『闇の守り人』上橋奈穂子



【解説】
「守り人シリーズ」第2弾。
前作の主人公バルサは、自らの暗い過去に区切りを付けるために、生まれ故郷カンバルを訪れる。
養父ジグロの縁者たちに彼の最期を伝えるだけのつもりだったが、バルサはやがて、“山の王”の秘密と欲深い者たちの陰謀に巻き込まれていく。



【感想】
前作『精霊の守り人』よりは、西洋っぽい香りのする物語。

ドワーフを思わせる小人〈牧童〉が出てくるせいか。
フェアリーやピクシーような妖精が出てくるせいか。
単にカンバル国が西洋っぽいだけか。なんとなく東欧ぽい。

新ヨゴ皇国では元首を「帝」と呼んでいるのに、カンバルでは「王」。
〈王の槍〉たちの持つ槍の柄に、金の輪が付けられているというのも、侍や武人というよりは西洋の騎士を思わせる。
“黄金”って東洋ぽくないし。でも“黄金の国ジパング”って言うか?w

東洋ぽいスタイルにまずインパクトがあった前作は、「これは古代日本の話です。新ヨゴ皇国は古代の架空の文明です」って嘘ついたとして、なんかそんな雰囲気が実際あったけど、
さすがにカンバルは日本じゃねえ、と思う。
(無知な若造の戯言ですので聞き流して下さい)



なにが言いたいって、『精霊の守り人』の魅力って“東洋ファンタジー”が大きかったけど、『闇の守り人』では“東洋ぽさ”は薄れ、
でも、それでも面白いってことなんだよね。

過去の亡霊ジグロ、片腕の氏族長カグロ、虚構の英雄ユグロと、今回もステキな名前が続々登場。
そして、用心棒という非常に使い勝手の良いジョブで、バルサ姐さん、大立ち回りです。