読書記録
『天国への門』



【あらすじ】
アメリカの砂漠地帯に建設された天体電波観測基地のパラボラ・アンテナ群が、ある日不審な電波を受信した。
ついに念願の地球外知性とのコンタクトに成功したかと基地関係者たちは色めき立つ。
しかし、その電波から聞こえてきたのは、人間の女の声だった。
12年前にブラックホールに突入し行方不明になった惑星探査船“アクティス”……。
遥かタウ・ケチ星系から地球へ語りかけて来たのは、消滅したはずのアクティス号の乗員だったのだ。



【かいせつ】
「近未来ハードSF」と称された、SF小説。12年前に消えた宇宙船の乗組員たちが、ブラックホールの向こう側で生きていて……、という話。
著者はポール・プロイス
原題は“The Gates of Heaven”。
ちなみにこの本がハヤカワ文庫から出版された1983年は、僕の生まれた年。BOOK-OFFで105円で買ったこの本は、さすがに色が焼けていて、活字もなんだか古臭かった(笑)



【かんそう】
ハード=難しい、という意味ならば、たしかにひたすら読みづらいハードSF。

宇宙船アクティスから時空を越えたメッセージを受け取り、宇宙船ゼテスで救助に向かう、だけの話なのだが、ゼテスが出発するまでが異様に長い。


第1部は、誰が主人公なのかよく分からず話が進み、場面も研究所、軍学校、議会、民間企業と次々に切り替わり、様々な立場の人物が登場し視点も次々に変わる。

謎の電波に対する期待感、その正体が分かった時の不気味さ、そのあたりまでは楽しく読めたのに、その後の女性将校の行動や、冴えない数学者がひらめいたワームホールの秘密とかは、「今、何の話してるの?」状態(笑)
議事録なんかも登場して、何か壮大な事が始まりそうな感じがしつつも、書かれていることがなかなか繋がらなくてもどかしい。



第2部では一転して冒険譚に。
アクティス号が不時着したタウ・ケチ星系第5惑星にゼテス号がたどり着き、女性将校ローラと数学者マイケルが未知の星を探険する。
2人が主役だということはこの少し前に判明する。

ここで描かれることは、(どんでん返しは一つあるけど)実に単純なSFアクションといった感じで、第1部であれだけ客観的・多角的にアクティスとブラックホールを(読者が)検証したのに、現地に来ればこんなもんかと思った。

1部と2部で書かれていることがあまりにも、次元が違うというか……。

1部が大人向けハードSFなら、2部が子供向け探険SFとでも言おうか。
でもアラフォー同士の恋愛も書かれてるから「子供向け」は言い過ぎか(笑)