ツッコミどころ満載の「感動作」?
 
 
 
「感動作」とウワサの「オーケストラ!」を水曜仕事帰りに見てきた。
良い意味で想像を裏切ってくれた楽しい映画だった。
 
映画観る前に仕入れた情報では、
清掃員に落ちぶれていたロシア人天才指揮者が、昔の楽団員を集めてパリで行われるコンサートに出場しようと奮闘する奇跡の感動作。
当然、僕も「今夜は泣くぞー!」と思いながら着席したのだが……。
 
 
物語の序盤、ロシアの女って、つえ~♪とか思いながら見ていた。
あれ?これ救急車だよな?とか思いながら見ていた。
さすがにデブとハゲが取っ組み合いを始めるに至って気づいた。
「これ、コメディーなんだ!」と。
 
この映画を「感動作」と言って日本に紹介したヤツ誰だ!出て来い!ホメてやる♪
 
 
なんて大雑把な構成なんだ、楽団の構成もストーリーの構成も。
 
明らかに弾いてないだろ、誰も。
 
ラスト15分に詰め込みすぎだろ。やりすぎだろ。
 
そんなツッコミどころ満載の感動作。
 
 
共産党員の話とか、ユダヤ人迫害の話とか、歴史的な問題も扱っているが、
基本的には、ざっくりと楽しむ、笑って笑って最後にちょびっと泣ける映画だ。
(僕は、楽しくて涙は出てこなかったが!)
 
だから、ある意味、日本のコメディー映画にも共通するものがある。
 
 
逆に(いやむしろ正しいか……)、この映画で「チャイコフスキーをとことん楽しめる」とか、「泣けるヒューマンドラマ」とか思って見ると、損した気分になるかもしれない。
マジメな話も折り込まれているが、それはユーモアの先に隠されてある。
 
 
 
この映画を語る上で忘れちゃいけないのが、メラニー・ロランの魅力!
はっきり言おう、僕はこの女優に魅了された。
 
過去に「イングロリアス・バスターズ」で、主人公ショシャナを演じていたのだが、
途中まで、まったく気付かず、ある瞬間見せた表情で気づいた。
「運命の再会」である!……と思ったが、僕と同じ経験した人は全国に何百人いるだろう……。
 
とにかく上品な顔立ちである。
でも、バイオリンを弾きながら、笑ったり、泣いたり、眉間にシワを寄せたり、いろんな表情をする。
しかも上目使いで……♪上品であると同時に、かわいらしくてしかたないのである。
僕にとってラスト15分は、「メラニー・ロラン鑑賞タイム」であった。
だから、涙を流すヒマも無かったのであるw
 
 
映画の内容は、僕にはやはりコメディーにしか思えないのでそれなりの評価しかできないが、
メラニー・ロランをもっかい鑑賞するためなら、また見たい。
 
 
一言:ロシア人たちのたくましさ、音楽とユーモア、メラニー・ロランの美しさは再見の価値アリ。
 
★★★★☆
 
オーケストラ!/Le Concert
監督:ラデュ・ミヘイレアニュ
出演:アレクセイ・グシュコブ、メラニー・ロラン、ドミトリー・ナザロフ
配給:ギャガ
2009年、フランス