当初は父親と「これはDVDでいいな」などと言っていたのですが、地元のライターさんと、お気に入りブロガーさんが高めの評価だったので、なんだか観たくなってしまい、終映間際に行ってきました。
 
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『十三人の刺客』(PG-12)(2010年、日本)
 
監督:三池崇史
原作:池宮彰一郎
出演:役所広司、山田孝之、伊勢谷友介、松方弘樹、稲垣吾郎
配給:東宝
 
【あらすじ】
時は江戸時代後期の弘化元年(1844年)。将軍の異母弟にあたる明石藩主松平斉韶は暴虐・無法の振舞い多く、明石藩江戸家老間宮図書は老中土井大炊頭屋敷前にて切腹、憤死した。幕閣では大炊頭を中心に善後策を検討したが、将軍の意により、斉韶にはお咎めなし、となった。斉韶の老中就任が来春に内定していることを知る大炊頭は、やむなく暗黙のうちに斉韶を討ち取ることを決意し、御目付役の島田新左衛門を呼び出した。新左衛門は大炊頭の意を受け、自身を含めて13人で、参勤交代帰国途上の中山道落合宿にて斉韶を討つことにした。
 
 
 
【感想】
(2010年11月13日、109シネマズ富谷にて鑑賞)
 
13人vs300人……。
『レッドクリフ』の6万人vs80万人よりも倍率が高い……。
 
 
 
本当に140分あったのだろうか、長尺でありながらまったく長いと感じない映画でした。
ラスト50分のチャンバラ、時代劇の持つ2つの方向性の一つに正面から向かっていった感じ。
時代劇映画そのものをあまり見ない僕にとっては、一つの基準となる映画と言えるでしょう。
 
 
PG-12指定ということで、びっくりするシーンもありました。
サイコな側面を持っている映画です。
稲垣吾郎演じる暴君の悪役っぷりが半端ないのですが、僕は「悪人」というよりも「魔物」のように思いました。
それほどまでに人の持つ狂気の部分が誇張されていました。
 
ただ、斉韶の冷静に怖いことを言うスタンスは慣れるとちょっとワンパターンかもしれない。
最後に迫真の演技が見れますが、「敵役」としてはいささか不足。
「悪」や「外道」としての魅力は充分に溢れていますが、その分「強大な敵」としての魅力は薄かったです。
 
むしろ、斉韶の側近の鬼頭半兵衛(市川正親)がこの映画では「敵」ではないかと。
主人公・島田新左衛門(役所広司)と鬼頭はかつて同門でありながら、違う正義を掲げてしまった二人です。
ラストはこの2つの「正義」の闘いとなります。
と言っても、鬼頭の「侍は忠義」という正義は、さすがに斉韶のようなケダモノに対しては必要ないと思うんだけど、でもやっぱりそうなのかなあ、って思わせてしまう市川正親の説得力が凄かった(笑)
 
 
対して役所広司演じる島田は、完全無欠ってわけではないけれど、非の打ち所が無い理想の侍像で、彼の今回の仕事が暗殺であることを除けば、あまりに毒も穢れもない人。
切れる頭で頭脳戦を展開する様子は面白かったけど、彼のもとに集まった侍たちすべて、すこし美しすぎたか?
 
まあ、斉韶という「悪」と鬼頭という「敵」がしっかりしている映画で、それに反比例して主人公たちが美しく見えるという感じでした。
 
 
 
白塗りお歯黒は…………(汗;
サイコな部分ではそのサイコさをより際立たせていたよね。
あのメイクでも欲情できるんだから男って不思議だ。
吹石一恵は結婚前の芸妓と山の民の二役ということで、お歯黒は免れたみたいですね。
 
そういえば、まったく関係の無い二人の女を一人二役ということがちょっと気になりました。
山の民の役は一瞬だけのカットだったけれど、なぜ、両方を吹石一恵が演じたのか。
 
思いついた答えを言うと、あれは「まったく同じ顔の女」という意味ではなくて、「男にとってのいい女のイメージ像」ではないんだろうか?いや、けして吹石が「いい女」の基準だと言うわけではありません(笑)
ただ、死地に赴いて死線をくぐり抜けている男たちが「生きて帰ったら抱きたい女」の実際の容姿なんて、結局誰も同じなんじゃないだろうか?うまく言えないけど(汗;
新六郎も山男も結局、自分の女に焦がれているのは同じことで、彼らにとってその女は世界一いい女なわけで、実際には芸妓と山の民の美人度がイーブンなわけはないんだけど、男が想い焦がれている強さで言えば同じ。だから芸妓もウパシも同じ顔なんだ、という表現に受け取りました。
リアルな描写の中にちょっとこういう「遊び」の表現があると楽しいです。
 
 
 
とにかく、退屈しない2時間半でした。
窪田正孝と濱田岳が別人ということも分かったし。(窪田正孝を濱田岳と思ってました。……似てるんだもん)
 
ただ、父親が仕事だったので一人で観に行ったら、「時代劇は誘えよ」と怒られました(笑)
終映間近で、一日に1回の上映しかなくて、観るチャンスが無かったので一人で行っちゃいましたが……。
まあ、これからは「DVDでいいな」なんて安易に決めずに余裕を持って鑑賞したいと思います。