模倣犯 (2002年、日本)

【ジャンル】
ミステリー
【監督】
森田芳光
【出演】
中居正広 (網川浩一)
山崎努 (有馬義男)
伊東美咲 (古川鞠子)
木村佳乃 (前畑滋子)
寺脇康文 (前畑昭二)
藤井隆 (高井和明)
津田寛治 (栗橋浩美)
平泉成 (武上悦郎)
田口淳之介 (塚田真一)
小池栄子 (岸田明美)
篠崎刑事 (モロ師岡)

あらすじ

東京の下町で豆腐屋を営む有馬義男。20歳になる孫娘・古川鞠子が失踪してはや10か月、事件は何の進展も見せていなかった。そんなある日、下町の大川公園のゴミ箱から女性の右腕とショルダーバッグが発見される。それを報じるワイドショーの生放送中に“片腕とバッグは別の人間のもので、バッグの持ち主は古川鞠子という女だ”と、犯人からの電話が入る。すると、今度は各局にも犯人からの犯行声明が届く。そこには、それぞれ別人の被害者と思われる女性の淫らな写真が添えられていた。日本中が騒然となる中、有馬は鞠子を救い出すべく必死の捜索を行うのだったが……。

感想 (2011年1月22日、TV録画にて鑑賞)

ヤフー映画で驚愕の☆1.5。これをx=(y-1)×25を用いて100点満点に換算すると、12.5点。
みなさん、主演がSMAPということを忘れていませんか?と尋ねたくなる評価の低さです。

原作は宮部みゆきの小説「模倣犯」。小説の方はとても評価が高いですが、僕は未読です。
自称天才の犯罪者の暴走と狂気、犯罪被害者と被害者遺族が味わう地獄を双方の視点から描いた作品だそうです。


しかし映画は……、なんだかよくわかんない出来で。
早々に犯人が誰か分かるのはいいとして、その犯人をダークヒーローにしたいのかなんなのか、やたらカッコつけな印象です。そう、「カッコつけ」であって、「カッコイイ」わけではないのです。
何故、犯罪を犯すのか、完全犯罪を達成しても誰にも自慢できないのに、何故それをやろうとするのか、その動機がよくわからないですし、何故、殺すだけでなく所有しようとするのかも不明。まあ、もともと犯罪者心理なんて分かりたくないんですが、過去にトラウマもないような人間がどうして自分を天才犯罪者と思うようになったのか、そこらへんが描かれません。

さらに、事件の犠牲者たちについての描写も少ない。どんな恐怖を味わったのか、どんな運命をたどったのか、まるで抜けています。
被害者家族の視点は充分に描かれ、マスコミを描くことで第3者の立場から客観的に事件を見ることも出来ますが、「何が起こったのか」については結局よくわからないままです。

さらに、劇中で描かれたニュースショーだかワイドショーだか特別報道番組だかが、どう見ても照明の暗いクイズショーにしか見えず、なんだか登場人物たちのファッションも微妙に古いし、時々スタイリッシュ(に見せようとしている風)な映像のコラージュと4つ打ちビートが流れるんですが、それも別にどうということもないですし、犯罪者の末路で見せたショボい上に無駄なCGといい、ラストの不思議系でしかもKYな結末といい、全体的にナンセンスな空気が漂っています。
2002年ってこんなでしたっけ?(笑)


原作を知らない人にとってはワケがわからないし、
原作読んだ人にとっては原作と違いすぎてつまらないし、
原作者にとってはあまりに出来が悪くて試写会の途中で退席してしまうし、
誰にも支持されないかわいそうな映画ですね。

監督は「武士の家計簿」「サウスバウンド」の森田芳光。今、HDDに「サウスバウンド」の録画が入ってるんですが、ちょっと心配になってきました。「間宮兄弟」とかはまあまあ面白かったけどね……。この「模倣犯」は……なんか失敗したのかな(;・∀・)