soloist

路上のソリスト
(2009年/アメリカ)
【監督】
ジョー・ライト
【キャスト】
ジェイミー・フォックス
ロバート・ダウニー・Jr

*感想(2010年5月30日、DVDにて鑑賞)

路上生活者で統合失調症だが、音楽の才能とそれを愛することを赦されたナサニエル。
LAタイムス紙の人気コラムニストで、ネタを探していた新聞記者スティーヴ・ロペス。
この2人の交流を描く、実話をベースにした作品。
 
こう書くと誰しも「お涙頂戴の感動作」をイメージするのだろうが(事実、僕も鑑賞するまでそう思っていた)、
だが、簡単に泣けると思ったら大間違いである。
 
 
ナサニエルはロペスのことを「恩人→友達→神→敵→?」と認識を変えて行き、
一方、ロペスは「ネタ→同情→尊敬→おせっかい→患者→?」という形でナサニエルと接していく。
物語自体はとてもシンプルなのに最後まで飽きずに見られるのは、この2人の関係の変化があるからで、
この「変化」が、統合失調症や路上生活者の問題を「現実の問題」として見る者に訴えかける。
 
都合の良い展開やシンプルな友情物語を排除する。
誰もが望む結末も用意されていない。
だからこそ、見た者が何かを映画から受け取る。
 
難しい映画だ。だが、不思議と苦痛ではない。
 
 
 
音楽についてはとても美しかった。
映画音楽界の巨匠たちがどんだけサントラを売っても、クラシックには及ばないのかもしれない。
僕はクラシックは普段聴かないのだが、クラシックには「消費されない格調」のようなものがあると感じた。
 
映像面の話も。
ロペスを演じたダウニー・Jr、丸刈りにひげ面というシンプルなデザインなのに、彼のアップに見入ってしまう。
演技がうまいとかヘタとかはよく分からないが、もしかして「演技がうまい」ってこういうことか!?w
なにやら滑稽な前半、わりと必死な後半、何度も何度も見入ってしまう。
 
LAの景色も素晴らしすぎる。
トンネルからビル街へ、そして上空へ……。
上空から真下を映し出した絵が最高に気持ち良かった。
 
さらに、光と色で音楽を表現した場面もすばらしかった。
若手監督だろうが、巨匠だろうが、ああいうことはもっともっとやるべきだ。
映画は表現の場なのだから。大衆娯楽であると同時に芸術作品でもあるのだから。
 
 
 
一緒に見ていた父が、見終わって「政治家に見せたい映画だな」と言った。
「なんで?」と聞くと、「9万人も路上生活者がいるんだろ」と父は言った。
僕は「薬や施設で治療することよりも、ただそばにいる友達であることが大事なんじゃないか」と感じた。
「何を幸せと感じるかは人によって違う」という見方もできると思うし、本当に、人によって感じ方はそれぞれだ。
 
実話をベースにしているので、さまざまな現実を見せつけられて、後半は話がブレた印象もある。
しかし、ナサニエルとロペスの関係が現実にまだ終わっていないなら、映画はこういう終わり方でいいと思った。

不平等である以前に、何に価値を見出すかの点で僕らは自由だ。 


 
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