豪華絢爛」って言葉がしっくりくるような美術・色彩なんですが、そこで語られるストーリーがチープなんですね……(;´∀`)
まるでスターウォーズのクローン兵のような足軽(笑)が結集した関ヶ原(?)でキレて戦う五右衛門。徳川家康との決着は、なんかあまりにもお子様向けでした。序盤で悪党に親を殺された子に対して「母親が死んだのはお前が弱いからだ」と厳しい一言を言い放った五右衛門が、家康にはすっごくあまい(笑)
まあ、家康は今作では悪役とは言い切れない微妙な役割なので、殺してハッピーエンドにはできないんですが、(好き勝手やってきた五右衛門の成長を描くためとはいえ)あれで決着とは視聴者的にはスカっとしないエンディングでした。(そういえば、あの子供はどうなったんでしょう?)


そもそも、五右衛門って天下の大泥棒だけど、天下の行く末をどうこうした人物ではない。
義侠心と反体制の精神はあったかもしれないけど、基本的に好き勝手やって釜茹でになったアウトロー。
それをムリヤリ、秀吉の陰謀や信長との過去と絡めたせいで、話が大きくなりすぎちゃって、「世界の行く末」なんて、主人公の懐には収まらなくなってしまった。だから、好き勝手やった“報い”や“責任”が計り知れないほど大きくなって、最後にはまるで場違いな場所でつまらない大人のしがらみを披露する羽目になってます。
それが監督の“独自解釈”だったなら仕方ないけど、見終わった後で思うと、「壮大な戦国スペクタクル」よりも「痛快アクション時代劇」のほうが評価は高かったと思います。題が『GOEMON』ならば。


キャストや衣装に関しては概ねいいと思います。でも、とにかく「やりすぎ」なので……。
豪華キャスト集めすぎ、衣装派手すぎ……。(ついでに言うとCG使い過ぎ。いや、それはむしろウリか?)
玉山鉄二、鶴田真由、戸田恵梨香あたりは、あんな端役でいいんですか?って見てるこっちが気を使ってしまいます。五右衛門の母を演じたりょうも、アップはワンカット、しかもモノクロ。回想では母よりも信長を思い出してばかりの五右衛門(笑)
忍者もやたら出てきてました。石川五右衛門、猿飛佐助、霧隠才蔵、服部半蔵……。こんだけ普通に忍者が出てくると逆に忍者らしくなくて……もとより忍者らしさにこだわるような内容ではないんですけどね。

チェ・ホンマンがなかなか印象に残ってます。他のキャラ(あえてキャラと……w)は衣装とメイクで役作りをしてるような、派手な出で立ちなんですが、チェ・ホンマンは素の体格だけでキャラが立ってました。あれはナイスな配役だったと思います。美形ばかりではつまらないのは、ゲームもマンガも同じです。


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広末演じる茶々が可愛くてよかったですね。つーか、このブログ、ヒロインがカワイイばっかり書いてるような気がしますが(笑)しかたねーっす。カワイイものはカワイイ。