be007798.jpg

サウスバウンド (2007年、日本)

【ジャンル】
家族ドラマ
【監督】
森田芳光
【出演】
豊川悦司 (上原一郎)
天海祐希 (上原さくら)
北川景子 (上原洋子)
田辺修斗 (上原二郎)
松本梨菜 (上原桃子)
村井美樹 (南先生)
松山ケンイチ (新垣巡査)
平田満 (東京の校長先生)
吉田日出子 (区役所職員)
加藤治子 (堀内たえ)

あらすじ

浅草に住む小学6年生の上原二郎は、疑問に感じたことには猛然と盾つく父親の一郎を恥ずかしく思っていた。父は若いころ過激派の活動家だったのだ。ある日、母親さくらの発案で、一家は父の故郷である沖縄の西表島に引っ越すことに。島民に温かく迎えられる上原家だが、そこでもまた一郎は観光開発業者を相手に闘うはめになる。

感想 (2011年4月3日、TV録画にて鑑賞)

「ナンセンス!」という口癖以上にラストの見せ方がナンセンス。


「模倣犯」のせいであまりいい印象のない森田芳光監督作品。
元・活動家の両親を持つ少年・二郎の視点を中心に、現代社会が住みづらくてしょうがないアナーキーな親父と振り回される家族の交流を描いています。

仕事に出かけず、税金も払わず、何か文句を言われると「ナンセンス!」と跳ね除ける父親・一郎に豊川悦司。現在は、喫茶店を営みながら家計を支えているが、かつては“××大学のジャンヌ・ダルク”と呼ばれ逮捕歴もある母親に天海祐希。二郎の年の離れた社会人のお姉ちゃんに北川景子、沖縄・西表島の駐在さんに松山ケンイチ……となかなか豪華なキャスティング。

それと対照的なのが、西表島の住人たち。現地の素人さんをそのまま使っているだろうことは、誰が見ても明らかですが、完全にヘタというわけでもない、その妙に巧い演技が心を捉えます。

44a945ed.jpg



ストーリーは前半が東京編。二郎の学校生活等を描き、それに余計な首を突っ込んでくる親父を描きます。あらすじの感じだと分かりませんが、「ある日」が来るまでけっこうたっぷり東京編をやってくれます(笑)
そして後半、一家はとある事情から沖縄・西表島へ。しかし、文明から遠く離れた島でも社会のしがらみがあり、やはりそれを受け入れることのできない親父……。

不覚にも、権力に立ち向かっていき玉砕した親父の勇姿にウルッときましたが、ラストの感動的な場面で中島美嘉の主題歌が流れてきたときに完全に引きました。
別に中島美嘉が嫌いなわけじゃないです。クライマックスでポップスが流れるのが、どうにもドラマっぽくて好きじゃないんです。確かにアニメやドラマでそういった演出が功を奏す場合もありますが、映画でそれやられるとまるで新鮮味がなくてガッカリするんですね。

さらに、まったりしたラスト。エンドロールでさっき聴いたばかりの主題歌がまた流れる……。
これこそ「ナンセンス!」じゃないのかよ!?と言いたくなる終わり方で、監督の力量云々はともかく、この森田という人と僕の趣味嗜好は完全に違うということを思い知らされました。

映画そのものは、「どうにもならないことにどう対処するか」ということを、ある意味で示していて(極端な方法ですが……)、なにか心に引っかかるものがあったんですが……。