4e2f21c5.jpg

『アイランド』(2005年、アメリカ)

原題:The Island  監督: マイケル・ベイ  製作: マイケル・ベイ、イアン・ブライス、ウォルター・F・パークス  脚本: カスピアン・トレッドウェル=オーウェン、アレックス・カーツマン、ロベルト・オーチー  出演者: ユアン・マクレガー、スカーレット・ヨハンソン  音楽: スティーヴ・ジャブロンスキー  撮影監督: マウロ・フィオーレ  編集: ポール・ルベル、クリスチャン・ワグナー  配給: ワーナー・ブラザーズ  上映時間: 136分

【あらすじ】
リンカーン・6・エコーが生活しているのは、汚染された生存者を治療する医療施設。 適切な治療を受け抽選に選ばれた者だけが、汚染のない最後の楽園「アイランド」に行く事を許された。 彼は医療施設内での生活に退屈し、そして疑問を抱いていた。
ある日、悪夢によって目が覚めたリンカーンは部屋を抜けだし施設を徘徊するが、そこで恐るべき真実を目撃してしまう。「アイランド」は最初から存在せず、自分や他の生存者たちは、移植臓器や代理母を提供するビジネスに使われるただの製品、クローン技術によって作られた人造の存在でしかなかったのだ。
リンカーンは生きる尊厳と自由を求め、アイランド行きの抽選に当たってしまった友人のジョーダンとともに、彼らを抹殺しようとする経営者達からの逃避行を図る…。



【感想】
(2011年1月3日、TV録画にて鑑賞)

くあぁ~っ!おもしれ~~!!
って感じの映画です♪SFエンタメ作品。

主人公は実はクローンで、ある日自分がクローンであることに気づく、と同時に自分に待っている残酷な運命も知るわけです。
あとはもうひたすらの逃避行。武器も持たず、そもそも攻撃性を抑制されてるあまりにも無防備な男女が、なんとかギリギリで助かって逃げまくる!電車が空を飛んでる近未来で!なんかかっこいいエアバイクに乗って!
結局、設定やドラマどうのよりもアクションの激しさに助けられてる感じはしますが、別にそれが嫌味じゃなく楽しめるんですね。

ストーリーが二転三転するっていうのも、実は容易に想像できる範囲でしたし、クローン物ならば当然そうなるでしょう、という展開にすぎないんです。
それをアクションがうまく気をそらしているというか、真面目にじっくり鑑賞すれば脚本や設定にも多少の無理があるようなんですが、アクションのおかげでそれが気にならない。
マイケル・ベイらしいと言えば、たしかに「らしい」作品なのかもしれません。


この映画が描く近未来は、クローン技術が人間の倫理観を侵し始めたディストピアです。
しかし、クローン人間ってどうなんだろう?人の命の重さってなんだろう?などということを考えなくても楽しめる映画です。むしろ、考えてしまったら楽しめない作品かも。
「この映画のような世界が現実に来るかもしれない」なんて危惧はまったく必要ありません。

なぜなら、主人公の行動原則はとても単純明解だからです。
最初は「生き延びるため("死"から逃れるため)」、そして後半は「仲間の命を救うため」。
これは現代に生きる僕らでも充分に共感できる、シンプルな望みです。
そして"仲間を救うため"に敵に立ち向かっていく主人公、彼は相変わらず弱いです。でもだからこそ、そこに気持ちが入り込めるんですよね。


主演がユアン・マクレガーというのも僕にとっては良かったのかもしれません。
「スター・ウォーズ」のオビ・ワン=ケノービと言われてもいまいちピンとこない俳優さんです。だってオビ・ワン、ヒゲ生えてんじゃん(笑)
役者が見慣れない顔だと、世界に入り込めますからね。
加えて毒っ気のない端正なお顔は"無知なクローン人間"という役にぴったりでした。

スカーレット・ヨハンソンも同じ理由で良かったです。
「愛」を知らない設定なのにあの美しさはヤバイです(*´ω`*)


ラストは結構ざっくり描いた感じで、「で、そのあとどうなる?」を見たくなってしまう映画です。
ですが、そこは見た人がそれぞれ考えるところで……。見てる間は何も考えずに楽しめて、見終わった後はいろいろ考えちゃうんですね。
多少粗削りですが、そこが見所と言っても過言ではない勢いのある映画でした。